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イタリアブランド牛「キアニーナ」をテーマにシェフ4人がコラボディナーを開催

私は松阪市出身なのですが、松阪といえば言わずと知れたブランド牛「松阪牛」で有名なところ。他にも神戸牛や近江牛など日本にはブランド牛がありますが、イタリアにもブランド牛があることをご存知でしょうか。その中でも代表格なのがキアニーナ(Chianina)です。


古代ローマ時代の式典にも使われ、2000年以上もの歴史を誇る、世界最古の牛「キアニーナ」

キアニーナ牛はトスカーナ州中部の緑豊かで風光明媚なキアニーナ渓谷で育てられている、真っ白な見た目が特徴的な世界最大級規模の大きな牛の品種です。その歴史は古く、古代エルトリア時代には既に飼育もされており、実に2000年以上もの長い歴史をもつ、世界最古の品種のひとつです。EU(欧州連合)が規定した「ご当地生産物」の基準を意味するIGP(Indicazione Geografica Protetta=保護地理的表示)にも認定されており、非常に厳しい規定をクリアした牛にのみキアニーナIGPが認められるため出荷頭数も少なく、希少で高級な牛です。


古代ローマ時代の式典にも使われ、2000年以上もの歴史を誇る、世界最古の牛「キアニーナ」

キアニーナ牛は、脂肪の多い霜降り牛である松阪牛と対極にある脂肪の少ない赤身の肉質が特徴で「高たんぱく質」かつ「低コレステロール」なヘルシーな牛肉です。代表的な食べ方は、フィレンツェを訪れる人が誰もが食べたいと願うビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風Tボーンステーキ)で、熟成されたキアニーナ牛の素材の良さをダイレクトに味わえます。


キアニーナ渓谷&キアニーナ牛のホームページ

URL https://www.chianinavalley.eu/it


トスカーナ州から招待!ご当地グルメの”食い倒れ”プレスツアーに参加しました<第一回>
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トスカーナ州から招待!ご当地グルメの”食い倒れ”プレスツアーに参加しました<第一回>

小林 真子 / 2021.10.29

古代ローマ時代の式典にも使われ、2000年以上もの歴史を誇る、世界最古の牛「キアニーナ」

もはや日本をはじめ世界中へ出荷もされ、世界的にも有名となっているキアニーナ牛ですが、このキアニーナが育つキアニーナ渓谷についてももっと多くの人たちに知ってもらいたいと、地元のシェフ協会や地元やイタリアのレストラン・ホテル・ソムリエ協会、キアニーナ牛の生産者や地元のワイン生産者たちが共同で面白いコラボイベントを開催しました。その名も「Chianina in Tavola in Tour=”テーブルにキアニーナ”ツアー」。


左からピズィーニ・シェフ、マッカリ・シェフ、レダエッリ・シェフ、ロッシ・シェフ(写真提供)robespierre
左からピズィーニ・シェフ、マッカリ・シェフ、レダエッリ・シェフ、ロッシ・シェフ(写真提供)robespierre

このイベントは、キアニーナ渓谷にある人気レストランの有名シェフ4人がコラボするディナーで、各シェフがキアニーナ牛を使った一品をつくり、参加者はその4品を一晩で全部味わえることができるという、キアニーナ好き&グルメには夢のような企画。イベント名に「ツアー」と入っているように、4人のシェフの各レストランごとに開催されるため、全4回開催となります。


「Chianina in Tavola in Tour=”テーブルにキアニーナ”ツアー」イベントの様子

私が参加したのは、アレッツォのレストラン「ロッジェ・ヴァザーリ(Logge Vasari)」で開催された第三回目のディナーで、3月4日に開かれました。このレストランは、アレッツォのメイン広場のピアッツァ・グランデ(グランデ広場)に面した古い歴史を持つとても美しいレストランで、ここのシェフ、ロレンツォ・ピズィーニ(Lorenzo Pisini)氏がホストとなって、メイン料理とデザートを担当しました。


