12月10日、私たち日本人も大好きな「イタリア料理」が、遂にユネスコ無形文化遺産に登録されました。2023年から登録を目指してきたイタリアの念願が叶い、今まで以上にイタリアの食文化が注目を集め、活気づくことが期待されています!
パスタ、ピッツァ、フリット・・・美食の宝庫イタリア
ランチタイムや普段の食卓でも、当たり前のように食べているイタリア料理。日本人の舌に最も合う世界の料理といえば、イタリア料理ではないでしょうか?筆者はその一人で、自宅でもよくイタリア料理を作ります。

今回の無形文化遺産の登録で特筆すべきは、料理全体が認められるのは世界初ということ。登録決定を受けてイタリアのジョルジャ・メローニ首相は、「我々は世界で初めてこの認定を受ける。我々のアイデンティティが讃えられる」と述べ、「我々イタリア人にとって、料理は単なる食べ物やレシピのコレクションではない。それよりもさらに大きな文化、伝統、業績、財産でもある」と力強く語りました。

和食も2013年に無形文化遺産に登録されていますが、「和食:日本人の伝統的な食文化」という位置付けで、料理そのものというよりは食文化。また、イタリア料理の中でも、2017年に「ナポリに伝わるピッツァ職人ピッツァイオーリの技」が無形文化遺産に登録されていますが、こちらも職人の技を認めたものでした。そのため、料理自体が評価された今回の無形文化遺産登録は、世界初の快挙となります。

偽カルボナーラに激怒した農相も勝利宣言
2023年から登録を目指していたイタリア。今回の決定を受けて、観光業の活性化に期待しているそうです。 政府は、イタリアの食文化をピッツァ、パスタ、リゾットといった単なる食文化にとどまらず、家族や地域社会を結び付ける社会儀礼と位置付けています。 メローニ首相は声明で、「この栄誉はわれわれにとって大きな誇り。われわれの製品をさらに向上させ、模倣品や不正競争からより効果的に保護する強力な手段となる」と述べました。業界団体は、ユネスコの認定により観光客が2年間で最大8%増加する可能性があり、宿泊者は1,800万人増加すると試算しているそうです。

バジルの風味がたまらない『パスタ・ジェノヴェーゼ』
ちょうどITALIANITYが「第16回 イタリア料理コンクール」の決勝戦「カルボナーラ対決」を取材していたときに飛び込んできた「イタリアの農相が偽カルボナーラに激怒!」というニュースがありました。ベルギー・ブリュッセルにある欧州議会内の売店で販売されていた「カルボナーラ」を名乗るパスタソースが、伝統的なレシピにはないパンチェッタ(豚ばら肉の塩漬け)が含まれているとSNSに投稿。「こうした商品はいわゆる『イタリア風』の最悪の例。欧州議会の売店の棚に並んでいることは受け入れがたい」と書き込み、調査を求めたとされています。

そのロッロブリージダ農相は、イタリア料理の無形文化遺産登録を受け、SNSに「ついに正式決定!イタリアは勝利を収めた。みんなが祝うべきお祭りだ」と喜びをつづったそうです。
素材の持ち味を活かすイタリア料理の魅力
『ミラノ風カツレツ』や『パスタ・ボロネーゼ』『ジェノヴェーゼ』など、ご当地グルメがそのまま日本のレストランでおなじみのメニューとなり、家庭でも愛されているイタリア料理。

筆者が初めてイタリアを旅したときに美味しくて驚いたのは、『タリアータ』で味わったルッコラでした。「なにこれ!この胡麻の風味!!」。今でこそ日本でもスーパーや八百屋で買うことができるルッコラですが、当時は食べたことがなくて、初めての味わいに感動したものです。絶妙な火入れの牛肉のたたきの旨みを引き立てる、ルッコラの風味とパルミジャーノ・レッジャーノのほどよい塩味。ソースに頼りすぎず、素材の持ち味を活かすイタリア料理のすばらしさを実感しました。

「イタリア料理」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを機に、ぜひイタリア各地を巡って味わってみたい本場の美味しさと、それを大切に受け継いできた地域の文化。次にイタリアを訪れる日が待ち遠しい!
在日イタリア商工会議所 https://iccj.or.jp/ja/