日本人にはあまり馴染みのない、イタリア半島中部に位置するマルケ州。北はエミリア=ロマーニャ州、南はアブルッツォ州とラツィオ州、西はトスカーナ州とウンブリア州に接しており、東にはアドリア海が広がっています。
イタリアには20の州がありますが、マルケ州はかつて芸術文化が栄えた州として知られ、観光名所も多く、海と山の幸に恵まれています。アドリア海に面する東側では豊富な魚介類が獲れ、秋が深まると内陸部では山の幸やジビエを満喫できるなど、グルメの宝庫。実は、有機栽培をいち早く取り入れた農業を行ってきた、食に関して先駆的な州なのです。
トスカーナ地方に引けを取らない、もしかしたらそれ以上の芸術、食文化、自然を誇りながら、海外における知名度が今ひとつのためか、ホテルもレストランも比較的お手頃です。
そんなマルケ州の味覚をアペリティーヴォで体験できるイタリア商工会議所主催のイベント「アペリティーヴォ・デッラ・カメラ:マルケ州を味わう」が、2024年11月19日、東京・世田谷「ペペロッソ」で開催されました。
このイベントでは、ペペロッソの総料理長である今井和正氏が監修し、マルケ州の最高の「DOP」および「IGP」食品を使ったビュッフェが振舞われました。マルケ州の機関、起業家、大学、企業の代表団が参加するなど、多くの方々で賑わいを見せました。
DOPとは、イタリア語の「Denominazione di Origine Protetta(保護指定原産地表示あるいは原産地名称保護)」の略。EU(欧州連合)が認める農産物の「ご当地生産物」の基準を意味します。優良な品物であることを認めるマークで、一定の基準をクリアした産物と言えるでしょう。
DOPとして認定を受けるには、その生産地域、生産国、EUの順で審査に通らなければならず、認定された後も、その製造については厳しい品質基準を満たすことが求められます。さらに、誰が、いつ、どこで作ったのか、原料にまでさかのぼって証明しなければなりません。このように、狭い町や村の特産品であることを証明するマークであるDOPの認定は、大変厳しいものなのです。
一方、IGPとは、イタリア語の「Indicazione Geografica Protetta(保護指定地域表示あるいは地理的表示保護)」の略。DOPと同じく、EUが認める農産物の「ご当地生産物」の基準を意味し、州のようなやや広い地域の特産品であることを証明するマークです。
Imagina comunicazioneのAlberto Monachesi氏は、本イベントに関して以下のように語っています。
「『tipicita』という団体は、マルケ州のプロモーションの団体です。このミッションには35人が参加しており、マルケ州の会社や大学など、フードだけではなくファッションやクラフトマンシップの方など様々です。tipicitaはフードのみならず、マルケ州の全ての範囲をプロモーションしています。
ミッションは東京だけではなく、大阪や京都、広島ともコネクションを作る予定です。2025年3月には、マルケ州でtipicitaというフェスティバルを開催予定ですので、チャンスがあれば皆様ぜひお越しください」。
本イベントには、マルケ州でエクストラバージンオリーブオイルを製造している家族経営の会社「L’OLINDA」が参加。オーガニックのIGPオリーブオイルのみに特化しており、世界中で数々の賞を受賞しています。目標は、100%オーガニックで高品質の製品を、愛する人々の食卓に届けることだといいます。
L’OLINDAのセールスマネージャー Francesco Sabbatini Rossetti氏は、「オリーブオイルは、ただの調味料ではありません。健康と心に良く、日本の消費者もエクストラバージンオリーブオイルのクオリティを楽しめると思います。本イベントには、L’OLINDAのエクストラバージンオリーブオイルを日本人のお客様に届けたいという想いから、参加しています。
L’OLINDAのエクストラバージンオリーブオイルは色々な研究を重ね、細かい部分まで一生懸命作っています。もっと、日本においてプロモーションを図っていきたい考えです」。
以上、美食家たちから密かに注目を集めているマルケ州の食についてご紹介しました。ぜひ、機会があったら実際に現地に足を運んで、食を体感してみてください。