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シチリアのミシェラン2つ星レストラン『La Madia(ラ・マディア)』 を訪ねて

イタリア人の夫とは食がきっかけで付き合うように

食べるのが大好きな主人と私。フランスの大学院在学中に付き合うきっかけとなったのも、お互いの食に関する情熱が理由でした。当時住んでいたパリ近郊から、ブルターニュ地方まで牡蠣を食べるために週末に車で片道4時間かけて行ったりもしたほどで。つまり食いしん坊なんですね、二人とも。
さて、例年のようにシチリアにきた我が家。子供も少し大きくなったので、おじいちゃん、お婆ちゃんに子供を預けて、夫婦二人で旅行に出たその先は、3時間離れたミシェラン2つ星のレストラン。

シチリアの田舎町にあるミシュラン星付きレストランへ

シチリアの小さな町リカタにあるリストランテLa madia

シチリアの北側の家から、全く反対のアグリジェント近くの小さな街、Licata(リカタ)にあるリストランテ『La Madia(ラ・マディア)』。オーナーシェフのPino Cuttaia(ピノ・クッタイア)さんの料理を食べに来たのです。
非常に創造的。出てきた瞬間に「これ、なんだろう」と驚くようなお料理も、食材の質の高さと技術の高さで、口に入れた瞬間に唸るような美味しさ。これがピノさんが作る料理への私の感想です。

La Madiaのお気に入りはLa scale di Turchiaというムースに雲丹の風味を感じさせる一品

とくにお気に入りは「La scale di Turchia」。直訳するとトルコの階段ですが、この街の近くにある観光地の風景をイメージしたという真っ白な一品。温めたスプーンと冷たいフワフワの感触のムース状の中には雲丹。海の香りをたっぷりと感じることがでます。まさに暑い夏にシチリアの冷たい海に入り、そこに黒い雲丹を発見した気分。

湯葉のような食感のモッツァレラチーズ

そして次の一品。モッツアレラチーズの味なのに、感触は雲のようにふわふわ。そして、それをふわっと包んでいるのは、「湯葉」のような薄いミルクのベール。「日本にはまだ行ったことがないんだけど、今まで50人以上の日本人の料理人と仕事をしてきたよ」とピノさん。「YUBA」という言葉が出てきたのも彼の口から。
そして、各テーブルにはカードが配られます。

マグロのソテーに最高級のオリーブオイル、塩、レモン

「僕の料理の一番大切な食材の一つは思い出」というピノさん。我々に配られたカードには「イタリアでは、お肉やお魚をフライパンで焼いてオリーブオイルとレモン、塩で食べるということが良くあるのですが、そんな時、どこの国でも忙しいママ。レモンの種をわざわざ取るお母さんはいないよね」と書いてありました。そんなママの思い出と愛情をを表したのがこの一品なのです。
マグロをさっと炙って、最上級のオリーブオイル、レモンと塩。そして真ん中にはレモンの種が一つ。味はもちろん最高で、それと同時に自分の母親へ思いをはせ、何だか涙が出そうになっちゃいました。

ミシュラン星付きレストラン「La Madia」

キッチンから度々出てきてお客さんと気さくに話すピノ。そして、非常にプロフェッショナルに質問にはテキパキ答えられるスタッフ。
非常に交通の便の悪いシチリアの田舎町のレストランに、世界中からお客さんがくる秘訣がわかるような気がしました。また来年の夏に訪れようと心に誓うのでした。

Ristorante La Madia(リストランテ・ラ・マディア)

https://www.ristorantelamadia.it/
Corso F. Re Capriata, 22 – Licata (Ag)
Tel. (+39) 0922 771443
info@ristorantelamadia.it