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コロナ禍で迎える二度目のクリスマス。年末のフィレンツェから近況リポート(2021年12月26日)

<※この記事は2021年12月26日現在の内容です>

コロナ禍となってから、ずいぶん長い月日が経ち、新型コロナウィルスとの共存がなんだか普通の日常のように感じてしまうほど感覚も麻痺してきました。フィレンツェ在住の私は、コロナ禍になってから一度も日本に帰国していないため、日本の状況はネットのニュースなどで感覚的に理解することしかできませんが、日本にいらっしゃる皆さんもイタリアが現在どのような雰囲気なのかいまいち想像しにくいのではないでしょうか。このイタリアニティではイタリアでの最初のロックダウンからイタリアにおけるコロナ禍状況を随時お伝えしてきましたが、今回はコロナ禍となってから迎える二度目の年末のイタリアの様子をリポートします。


クリスマス前までは、多くの買い物客で賑わったフィレンツェ

昨年のクリスマス前のイタリアは、小売店の営業規制、レストランの営業停止、午後10時以降外出禁止といったような外出時間や移動規制など日常生活に様々な規制がかかり、過去に例を見ないほどひっそりとしたクリスマスとなりました。


今年のクリスマス前のフィレンツェは、昨年とはうって変わり、再び過去のようにクリスマス前の週末ともなると中心地は多くの買い物客たちで大賑わいとなりました。小売店も飲食店も通常営業しており、どのショップやレストランも多くの利用客が訪れ、中には入店に列ができているお店もいくつもありました。昨年は営業停止となっていた郊外のショッピングセンターも大混雑し、クリスマスの贈り物の買い物袋を両手にぶら下げた人たちで溢れかえっていました。


コロナ禍で迎える二度目のクリスマス。年末のフィレンツェから近況リポート(12月26日)

新しいショップやレストランもオープンし、コロナ禍を忘れるほどクリスマス前までは賑やかでした。クリスマスイルミネーションを背景に写真撮影をする家族連れなどでメイン通りを多くの人たちが歩き、バールやレストランでアペリティーボや食事を楽しむ人たちの笑い声があちこちから聞こえてくる明るい雰囲気となっていました。


コロナ禍で迎える二度目のクリスマス。年末のフィレンツェから近況リポート(12月26日)

店内だけでなく混雑する街の中心地の屋外でもほとんどの人がマスクを着用しており、マスク生活ももうすっかり日常化しています。あるイベントではサンタクロースプリントのマスクがプレゼントされ、つい2年前までは誰もマスクをしていたなかった国でマスクが景品になる日が来るなんて今でも信じられない気持ちです。


イタリアのイベントでもらったクリスマス仕様のマスク
イタリアのイベントでもらったクリスマス仕様のマスク

クリスマス前にはクリスマスマーケットが各地で開かれ、またクリスマスパーティーがレストランやヴィッラなども開催され、通常の年末の雰囲気を2年ぶりに楽しめることを多くの人たちが喜び、私もいくつか参加しましたが、コロナ禍を忘れさせてくれるひとときとなりました。


今年はレストランやヴィッラでの年末ディナーが可能に
今年はレストランやヴィッラでの年末ディナーが可能に

また、劇場や映画館、美術館や博物館も通常営業し、コンサートやオペラ、美術鑑賞や映画鑑賞もマスク着用をしながら普通に楽しんでいました。大型イベントも開催可能で、セリエAの試合も通常通り観客が大勢訪れる中で行われ、2年ぶりにいつものクリスマスの雰囲気となっていました。


フィレンツェのストロッツィ宮殿で1月30日まで開かれているJeff Koons展
フィレンツェのストロッツィ宮殿で1月30日まで開かれているJeff Koons展


12月6日からは「スーパーグリーンパス」が導入、ワクチン未摂取者は行動が大幅制限

イタリアでは、食品店やスーパー、小売店に入るためにはマスクの着用が義務づけられ、レストランや劇場、美術館、コンサート、映画館、スポーツ観戦のためにはマスク着用義務に加えて、「グリーンパス」証明の提示が義務付けられています。グリーンパスは<新型コロナウイルスのワクチン接種証明または治癒の証明または48時間以内の陰性証明>で、ワクチンを接種した場合は自動的に携帯電話のアプリに証明書が届くシステムになっています。


