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「フランチャコルタ」の真実~ACミランの祝杯ワイン「カデルボスコ(Ca’delbosco)」のワイナリーへ行く~

歓喜のワイン「フランチャコルタ」

グラスに注がれた黄金色に輝くワイン、グラスの底からふつふつと上がってくる繊細な泡。
イタリアでお祝いの席でよく目にする高級スパークリングワインといえば「フランチャコルタ」です。

「フランチャコルタ」は、北イタリア・ロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域で生産された瓶内二次発酵方式で作られる発泡性ワインです。

フランスのシャンパンよりも厳しいとされる製造基準をクリアしたものだけが「フランチャコルタ」を名乗ることができ、「特別な時間」を祝福するワインとしてイタリアでは結婚式や誕生日会などの祝杯の席でよく登場します 。

今回はそんな歓喜のワインが生まれる「フランチャコルタ」の産地へ訪れました。

ACミランの祝杯ワイン「カデルボスコ(Ca’delbosco)」のワイナリーへ

路面電車が行き交い出勤の人々で活気付くイタリアの朝。トリノから約50分の特急電車に乗ってミラノへ向かいます。ミラノセントラル駅からはミラノを知り尽くした知り合いのガイドさんの運転でフランチャコルタへ向かいました。

1時間ほどたったところで、一面に広大なぶどう畑が見えて来ました。ロンバルディア州には世界中からセレブリティも訪れるバカンス地、コモ湖をはじめいくつかの美しい湖があります。今回訪れたイゼーオ湖南岸に位置するフランチャコルタ地域は、水はけがよく痩せた土地として農作物が育ちにくいと言われていましたが、ぶどう作りは例外でイゼーオ湖の水により温室な気候が保たれ、日照条件の良い土壌が「フランチャコルタ」のフルーティで繊細な味わいを作り出します。

到着したのは「フランチャコルタ」を代表するワイナリー、カデルボスコ(Ca’delbosco)。ミラノのサッカーチームACミランが優勝時に祝杯用のワインに選出したことでも知られる生産者です。

スタイリッシュな外観、青々とした芝生に彫刻品が展示された広大な敷地が広がります。
建物内に入りワイナリーの概要を聞いた後は美しく整備された複数のセラーを見学し、いよいよ試飲室へ移動します。石造りの試飲室はまるで中世のお城の中にタイムスリップしたような空間が広がっていました。部屋の隅には熟成中の「フランチャコルタ」が静かに眠っています。

瓶の中で生まれる「絹」のような泡の秘密

こちらでは「フランチャコルタ」の香りと繊細な泡の決め手となる二次発酵の過程を説明していただきました。ワインが入ったボトルの中にイーストと蔗糖を加え、数日間かけて手作業でボトルを規定の角度へ回し、役目を終えた澱をボトルの先にゆっくりと集めます。最低18ヶ月間静かに熟成する間にボトルの中で繊細な泡と深みのある味わいが作られます。 以前は一本ずつ手作業で行なっていた澱引き作業は、現在は最新の技術でボトルの先端だけ凍らせて開栓時にワインを無駄にすることなく澱 を取り除くことができます。なお、数ある発泡性ワインの中でも「フランチャコルタ」だけが名乗ることができる「サテン」というカテゴリーは、通常のガス圧が低く規定されていて、より滑らかで上品な味わいが楽しめます。

栓を抜く爽快な音と共に、共有する人々に笑顔が溢れます。

日本でも少しずつ知名度を増す「フランチャコルタ」。
黄金に輝く泡が、ワンランク上の至福のひとときを与えてくれることでしょう。