イタリアの食文化のシンボル的存在がエスプレッソ。エスプレッソは1901年にミラノで生まれました。
1906年4月28日~11月11日に開催されたミラノ万国博覧会で、Bezzera社が「Caffe’ Espresso」と表記したのが、エスプレッソの始まりです。本物のイタリア・エスプレッソとカフェ文化を発信し、豊かなライフスタイルを楽しむ機会を提案する記念日として、国際カフェテイスティング協会イタリア本部により、イタリアでは4月の第2金曜日、日本では4月16日(ミラノ万博の開催に合わせ、エスプレッソマシンが一般公開された日)が「イタリア・エスプレッソ・デー」として制定されました。
カフェやバールでのエスプレッソの楽しみ方を、エスプレッソのスペシャリストであるバリスタの中川直也さんに伺いました。
イタリア・エスプレッソとカフェ文化を楽しむ
本来の「エスプレッソ」がどのようなものなのかは、東京、大阪などの大都市で、やっと認知されてきたという状態です。コーヒーをめぐる状況としては、シアトル系のセカンドウェーブからスペシャリティーコーヒーのサードウェーブが落ち着いて来たところで、これからは、カッコよく飲むのか、普段使いで飲むのかなど、もっといろいろな楽しみ方ができるようになってくると思います。
イタリアではバールが生活の中に根付いていて老若男女が集います。エスプレッソの楽しみ方も時間帯やシチュエーションでさまざまです。日本でもサードウェーブの影響で、若い人も年配の人も一緒に楽しめるような感じのいいカフェが増えて来たのはうれしいですね。
ミルクたっぷりのカプチーノは朝食代わり
イタリアではカプチーノは朝から10時前くらいまでしか飲みません。夜にたくさん食べてお酒を飲むと、朝はそれほどおなかが空かないので、カプチーノとチョコレートやクッキーを食べれば朝食代わりです。クロワッサンのようなコルネットというパンやブリオッシュなどを食べることもあります。
イタリア人はミルクを「多め/少なめ」「熱め/ぬるめ」とか、自分の好みに合わせてカスタマイズして注文します。エスプレッソを使ったメニューは実に幅広くあります。
エスプレッソは飲むチョコレート
エスプレッソは「コーヒー」というより、溶けたチョコレートのようなもの。チョコレートは一粒食べたらリラックスしますよね。エスプレッソも同じです。砂糖を入れてしっかり混ぜると乳化してキャラメル感が出てきて、まさに飲むチョコレート。ランチの後や、午後の仕事の合間、夕方、ディナーの後などバールに寄って気軽に楽しみます。
夜にリストランテに行ったときなど、ストーリーがある料理を楽しんだあとには、最後にエスプレッソを飲んでクロージングしたいんです。トラットリアの場合は、食事の後にタルトとかいろいろと盛り合わせして出してくれます。ドルチェを食べると口の中が華やぐので、その後にリキュールを飲みたくなりますが、その前にいったん締めくくるためにエスプレッソを飲みます。
リキュールとエスプレッソはディナーのあとの夜の楽しみ
飲み終わったエスプレッソのカップの中に、ちょっとだけリキュールを垂らして飲むのが僕のおススメです。リキュールの強いアルコールがまろやかになって、香りまで楽しめます。これは夜の飲み方ですね。
エスプレッソはもともと豆の成分の中にレモン、オレンジなどの柑橘類、洋梨、ベリー系のフルーティーな香りや、ナッツなどの香りを感じられるものもあります。なので、リキュールもイチゴやマスカット、柑橘類などのフレーバーがアクセントとして入ると、エレガントな口当たりでおいしくなります。
エスプレッソは朝から晩まで、さまざまな楽しみ方ができますよ。
★イタリア・エスプレッソ・デーにちなみ、バリスタ中川直也さんに「イタリア本場の味と雰囲気を楽しめる、おススメのカフェ」を教えてもらいました。
その1.深いコクと余韻。南イタリアの豆を味わう「ピエトレ・プレツィオーゼ」
その2. ピッツァとジェラートがおいしい「ア・レガ」。すっかりローマにいる気分
その3. 北イタリア・モデナの老舗カフェ・カリアーリの豆でカプチーノを!「ヴィア・ポカポカ」