「Chianina in Tavola in Tour=”テーブルにキアニーナ”ツアー」イベントの様子

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小林 真子 / 2021.10.08

各料理ごとにソムリエ協会AISが地元ワインをセレクト、キアニーナ牛とワインのハーモニーも堪能

この企画ディナーではワインのセレクトにも大きなこだわりがありました。ソムリエ協会AISが、各料理ごとに合う地元ワインをセレクトするため、ひと皿ごとに異なったワインを楽しめるという、贅沢な内容。


イベントでワインボトルを見せる人

日本でもそうですが、地元の食材に地元のお酒を合わせるのは最高の組み合わせというわけで、キアニーナ牛にはやっぱりキアニーナ渓谷のワインがよく合います。地元ワインのPRにもなり、名門ワイナリーCarpineto(カルピネート)のワインなどが提供されました。


名門ワイナリーCarpineto(カルピネート)のワイン

ワイナリーCarpineto(カルピネート)

URL https://carpineto.com/


アザミやアーティチョークの花で固めてつくる、ヴォルテッラのペコリーノ/トスカーナ州主催プレスツアー<第二回>
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アザミやアーティチョークの花で固めてつくる、ヴォルテッラのペコリーノ/トスカーナ州主催プレスツアー<第二回>

小林 真子 / 2021.10.30

人気シェフたちが腕を競い合う、最高の4品のスペシャルディナーの内容

地元の食材キアニーナを使って4人のシェフたちが腕をふるった料理を一挙にご紹介します。キアニーナ料理全4皿を全部食べられるよう、ひと皿ずつの量が通常より少なめだったのも嬉しい配慮でした。


Chianina in Tavola in Tour=”テーブルにキアニーナ”ツアー」の様子

①前菜「地中海アロマ風味のキアニーナの宝箱、生野菜スティックとともに(lo Scrigno di Chianina agli aromi mediterranei con pinzimonio)」


①前菜「地中海アロマ風味のキアニーナの宝箱、生野菜スティックとともに(lo Scrigno di Chianina agli aromi mediterranei con pinzimonio)」

前菜を担当したのはコルトーナにある人気レストラン「オステリア・デル・テアトロ」のシェフ、エミリアーノ・ロッシ氏。生のキアニーナ牛のオイル漬けといった感じでしたが、粒コショウや様々なアロマと一緒に口に含むといろんな味わいを楽しめて、まさに宝箱といった感じ。キアニーナがもつ本来の味わいをダイレクトに感じられる新鮮な一品でした。


シェフ: Emiliano Rossi(エミリアーノ・ロッシ)

レストラン: Osteria del Teatro(オステリア・デル・テアトロ)

住所: Via Maffei, 2 Cortona (Arezzo)

URL  https://www.osteria-del-teatro.it/it/


②プリモ「キアニーナのリングのトスカーナの羊チーズDOPソースがけ、シラーとドライベジタブル添え(gli Anelli di Chianina con vellutata di Pecorino Toscano DOP, riduzione di Syrah e verdure essiccate)


②プリモ「キアニーナのリングのトスカーナの羊チーズDOPソースがけ、シラーとドライベジタブル添え(gli Anelli di Chianina con vellutata di Pecorino Toscano DOP, riduzione di Syrah e verdure essiccate)

プリモのひと皿目を担当したのはシナルンガにある人気レストラン「リストランテ・ウォルター・レダエッリ」のウォルター・レダエッリ氏。まるでデザートのクレープのような可愛らしい見た目の料理にうっとり。キアニーナはシンプルな味付けで素材の良さが生かされ、溶かしたチーズやソースと一緒に食べるとまた違った味わいになる楽しい料理でした。


シェフ:Walter Redaelli (ウォルター・レダエッリ)

レストラン: RISTORANTE WALTER REDAELLI(リストランテ・ウォルター・レダエッリ)

住所: Via XXI Aprile, 26 – 53048 – Bettolle – Sinalunga (Siena)

URL https://www.ristoranteredaelli.it/


③プリモ「キアニーナ牛ミートソースのオープン・ラザニア、パルミジャーノレッジャーノとほうれん草ソース添え( la Lasagnetta aperta con ragù di Chianina, fonduta di parmigiano reggiano e coulis di spinaci )」


