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イル バッティクオーレの、お肉ゴロゴロ煮込み「ピキャポ」と手長エビとトマトクリームソースの自家製「パッパルデッレ」|イタリアンシェフのまかないレシピ

人気イタリア料理店のまかないとは?

まかないは料理人の特権。まかないって、じつはとんでもなくうまいものを食べてるんじゃないか……という探求心(食い意地)からはじまった当企画『イタリアンシェフのまかないレシピ』。前回「クチーナサンタ」でまかないをごちそうになったところ、ほら、やっぱりおいしいもの食べてるよ! 他のまかないも食べたいの!!

ということで『イタリアンシェフのまかないレシピ』第2回は、クチーナサンタの三田シェフにご紹介いただき、オステリア「イル バッティクオーレ」へ。

新宿にある「気取りの無い本当のイタリア郷土料理」をコンセプトに掲げるイル バッティクオーレ

「気取りの無い本当のイタリア郷土料理」をコンセプトに掲げるイル バッティクオーレは、新宿御苑前から白金台へ移転しました。今回は移転前の取材となります。

店名の「バッティクオーレ」は、イタリア語で「胸が高鳴る」「ときめく」という意味とのこと。これは興奮必死のまかないが期待できそうです。

イル バッティクオーレのシェフは、フランコ・カンツォニエーレさん。プーリア生まれ、ローマ育ちのイタリア人

イル バッティクオーレのシェフは、フランコ・カンツォニエーレさん。プーリア生まれ、ローマ育ちのイタリア人です。

16歳より料理の世界に入り、ローマの「ダ・ジョバンニ」「リストランテ・マングロービア」を経て来日。恵比寿「イル・ボッカローネ」、広尾「ラ・ビスボッチャ」の開店とともに総料理長に就任。1998年に独立し、中野に「イル・フォルネッロ」をオープン。2009年には、新宿御苑に「イル バッティクオーレ」をオープンしました。

お店の扉を開けると、スタッフの皆さんが素敵な笑顔でお出迎え。店内に漂う和やかな雰囲気は、まかないの満足度が高いからか!?

イル バッティクオーレは、イタリア政府公認機関が「イタリア本国同様の質の高いサービスと料理」を提供する店であることを認める、イタリアホスピタリティ国際認証マーク”Ospitalita’ Italiana”を取得

イル バッティクオーレは、イタリア政府公認機関が「イタリア本国同様の質の高いサービスと料理」を提供する店であることを認める、イタリアホスピタリティ国際認証マーク”Ospitalita’ Italiana”を取得しています。本場のイタリア人たちが認める味とサービスを備えていることから、客席のほとんどがイタリア人で埋まってしまうこともあったそうです。

テーブルセットのナプキンがかわいくて、おもわずパシャリ。こんなところからもホスピタリティの高さが伺えますよね。

イル バッティクオーレのまかない「ピッキャポ」

フランコシェフがおもむろに取り出した肉の塊

お腹も空いてきたので、そろそろまかないをお願いします。と、フランコシェフがおもむろに取り出したのは……

イタリア料理店のまかないは牛肉

牛バラ肉が、どーんと800g!

かたまり肉のまま、香味野菜と一緒に3〜4時間下茹で

かたまり肉のまま、香味野菜と一緒に3~4時間下茹でします。目安は牛肉に串がすっと入るぐらいまでじっくりコトコトと。手間はかかるけど根気よく茹でるだけなので、家庭での調理も難しくはなさそう。週末にぜひ挑戦してみたい。

やわらかく牛肉が茹で上がったら取り出して、一口大にカット

やわらかく茹で上がったら取り出して、一口大にカット。この時点でもうおいしそう!

別の鍋で玉ねぎを炒め、オレガノ、トマトソース、そして牛バラ肉の茹で汁を加えます

別の鍋で玉ねぎを炒め、オレガノ、トマトソース、そして牛バラ肉の茹で汁を加えます。フランコシェフの流れるようなスピーディな調理に、撮影も追いつくだけで一苦労。

ゆでた牛肉投入し、フタをして軽く煮込みます

そこに肉投入。フタをして軽く煮込みます。

鍋からいい香りが広がります

良き頃合いでフタを開けると、厨房中にいい香りが広がります。ナニコレタマランネ。
「煮詰めていくので、最初の塩加減は薄めに。もの足りない場合は、食べる前にソースに塩をプラスしてください」とのこと。

盛り付けて完成

お皿に盛りつけて完成!

ピキャポ

【レシピ】
ピッキャポ –Picchiapò-(4人分)
材料
A
玉ねぎ・・・1/4個(スライス)
ニンジン・・・半分(スライス)
セロリ・・・1本(スライス)

牛バラ肉・・・800g
玉ねぎ・・・1玉
トマトソース・・・1缶(約300g)
オレガノ・・・少々
塩・・・適量

作り方
① Aの材料と水、適量の塩を鍋に入れ、沸騰したら牛バラ肉を加えて3〜4時間茹でる。
② 別の鍋にオリーブオイルをひき、スライスした玉ねぎ、オレガノを入れてしんなりするまで炒め、トマトソースを加える。
③ 茹でた牛バラ肉を一口大にカットし、②の鍋に加える。牛バラ肉の茹で汁と塩で味付けして軽く煮込み、ソースにとろみがついたら完成。

Meat

このピッキャポは、ローマにある「ピッキャポ」というレストランが発祥で、それが家庭でも食べられるようになったという料理だそう。
見よ! このお肉のずっしり感。ゴロンと大きいけれど、フォークで切れるぐらいやわらかいんです。
口に運ぶとオレガノがふんわりと香り、食欲がかき立てられます。お肉の中心まで旨みがギュッとしみ込んでいて、噛みしめるたびにうまくて、しあわせ〜。下茹でが効いてるのか、意外とあっさりとした味わいで、いくらでも食べられそう!

