南北に長く特色のある風土、海に囲まれて山もあるイタリアは、まさに「食の宝庫」。3月11日から14日まで、東京ビッグサイトを会場に開催された「FOODEX JAPAN 2025」には、ひときわ広々としたスペースにイタリアの食品・飲料メーカーが集結しました。その中から、「次はコレが来る!」と予感させる、新しいおいしさを2回にわたってご紹介します。
柑橘が香る!エクストラ・バージン・オリーブオイル
ほのかにオレンジやレモンの香りが漂うオリーブオイルを知っていますか?筆者は一時期ハマッたことがあり、オレンジのオリーブオイルでドレッシングを作っていました。その柑橘が香るエクストラ・バージン・オリーブオイルを世界で初めて生産し、トレンドを作り出したのが「AGURUMATO アグルマート」。1980年、ワインの産地として有名なアグルッツォにおいて、創業者フランチェスコ・リッチの「エクストラ・バージン・オリーブオイルに革命を起こし、新しい美食文化を世界にもたらしたい」との願いから誕生したメーカーです。

レモンやオレンジ、マンダリン、ベルガモット、シトロンなど、柑橘フレーバーのエクストラ・バージン・オリーブオイルをパンにつけて試食。口元に運んだ瞬間にふわっとみずみずしい香りが立ち昇り、味わいはすっきりとして後からスパイシーな刺激が広がります。この香りを楽しむためには、サラダや蒸し料理のソース、パンにつけるなど、生のまま味わうのがおすすめです。
カラバッジョの静物画を思わせる重厚で美しいラベルもイタリアらしく、飾っておいても絵になるボトル。キッチンにいつも常備しておきたい「アグルマート」のエクストラ・バージン・オリーブオイルは、食通の方への贈り物にも喜ばれそう。

罪悪感なし!ヘルシー志向のピンサ・ロマーナ
サクッと食感のピッツァを思い浮かべながら口に運ぶと、カリッとして中はふわふわの軽い口当たり。ピッツァともパンとも違う新しいおいしさが楽しめる「ピンサ・ロマーナ」―「DI MARCO ディマルコ」が開発して世界中でブームになりつつある進化系フードの秘密に迫ります。
ローマでパン製造業を営む家系出身の創業者コッラードは、1970年代より、子どもからお年寄りまで好まれる消化のよいヘルシーフードの開発に着手。2,000回以上の発酵実験を経て、小麦粉・大豆粉・米粉と酵母を混ぜた生地を72時間発酵させ、重さの原因となるでんぷん質やグルテンの分解が進み、消化しやすく軽い食感の生地を完成させました。生地は80%以上の水分を含むため、表面はカリカリ、中はふわふわの食感を実現しています。

会場ではさまざまなバリエーションのピンサ・ロマーナをシェフが次々と作り、常に試食を求めるゲストでにぎわっていた「ディマルコ」のブース。筆者は生ハムを使ったサンドイッチタイプと、サラミ&フォルマッジョをトッピングしたピンサを試食。ピッツァより軽い食感でありながら、生地の風味はしっかりあり、クセがないので色々な食材との相性も良さそうです。

一般的なイタリアンピッツァと比べて、糖質、脂質、カロリーが低く、ヘルシー志向のニーズに合うのもポイント。この日いただいたフードの中でも一番のおいしさに、「これは流行りそう」だと実感しました。
イタリアの老舗が贈る「飲むビネガー」
会場で最初に出会ったのが、クラシカルなボトルも美しい「ANTICA ACETAIA DOTI アンティカ アチェート ドーディ」。1891年創業のバルサミコ(果実酢)の老舗です。エミリア・ロマーニャ州レッジョ・エミリア村には、娘が生まれるとバルサミコの醸造樽を仕込み、娘が嫁ぐときに熟成させたバルサミコとともに嫁入りする風習があったそう。創業者が娘のために醸造したバルサミコと同じように、「ドーディ」のバルサミコも、4代にわたって伝統製法が受け継がれています。
まず試食したのは、12年熟成、20年熟成、25年熟成の味比べ。12年熟成にして、かなりとろみがあって濃厚な風味でしたが、次に20年熟成を舌にのせると「あーっ、やっぱりこっちの方が芳醇でおいしい」と実感しました。25年ものになると、なかなか瓶から出てこないほどとろみが増して、ガッツリ濃厚な味わい。個人的にはまろやかな酸味の20年熟成が、香り、味わいともに好みでした。この芳醇な香りのバルサミコ酢は、生で料理に使うのはもちろん、アイスクリームにかけても絶品です。

「ドーディ」で見つけた新しいおいしさは、ぶどうやザクロなどの食材をミックスした「飲むビネガー」。いずれも濃縮した白ぶどう果汁と白ワインビネガーがベースになっています。日本ではヘルシー志向で何年か前からブームになり、特に美容に関心の高い女性の間で定着した「飲むお酢」ですが、イタリア産の最高級ビネガーのドリンクはどんな味わいなのか?はじめに「りんごビネガー」を試飲すると、甘さを抑えた爽やかな味わい。次に試飲した「しょうがビネガー」は後味がスパイシーで、水やソーダで割るのはもちろん、お湯で割って飲むのもおいしそうです。

「FOODEX JAPAN 2025」で見つけた「イタリアの食の最前線」。伝統を大切にしながらも、未知の可能性を追求した美味の数々を次回もご紹介します。お楽しみに!
AGRUMATO
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DI MARCO
ANTICA ACETAIA DOD