③プリモ「キアニーナ牛ミートソースのオープン・ラザニア、パルミジャーノレッジャーノとほうれん草ソース添え( la Lasagnetta aperta con ragù di Chianina, fonduta di parmigiano reggiano e coulis di spinaci )」

プリモのふた皿目は、日本でもお馴染みのラザニアでしたが、全く姿を変えて現代アートのような見た目で登場し、意表を突かれました。ラザニアを斬新にアレンジしたのはキウージのレストラン「イル・パトリアルカ」のメインシェフであり、この企画では唯一の女性シェフであるカティア・マッカリ氏です。こちらもキアニーナの風味を損なわず、キアニーナを主役にした味付けになっていました。


シェフ:Katia Maccari(カティア・マッカリ)

レストラン: IL PATRIARCA (イル・パトリアルカ)

住所: Strada Statale 146, Località Querce al Pino, 53043 Chiusi (Siena)

URL https://www.ilpatriarca.it/it/ristoranti/la-chef-katia-maccari-p45


④メイン「キアニーナのペポーゾ、カリカリのトリッパスティックとポテト添え(il Peposo di Chianina, stick di trippa croccante e bicromia di patata)」


④メイン「キアニーナのペポーゾ、カリカリのトリッパスティックとポテト添え(il Peposo di Chianina, stick di trippa croccante e bicromia di patata)」

メイン料理とデザートを担当したのは、今回開催されたレストラン「ロッジェ・ヴァザーリ」のシェフのロレンツォ・ピズィーニ氏。トスカーナのコショウがきいた伝統料理ペポーゾをキアニーナでつくるメイン料理に、これまたトスカーナでよく食べられるトリッパをフライしたものをあわせるというユニークな組み合わせ。このペポーゾはキアニーナの風味を活かすために、通常よりもコショウを抑えたマイルドな味わいとなっていました。


⑤デザート「ジャンドゥーヤのクリーム、エキゾチックフルーツゼリー(un Cremoso al gianduia, gelatina di frutti esotici」


⑤デザート「ジャンドゥーヤのクリーム、エキゾチックフルーツゼリー(un Cremoso al gianduia, gelatina di frutti esotici」

その場にいた全員をひと目で虜にしたデザートは見た目のインパクトある美しさはもとより、ヘーゼルナッツ入りチョコレートのジャンドゥーヤクリームと甘酸っぱいエキゾチックフルーツの組み合わせが最高の味わいで、同じテーブルにいた全員が大絶賛していました。


シェフ: Lorenzo Pisini(ロレンツォ・ピズィーニ)

レストラン: Logge Vasari(ロッジェ・ヴァザーリ)

住所: Piazza Grande 19 (Arezzo)

URL https://www.loggevasari.it/


イベントに参加したシェフたち

今回4人のシェフのそれぞれのキアニーナ料理を一度に食べるという幸せなディナーを楽しみましたが、どのシェフもキアニーナの味付けはシンプルにし、素材の良さを最大限活かすことに配慮していることがよくわかり、シェフたちの地元キアニーナ牛への愛を感じました。


アレッツォの肉屋協会会長のアルベルト・ロッシ氏
アレッツォの肉屋協会会長のアルベルト・ロッシ氏

キアニーナ牛をテーマに地元のシェフたち、地元のワイナリー、生産者、レストランなどがコラボするディナーというユニークな企画は、日本の町興しのアイデアとしてもとても面白い試みだと思いました。


イベントのポスター

さて、4人の人気シェフによるキアニーナづくしディナーも残すところあと一回のみ。最終回は、コルトーナの「オステリア・デル・テアトロ」にて3月31日に開催される予定です。一般参加も可能ですので、この日にイタリアにいらっしゃる方は参加してみてはいかがでしょうか。


3月31日開催イベントの詳細

URL https://www.eventiintoscana.it/evento/chianina-in-tavola-tour-cortona-e-arezzo