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知っておきたい! EVOO(エキストラバージンオリーブオイル)の価格が決まるまで

「Japan Olive Oil Prize」を受賞したエキストラバージンオリーブオイルの数々

在日イタリア商工会議所は、世界各国の高品質で選りすぐりのEVOO(エキストラバージンオリーブオイル)から最高峰の商品を選定する「Japan Olive Oil Prize(日本オリーブオイル大賞:略称 JOOP)」を毎年開催しています。


JOOPは、東京を拠点とする国際的なコンテストであり、世界各地の高品質なEVOOブランドを日本市場に広く普及させることを目的としています。JOOPは、2013年の設立以来、高品質なEVOOブランドの生産者が同業界の日本企業とのパートナーシップを締結できるように支援してきました。同時に、日本の消費者に品質の高い製品と選ぶ際の知識を教育することにも注力しています。その結果、JOOPはアジアにおけるEVOO消費量の主要国である日本において、最も専門的なEVOOコンペティションとして認知されるまでに成長し、今年で12回目を迎えました。わずか11年の間に、JOOPは世界中が信頼できるコンペティションとしての地位を確立したのです。


「Japan Olive Oil Prize Design Award」を受賞したエキストラバージンオリーブオイル

JOOPは商業的な制約がなく、世界的に権威のあるEVOO専門家らによる厳格なブラインド・テイスティングが行われています。そして、年間を通して、日本全国で最も重要な機関や最高のロケーションで、宣伝プロモーション活動を行っています。JOOPは、新商品を求めるインポーターやディストリビューターのネットワークを強化し続けています。また、消費者とのオープンな対話を通じて、正しいEVOOの選択について啓蒙活動を行っています。2020年からは、EVOOブランドのロゴからボトルの包装に至るまでデザインの美しさや優れた芸術性を評価する「Japan Olive Oil Prize Design Award」を開催。


(左から)駐日ポルトガル大使 ヴィットル・パウロ・ダ・コスタ・セレーノ 閣下、駐日イタリア大使 ジャンルイジ・ベネデッティ閣下、在日イタリア商工会議所 ダヴィデ・ファントーニ事務局長、駐日イスラエル大使 ギラッド・コーヘン閣下、駐日ギリシャ大使 ニコラオス・アルギロス閣下

「Japan Olive Oil Prize 2024」審査員の方々

2024年6月7日(金)に、東京タワーにて第12回JOOPの授賞式が開催されました。計27カ国から488ものEVOOがエントリーし、11名の審査員による4日間の厳格なブラインドテイスティング審査を経て、入賞EVOOをメディア関係者、インポーター、各国大使に向けて発表しました。


駐日イタリア大使ジャンルイジ・ベネデッティ閣下
フラントイオ・ロリンダの「ロリンダ・モノヴァリエターレ・ディ・ラッジャ」

今年はイタリアのEVOOが顕著な成績を収め、全体で22本のベスト・イン・クラス賞(10点満点中9.5点以上のEVOOに与えられます)のうち、13本がイタリア産EVOOに贈られました。その中でも最高得点を獲得したのは、フラントイオ・ロリンダの「ロリンダ・モノヴァリエターレ・ディ・ラッジャ」です。


苦味、スパイシーさ、甘み、フルーティーさのバランスが非常によく、アーモンドの香りもわずかに感じられる酸味の少ないデリケートなオイルです。単一品種としても優れていますが、他の品種の強すぎる香りを和らげ、バランスをとるためにブレンドにも使われます。フレッシュでデリケート、またバランスのとれたオイルなので、生食はもちろん、加熱調理や、魚や白身肉などのデリケートな料理に適しています。また、トマトやブルスケッタ、グリルした野菜とも相性抜群。小児期の栄養補給にも最適です。


では、なぜエキストラバージンオリーブオイルは高価なのでしょうか? その理由を、合同会社モーリー代表の江沢恵氏に伺いました。

合同会社モーリー代表 江沢恵氏

「オリーブオイルに限らず、どこの会社の商品も現地での原価が最近高くなっているんですね。今は日本円が弱いので、どうしても価格が高くなってきます。高い値段設定プラス為替レートの関係があって、日本に輸入するとどうしてもそうなってしまうんです。決してインポーターがたくさん利益を得ているわけではなくて、逆に利益を少なくして、上げ幅を抑えているくらいです。


税率は、オリーブオイルの場合は8%、ワインは10%で、ワインと違って、オリーブオイルはアルコールではないので、関税、通関するときの費用を抑えることができます。ですが、それを考えてもやはり原価が上がっているので高くなってしまうんです。高級なハイエンドのお店に行くと、500mLで8000円くらいで売っているんですね。でも、結構納得するんですよ。海外でも本当に高いものは高いので。


原材料や人件費も上がっており、オリーブオイルの中でもオーガニックのものは人手がいりますし、目の届く範囲できちんと毎日手を掛けなくてはいけません。また、大量生産ができないこと、あとは抽出してからずっと管を通して、一切空気に触れないよう、酸化しないようにアルゴンガスを使っているんですよ。窒素ガスはよく補填するときに入れるんですが、アルゴンガスの方が値段が高く、そこまで真剣にやっているところもあるくらいです。


©evrim ertik

また、オリーブオイルで使用するオリーブは、小さな点が少しあっても駄目なんです。検査では、顕微鏡でオリーブを見たりするんですね。大量生産で、機械で一気に収穫すると、それらが全て混ざってしまうんです。高いオリーブオイルは、それらが混ざらないように手摘みで行うので、どうしても人手がいるんです。結局、安いものは大量生産で、しかも機械で摘んでいるので、味に差が生まれてきます。高価なオリーブオイルには、きちんとした理由があるんです」と語っています。


以上、エキストラバージンオリーブオイルについてご紹介しました。抗酸化物質、ポリフェノール、そしてビタミンEの宝庫で、健康作りにも役立つ、本物のエキストラバージンオリーブオイルをぜひ食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。