新型コロナウイルスの影響で厳しい状況下にあるイタリア。
私がミラノへ取材に訪れたのは、ロンバルディアで大量の感染者が確認された一週間前のことでした。感染への恐怖と戦いながら、封鎖措置により家から出ることが制限される状況の中、連日目にするのは悲惨なイタリアのイメージばかりです。
今回は、新型コロナウイルスの終息と回復の願いを込めて、イタリアの地で活躍する人や場所にフォーカスを当て、ミラノの2つ星レストラン『Seta(セータ)』のセレブリティシェフとして挑戦を続けるアントニオ・グイダ氏にお話を伺いました。
新しい”食”の世界へ – ミラノの極上ミシュラン2つ星レストラン
トレンド発祥の地ミラノ。圧巻のドゥオーモ大聖堂から、徒歩10分ほどの閑静な路地裏に佇む5つ星ホテルのマンダリン オリエンタルの一階に併設するのは、近年ミラノで注目のミシュラン2つ星レストランSetaです。レストランの統括シェフは、プーリア出身のアントニオ・グイダ氏。開業した年にミシュラン1つ星、2年目に2つ星を獲得したという、驚異の実力を持つイタリアでも注目のセレブリティシェフです。
可憐なSetaの世界。まず運ばれてきたのは、宝石のようなアミューズとアペリティフのシャンパーニュ。出汁やわかめなど、日本で得たインスピレーションが加えられ、一品一品上品にテーブルを彩り、Setaの世界に一気に引き込まれます。
シグネチャーフードであるカラフルなリゾットは、ベースにイタリア産の高級チーズ「カスタルマーニョ」を使用した濃厚なリゾット。葉野菜を使った鮮やかな緑のソースにラズベリーソースのパウダーがふりかけられ、チーズの風味とラズベリーの酸味が新感覚の味わいを生み出します。
挑戦を恐れないアントニオ・グイダ氏のミシュラン獲得までの道のり
料理上手の母親に影響をうけ、料理の道へ進むことに決めたアントニオ・グイダ氏。
2つ星ミシュランのスターシェフのキャリアは、パスティッチェリア(洋菓子屋)から始まりました。豪華クルーズ船では一度に1,000人以上の料理を提供し、その後、スイス、フランスでも経験を積み、パリのピエール・ガニェール、イタリアではエノテカ・ピンキオーリ、ドンアルフォンソなど最高峰のミシュラン星付きレストランで修行を積み、料理の腕を磨いてきました。
2002年にイタリアの5つ星ホテル、イル・ペリカーノのエグゼクティブシェフに任命されてから、2004年と2010年にミシュラン2つ星をもたらしました。そして、イル・ペリカーノでの12年間の勤務の後、グイダ氏はミラノの新しいマンダリン オリエンタルのエグゼクティブシェフに任命され、開業した年にミシュラン1つ星、2年目に2つ星を獲得したのです。
今回はそんなミシュランの「星」をもたらすセレブリティシェフ、アントニオ・グイダ氏へ独占インタビュー。成功の秘訣とプライベートのお話を伺いました。
新しい料理のアイデアはどのようにして作り出していますか?
既にあるメニューを発展して、新しいものにしていく事が多いですね。創作的な食べ物を求め旅に行き、旅先からインスピレーションを得ています。料理に関する本も1,000冊以上持っています。
最近注目している食材は何ですか?
旅先で出会う様々な食材にインスピレーションを受けています。食に対する好奇心が旺盛でたくさんの場所へ訪れました。日本の梅干しやわかめなど、注目の食材のひとつです。
オープン翌年に1つ星、2年後に2つ星獲得!異例の速さでのミシュランスター獲得ですが秘訣は何でしょうか?
とにかく継続することです。料理もサービスも、毎日同じ品質を維持することですね。
お母様の得意料理は何ですか?
プーリアの郷土料理のサグネ(SAGNE)というパスタです。毎週日曜日のランチの定番でした。
好きな食べ物は何ですか?
大好物はたくさんありますが、一つ挙げるならパスタ・ポモドーロです。
ミラノの楽しみ方を教えて下さい。
もちろん、食べることですね。ミラノは多国籍料理の飲食店が豊富なので、ぜひ挑戦してみてください。
時代の最先端を走り続けてきたミラノ。世界中から情熱をもった人々が集まる場所だからこそ、きっとこの試練を乗り越えてパワーアップしたミラノへと輝かしい変身をとげることでしょう。
Seta
Via Monte di Pietà, 18 20121 Milan, Italy
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