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フィレンツェで話題沸騰!抹茶や白トリュフの新作まで登場した最新パネットーネ祭り

小林 真子 Mako Kobayashi

2025.12.19

フィレンツェの街がクリスマスムードに包まれるなか、今年もクリスマス菓子の王道“パネットーネ”を主役にした注目イベントが開催されました。会場となったのは、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅前に佇む5つ星ホテル「グランド・ホテル・バリョーニ」です。

グランド・ホテル・バリョーニの外観

フィレンツェ発のガストロノミー誌『Il Forchettiere』が一昨年から主催している本イベントは今年で3回目となり、ここでしか味わえない14種類の個性派パネットーネが勢ぞろいしました。初回から3年連続で招待された私も毎年楽しみにしているイベントです。

パネットーに祭りのポスター

ミシュランシェフからジェラート職人まで。異分野の才能が生む革新的パネットーネ

このイベントの最大の魅力は、普段パネットーネを専門としないシェフやジェラート職人、ピッツァ職人が自由な発想でつくりあげる唯一無二の味わいです。製作者本人と直接話しながら試食できることも人気の理由で、今年も前売り券は完売しました。当日は240名が来場し、トスカーナ州のサッカルディ副知事も姿を見せるほどの盛況となりました。

トスカーナ州のサッカルディ副知事

来場者はすべてのパネットーネを試食したうえで、気に入ったものを購入できます。イベント後には、大きな袋を抱えた参加者がホテルロビーにあふれていました。

来場者であふれるロビー

日本の抹茶とゆずが主役。和食ブームが後押しした“抹茶パネットーネ”

イタリアでは日本旅行や和食ブームが続き、日本食材を使ったメニューがぐっと身近になりました。そんな流れのなか登場したのが、緑色が目を引く“抹茶&ゆず”のパネットーネです。

料理学校「Scuola Tessieri」のメンバー

抹茶とゆずジャムのパネットーネ

一見ピスタチオと思いきや、香り立つ抹茶とゆずジャムが主役。日本では定番の組み合わですが、イタリアではまだ珍しく、会場でも話題を独占。あっという間に完売しました。手がけたのは料理学校「Scuola Tessieri」。


三年連続の人気シェフが披露する“トンカ豆×桃×キャラメルチョコ”

フィレンツェの名店「Leggendo dei Frati」のエグゼクティブシェフ、フィリッポ・サポリート氏は初回から参加する常連。濃厚なバターの風味となめらかな食感が魅力で、今年も昨年人気を集めた“トンカ豆・桃・キャラメルチョコ”の組み合わせを再登場させました。多くのファンが彼のパネットーネを目当てに来場しました。

トンカ豆×桃×キャラメルチョコのパネットーネとフィリッポ・サポリート氏

鮮やかなオレンジが印象的。“トマト”パネットーネが即完売

目にも鮮やかなオレンジ色の理由はトマト。野菜を使った菓子は日本では珍しくありませんが、食文化に保守的なイタリアではインパクト大。つくったのは、トスカーナの海辺の5つ星ホテル「La Roqqa」のエグゼクティブシェフ、フランチェスコ・フェレッティ氏。甘さ控えめの生地に、甘酸っぱいトマトとラズベリーチョコが見事に調和し、即完売となりました。

トマトのパネットーネとフランチェスコ・フェレッティ氏

ミシュラン一つ星「OSTERIA GUCCI」から紺藤敬彦シェフが初参加

今回初参加となったのは、フィレンツェのミシュラン一つ星「Gucci Osteria di Massimo Bottura」を率いる日本人シェフ・紺藤敬彦氏。娘の好物を詰め込んだという“苺×チョコレート”のパネットーネは、日本人にとって“アポロチョコ”を思わせるどこか懐かしい味わいで、子どもにも人気が出そうなフレーバーでした。

苺×チョコレートのパネットーネと日本人シェフ・紺藤敬彦氏

白トリュフの香りが広がる贅沢パネットーネ

会場でひときわ存在感を放っていたのが、白トリュフのパネットーネ。口元に近づけた瞬間にふわりと香る芳醇な香りが食欲をそそります。白トリュフ入りバターを生地に練り込んでおり、クラシックな甘さと香りが贅沢に融合しています。手がけたのは、ウンブリア州のトリュフ農園併設レストラン「La Cucina」のアリーチェ・カポリッチ氏です。

白トリュフのパネットーネとアリーチェ・カポリッチ氏

ピッツァ職人の技巧が光る“絶品パネットーネ”

数々の受賞歴のある実力派ピッツァ職人たちの参加もこのイベントの大きな見どころです。どれも職人技が光る逸品でした。

アプリコット×ダークチョコのパネットーネとマルコ・マンツィ氏

マルコ・マンツィ氏「ピッツェリア Giotto」:ヴェスヴィオ産アプリコット×ダークチョコ。

栗のパネットーネとマヌエル・マイオラノ氏

マヌエル・マイオラノ(ピッツェリア La Fenice)氏:第1回開催から連続参加。毎回甘くない”お惣菜パネットーネ”に挑戦。今回はムジェッロIGP栗を練り込み、チンタ・セネーゼのパンチェッタ、ガルファニャーナ産のペコリーノを組み合わせた“トスカーナ三重奏”パネットーネ。


コーヒーのパネットーネとマネージャーのマッティア・フェッラッザーニ氏

トマゾ・マッゼイ(ピッツェリア Lo Spela)氏:コーヒー、イチジク、キャラメルホワイトチョコの上品な組み合わせ※写真はマネージャーのマッティア・フェッラッザーニ氏。


若手シェフたちの挑戦も充実。クラシックからモダンまで幅広く

若手シェフによる作品も見応え十分でした。「Oreade」のリッカルド・バッチョッティーニ氏&ルイージ・マルジョヴァンニ氏は、オレンジピールとレーズンの伝統的な王道スタイルを披露。「Osmo Cucina」のマルコ・アンセルミ氏はキャラメルチョコにレーズンとローストアーモンドをプラス。「Segno by Empireo」のトマゾ・カロナーチ氏は、トンカ豆の香りに砂糖漬け柑橘の爽やかさを効かせた仕上がりでした。

パネットーネを発表する若手シェフ
イベントに参加した若シェフ

ジェラート、ワイン、カクテル…食のシナジーを体験できる会場

フィレンツェの名店「Vivoli」によるパネットーネ味ジェラートをはじめ、ワイン、カクテル、水のテイスティングなど、会場には多彩な“食の体験”が並びました。

ワインを提案する参加者

本イベントのサポーターには日本車ブランド・Suzuki の代理店 Tm Wagen も参加しており、日本企業が美食イベントを支える姿にうれしさを感じました。

なお、経費を除いた収益はANT財団の在宅がん治療支援に寄付され、チャリティイベントとしての意義も果たしています。

チャリティ金額の発表

今年も多彩なアイデアと独創的な味わいが集まったパネットーネの祭典でした。
皆さんはどのパネットーネが気になりましたか?
今年のクリスマスは、イタリア式にパネットーネでお祝いしてみてはいかがでしょうか。


こちらもご覧ください。
フィレンツェ発ガストロノミー情報サイト
「Il Forchettiere」(イタリア語)
https://www.ilforchettiere.it/