Meat

ソースをたっぷり絡めてパクリ。玉ねぎの甘みと食感もいい感じです。

「まかないには野菜の切れ端を使うなど、残り物のアレンジが多いですね。ふだんのまかないは肉料理のメインにサラダとパスタの組み合わせが多く、しっかり食べごたえもあります」と、フランコシェフ。それってほとんどランチコースですよね。なんともうらやましいこと!

イル バッティクオーレのひと皿「手長エビとトマトクリームソースの自家製パッパルデッレ」

手長エビとトマトクリームソースの自家製パッパルデッレ

お次はイル バッティクオーレのスペシャリテ。

新鮮な手長エビ(スカンピ)を……

スカンピ(手長エビ)を二つに切ります

真っ二つに!

身の部分を下にして火にかけます

身の部分を下にして火にかけます。

フランベで香り付け

ギャッ!!!! フランベで香り付けを。

ミルクやトマトソース、パセリ、(そして隠し味も!)などを加えて煮立たせます

ミルクやトマトソース、パセリ、(そして隠し味も!)などを加えて煮立たせます。空腹を誘う香りが充満してツライです……。

名古屋のきしめんよりも太いパスタ、パッパルデッレ

自家製の手打ちパスタ「パッパルデッレ」を茹でます。このパスタ、かなり幅広。名古屋のきしめんよりも太いです。

Meat

茹であがったパスタを、ソースと手早く和えて盛りつけます。

手長エビとトマトクリームソースの自家製パッパルデッレ(Pappardelle con Scampi)

「手長エビとトマトクリームソースの自家製パッパルデッレ(Pappardelle con Scampi)」のできあがり! うーん、エビの香りって何でこんなに魅惑的なんだろう?

合わせるワインはラツィオ州の「ドンナルーチェ」をセレクト

合わせるワインはラツィオ州の「ドンナルーチェ」をセレクト。フルーティなんですがコクもあり、熟成感も感じられるという、非常にレベルの高い白ワインです。

品種はマルヴァジア・デル・ラツィオをメインに複数品種をブレンド。いろんな旨みがひとつにまとまっています。もちろんワインだけでもおいしいのですが、料理に合わせたときの幸福感たるや……想像をはるかに超える衝撃でした。

「ローマは白ワインの産地として有名で、最近はおいしいワインを造る人がすごく増えてます。ローマの人はトリッパとか赤ワインが合いそうな料理でも白ワインを選ぶことが多いんです。料理に使うワインがほとんど白ワインだということと、お昼から飲むことも多いので重くないものを好むということが理由だと思います」

手長エビの風味が最大限に引き出され、そこにトマトの酸味、クリームのコクが調和

手長エビの風味が最大限に引き出され、そこにトマトの酸味、クリームのコクが調和。幅広のパッパルデッレにソースがしっかりと絡んでいます。パスタからワイン、そしてパスタ……という美味ループであっという間に完食。

この「手長エビとトマトクリームソースの自家製パッパルデッレ」は、フランコシェフがローマで勤めた「リストランテ・マングロービア」の一品がもとになっています。そして現在では当たり前になったエビとトマトクリームソースのパスタを日本に初めて紹介したのがフランコシェフだったそうです。いまでもこのパスタを目指して食べに来られるお客さまがたくさんいるというのも納得のおいしさでした。

イル バッティクオーレで、ヴェネツィア料理&ワインが楽しめる

イル バッティクオーレはローマの郷土料理が中心のオステリアですが、イタリア料理の幅広い魅力を知って欲しいという想いから、他の州の郷土料理を1年に4回ほど特集しています。

次回はヴェネツィア・カーニバルの時期に合わせて、2月1日[木]から18日[日]に「トレヴェネツィアの郷土料理とアマローネを愉しむフェア」を開催(5日[月]・13日[火]は定休日)。アドリア海の魚介料理とアルプスの山の料理、超熟陰干しワイン「アマローネ」やスプマンテ「プロセッコ」のバイザグラスなど、ヴェネツィアを含むトレヴェネツィア地方のお料理とお酒が楽しめます。

イル バッティクオーレ自慢のローマ料理にプラスして、ヴェネツィアの郷土料理も堪能できる貴重なチャンス。ぜひこの機会に足を運んで!

イル バッティクオーレIl batticuore
※新宿御苑より下記に移転しています。
東京都港区白金台4丁目9−18 barbizon32 地下1階
TEL:03-6455-6922
営業
平日
ディナー 17:30~22:30(L.O)
土・日・祝日
ランチ  12:00~15:00(CLOSE)14:00(L.O)
ディナー 18:00~22:00(L.O)
日曜営業
定休日:不定休
https://ameblo.jp/ilbatticuore/

【「イタリアンシェフのまかないレシピ」連載一覧はこちら】

【初出:この記事は2018年2月1日、初公開されました@AGARU ITALIA】