地中海に位置するイタリア領のサルデーニャ島から来日中のシェフ、ピエルイジ・ファイス氏をお招きしてスペシャルなランチをいただきました。その様子をレポートします。
ピエルイジ・ファイスシェフは、サルデーニャの中心地・カリアリで『Josto』というレストランを経営しています。小さな厨房で、シェフがサルデーニャの伝統的な食材を使って自然な温かみを感じさせる素晴らしいイタリア料理を作っているのを、私たちはじっと見つめていました。
カリアリでレストランをお探しの方には、『Josto』はとてもお勧めです。シェフと一緒にいただいた2回の食事は、もっとサルデーニャの料理を食べたいと思わせるほど素晴らしいものでした。
小さなキッチンに足を踏み入れるとすぐにお腹がすいてきました。上質なチーズの香りに包まれ、ガスコンロではすでに鍋がぐつぐつと煮えています。カウンターの上には、地元で仕入れた美しい野菜が、今すぐにでも食べられそうな状態で並んでいます。
シェフに会って、シェフのこと、そしてサルデーニャの人たちのことを話しました。外見はタフですが、温厚でホスピタリティに溢れています。まさに地中海にふさわしい人柄です。そして、彼の料理哲学の重要な一端を知ることができました。
「動物の犠牲を無駄にはできない」──この後に出された最初の料理には、シェフが野菜についても同様の哲学を持っていることが表れていました。
イタリアのプロのシェフの仕事ぶりを見るのは、何にも代えがたいものがあります。訓練された動き、食材の姿、厨房に漂う匂い…そのすべてが、料理が運ばれてくる前から食欲をそそります。
フィオレ・サルド(サルデーニャ産チーズ)やボッタルガを味わうメニュー
まずいただいたのは「フレグラのブロッコリークリーム煮」です。ご存じない方のために解説すると、フレグラとはサルデーニャのパスタの一種で、小さなボール状に成形してトーストしたものです。ブロッコリー、オリーブオイル、サルデーニャ産のチーズで作られた美しいクリームの中に、このパスタが浮かんでいます。
シェフの説明によると、これらのチーズは羊と山羊の乳で作られているそうです。サルデーニャの羊や山羊は草だけでなく、低木やハーブを食べるのが特徴です。この食事方法からサルデーニャのチーズは「フィオレ・サルド(サルデーニャの花の意)」と呼ばれ、独特の風味を持ちます。ブロッコリーの“土の味”と相まって、家庭的でほっとする味わいです。
2品目は、1品目とは対照的な面白い料理でした。スパゲッティは誰もが知っている料理ですが、そこに加えるものによって意外な料理になります。今回、ファイスシェフはボッタルガというボラの卵を乾燥させて塩漬けにしたものをスパゲッティのソースに使いました。日本のカラスミに似ていますが、紛れもなくサルデーニャ産の食品です。パスタの湯とオリーブオイル、そしてすりおろしたボッタルガでソースを作り、さらに塩辛い魚卵の袋をすりおろしたものをかけました。その結果、驚くほどシャープな塩味のスパゲッティができあがり、まろやかなフレグラととてもよく合います。
この2回の食事で、『Josto』の味を少し知ることができました。カリアリを訪れる方は、ぜひ一度お店に足を運んで、サルデーニャのモダンな料理を味わってみてはいかがでしょうか。
店舗情報
Josto
via Sassari 25, Cagliari, 09100, イタリア