フィレンツェのMarino Marini美術館では年末年始に新しい企画展が開催
フィレンツェのMarino Marini美術館では年末年始に新しい企画展が開催

このグリーンパスに、12月6日からは新たに「スーパーグリーンパス」が登場しました。これまでのグリーンパスとの違いは<48時間以内の陰性証明が排除されている>ことで、つまりワクチン未接種者はこのスーパーグリーンパスを入手することができません。これまで、レストランや映画館、劇場、美術館、プール、文化施設、遊園地、ゲームセンターなどではワクチン未接種者でも48時間以内の陰性証明を提示すれば入店や施設利用が可能でしたが、6日からはワクチン未接種者は利用ができなくなり、ワクチン未接種者の行動が大幅に制限される形となりました。


このスーパーグリーンパスの導入には、イタリアにもワクチン反対派が一定数存在しワクチン接種が頭打ち状態となっている背景があり、12月25日時点でワクチンを一回以上接種した割合は人口比の80.8%、必要回数のワクチン接種を完了した人の割合が人口比74.8%ですが、この数字はここ1〜2ヶ月横ばい状態が続いています。


12月23日に1日の新規感染者数が過去最多に、24日は新たな緊急政令が

イタリアでは11月27日にモザンビークから帰国した男性がコロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に感染していたと報道され、それ以降は新規感染者数は増加の一途を辿り、ついには12月23日に1日の新規感染者数が4万4595人に上り過去最多となりました。


新規感染者数の爆発的な増加を受け、12月24日には新たな緊急政令が発動し、翌日12月25日から感染予防のために様々な強化措置がとられるようになりました。


フィレンツェで開催された年末のクリスマスパーティーの様子
フィレンツェで開催された年末のクリスマスパーティーの様子

再び屋外でもマスク着用が義務づけられ、来年3月末までは劇場、コンサートホール、イベントホール、映画館、屋内外のスポーツイベントでは、「FFP2マスク」の着用が義務づけられ、交通機関の利用にも「FFP2マスク」の着用が義務づけられることに。


私は25日の夜に、映画館で「ハウスオブグッチ」を鑑賞しましたが、FFP2マスクの着用が義務づけられた初日だったことから、さっそく来館者の間で混乱が生じており、「すみません、私の友人がFFP2マスクを持っていないので、どなたか余分に持っていらっしゃったらお支払いもするので譲ってくれませんか」と聞いてまわっている人がいました。


さらに、屋外での大型イベントやコンサート等の禁止、ダンスホールやディスコクラブなども営業停止となり、年末年始の屋外コンサートイベントは軒並みキャンセルとなりました。


2021年12月25日時点の新規感染者数は5万4787人、ワクチン接種率は8割

12月25日時点、イタリアにおけるコロナウィルスの新規感染者数は5万4787人にまで増えており、連日過去最多を更新しています。私の周りでも身近な知り合い数人がオミクロン株に感染しており、みんな症状は軽いは言っていますが、感染力の強さを感じるようになりました。


コロナ禍で迎える二度目のクリスマス。年末のフィレンツェから近況リポート(12月26日)

ただ、今年の年末は感染者数は過去最多となったものの、伝統のクリスマスランチは規制もなく通常通り楽しむことができ、スーパーグリーンパスを所持しFFP2マスクを着用すればほぼ普通の日常生活も送ることがきるため、去年の年末のようなピリピリした恐怖感のようなものは感じられません。年末年始に海外旅行を楽しむイタリア人たちもいます。


コロナ禍で迎える二度目のクリスマス。年末のフィレンツェから近況リポート(12月26日)

イタリアはワクチン接種を推進しながら、コロナとの共存生活へとシフトし、過去に受けたような経済打撃を避ける方針を取っています。グリーンパスはこれまで1年間有効とされていたものが、ワクチン接種サイクル完了の日から6ヶ月間有効へと変更され、ちまたでは「3回目のブースター接種はもうしたか、いつするか」といった話題をよく耳にするようになりました。私は過去2回ファイザーを接種していますが、2回とも副反応がかなりひどかったので3回目を打つタイミングを慎重に考えながら3回目のワクチン接種を最近予約したところです。


2021年は結局、丸々一年コロナ禍となりました。これからもイタリアからコロナ情報をお届けしますが、2022年こそはコロナ禍が終息することを願わずに入られません。