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旅の途中、少しのあいだ荷物を預けて身軽になれる場所 【イタリアワインと私】Vol.1 佐久間努さん(デポーズィト バガーリ) | ワインバー 三軒茶屋

イタリア好きの中でも、とりわけイタリアワイン好きには、おもしろいキャラクターの人が多いように思います。一見すると普通に見えても、底が抜けているような、桁が外れているような、スケール感が大きいというか、規格外というか。そんなことを感じていたので、イタリアワインにかかわる人々に数珠つなぎで登場してもらったら、何か見えてくるものがあるんじゃないかと、リレーコラム「イタリアワインと私」をスタートしました。

第1回に登場してくださったのは、三軒茶屋にあるイタリアワイン専門のワインバー「Deposito Bagagli(デポーズィト バガーリ)」の佐久間努さんです。

デポーズィト バガーリを知ったのは、奥渋谷にひっそりとたたずみながら絶大な人気と発信力をもつ「BAR BOSSA(バールボッサ)」の林伸次さんのNOTEを読んだことがきっかけでした。林さんがおススメしていて、イタリアワイン専門のワインバーとくれば、「SHOP ITALIA」エディターとして行ってみないわけにはいきません。

ちなみに、林さんは次のように紹介しています。
〈イタリア・ワイン専門のワインバーということで、高級感がありつつも、一瀬さん(引用者註:三鷹バル)独特の暖かみのある内装でした。
さて、デポーズィト・バガーリさん、すごく良いお店でした。
僕、実は、何度も何度も佐久間さんに「ワインバーは絶対にやらない方がいい」って忠告したんです・・・〉
林伸次「昨日は三軒茶屋に行って、コーヒー・ライツとデポーズィト・バガーリに行きました」(2018/02/05)

そんな心配もよそに、夢と志をもってイタリアワイン専門のワインバーを開いた佐久間さん、穏やかな雰囲気のイケメンですが、やっぱり筋金入りですよね。

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こちらの好みを伝えると、「じゃあ、これはどうでしょう?」と出してくれるワインが見事にビンゴ。もちろんそれがソムリエの技量ですが、佐久間さんはその人の好みにピッタリのワインを察知するソムリエ力がすごいです。

Q1.現在のバーのお仕事について

⽇常の中にほんの少しでも旅情を感じていただきたいという思いから、2017 年、イタリアワイン専⾨のワインバー「Deposito Bagagli(デポーズィト バガーリ)」をオープン。「つまらないワインを飲むには、⼈⽣はあまりにも短すぎる」というゲーテの⾔葉を胸に、ソムリエとして、来店されたお客様にワインとの最⾼の出会いを提供できるような仕事を⼼がけています。

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店名の「Deposito Bagagli」とは「手荷物預かり所」という意味。「日常の重い荷物はひとまず預けて、束の間の旅情に思いを馳せてほしい」という思いから。

Q2.イタリアワインとの出会い

イタリア料理に魅了されてからは選ぶワインもイタリアワインに傾倒し、その天真爛漫なキャラクターに⼼を摑まれました。しかしその頃の僕は「イタリアワイン」ではなく「ワイン」を飲んでいたんだと思います。本当の意味で僕が「イタリアワイン」に出会ったのはもう少し後のことで、ヴェネツィアのバーカロで地元の⼈々がグラスを⽚⼿に談笑する姿を眺めながらワインを飲んだときでした。これがイタリアワインなんだな、と感じたことを今でも憶えています。

Q3.イタリアワインの魅⼒は?

端的に⾔ってイタリアワインは「旅」だと思います。イタリアワインが注がれたグラスを⼿に⽬を閉じると、⼼は1万キロメートル離れた⻑靴の形をした半島まで旅に出る。ネッビオーロからは霧に霞んだピエモンテの⼭あいの集落が浮かび上がってくるし、サンジョヴェーゼを⼝にすると、収穫時期を迎えて⾦⾊に輝く⻨畑の景⾊が⽬の前に現れる……イタリアワインを飲むことは、イタリアを旅することなんだと思います。

Q4.オススメのイタリアワインを1本だけ挙げるとしたら?

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デザート・ワインと聞くと特に男性は敬遠しがちかもしれませんが、瞑想ワイン(meditation wine)といえば気になる⽅も多いのでは。
イタリアでは⼀般的な⾟⼝ワインとともに残糖させた⽢⼝のデザート・ワインも盛んに造られていて、⼀⽇の締めくくりにゆったりと愉しむワインとして⼈気が⾼いんです。そんな中でもおすすめしたいのがロダロの「ピコリット・ディ・パオロ・ロダロ」。希少な⼟着品種であるピコリットを陰⼲しし、糖度を⾼めた上で⽢⼝のワインに仕⽴てています。杏やナッツの⾹りが広がり、後を引かない上品な⽢さと⼀本筋の通った酸はこの上なくエレガント。琥珀⾊のワインを⼝に含み、瞑想に浸りたい、そんなワインです。

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食べ物は、ワインに合うチーズ、プロシュットなど軽いおつまみなので、アペリティーボ、もしくはどこかで食事をして2軒目に立ち寄るのがいいですね。


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PROFILE
佐久間 努(さくま・つとむ) 
Deposito Bagagli(デポーズィト バガーリ)店主

⼤学卒業後、いずれはバーを開業しようと志し、まずは社会経験を積み開業資⾦を貯めるために出版社に就職。プライベートで訪れたイタリアでイタリアワインに魅了され、⽬標をイタリアワイン専⾨のワインバーへと軌道修正する。その後インテリアショップ勤務を経て、2012 年から「タヴェルナ・グスタヴィーノ」でサービスとソムリエの修⾏を積み、独⽴開業へ向けての準備を進める。2017年秋、三軒茶屋から少し離れた⾃称「3.5 軒茶屋」に「デポーズィト バガーリ」をオープン。

SHOP DATA
Deposito Bagagli(デポーズィト バガーリ)
●住所:東京都世田谷区上馬1-32-10 ハイツ三軒茶屋201
●営業時間:火~金 18:00~24:00、土・日・祝 15:00~22:00
●定休日:月曜(祝日の場合は火曜に振替)
●TEL:03-6450-9611
公式サイト https://deposito-bagagli.business.site/
Facebookページ https://www.facebook.com/deposito.bagagli.2017/

●Q&Aのテキスト&写真/佐久間 努

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