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イタリアの靴作りの伝統を踏襲しつつ、日本人に合う靴を追求し続けている「マドラス」

マドラス本社工場の外観

100年におよぶ歴史を持つマドラス社

1873年、初代岩田武七氏が屋号「中島屋岩田武七」を開業し、陸軍に皮革製品などを販売。その後、1921年に「これからは草履ではなく靴の時代が来る」と二代目岩田武七氏が考え、創業された亜細亜製靴株式会社(現:マドラス株式会社)。創業当時は、軍靴の生産が主流でしたが、民間の洋裁化が広まりつつある時代に合わせて、どのよりも先駆けて民間用の靴の量産に取り組みました。


西洋靴という新たな文化を日本に定着させ、2021年に創業100周年を迎えた今もなお、靴の履き心地とフィット感の良さを実現するために、常に日本人の足を研究しているといいます。時代とともに靴の流行や傾向が変化する中、新しい機械の導入や素材と技術を融合させ、エレガントかつ美しいシルエットの靴を生み出しており、高い評価を獲得しています。マドラスのクラフトマンシップは、熟練の技術者の技と最先端のテクノロジーを合わせて、靴作りの理想を実現しています。


イタリアのクラフトマンシップをベースに、日本人に合う靴作りを追求

1965年にイタリア最大の靴メーカー「バレンチノ・マドラス社」と、日本のアジア製靴株式会社(現:マドラス株式会社)の技術提携によって、日本に「madras(マドラス)」ブランドが上陸。本場イタリアのクラフトマンシップと、アジア製靴株式会社の伝統的な熟練の技の融合が行われました。そして今もなお、日本の気候風土、あわせて日本人の足や体格にふさわしい機能、履き心地の良い靴を開発し続けています。


マドラスが誇るイタリアの伝統的製法「マッケイ製法」

1938年に海外から最新式のマッケイ製靴機械を輸入して、イタリアの伝統的製法である「マッケイ製法」を導入。先にも述べましたが、イタリア・マドラス社と技術提携を行い、本場イタリアの靴作りを研究し、技術の習得・向上をし、マドラスの靴作りに新たな技術が生まれたといいます。マッケイ製法とは、アッパーと中底、アウトソールをマッケイ縫いミシンによって直接縫い付ける方法です。返りが良く、履いた時から足馴染みが良いのが特徴で、総じて高級靴に使われることの多い製法です。美しく繊細な仕上がりになるため、軽快に履くことが可能です。


その他マドラスでは、堅牢で型崩れしにくい、アメリカのチャールズ・グッドイヤー2世が開発した複式縫い機械によって広まった「グッドイヤウェルト式製法」や、日本では1950年代頃から使用されている、縫い糸の代わりに接着剤によって貼り合わせる「セメント製法」なども靴の製法として取り入れています。


マドラスの靴は牛革がメイン

マドラスの靴作りにおいて、メインとして使用されている牛革。牛が育った年数で革の呼び方が変わりますが、マドラスでは牛革の中でも最高級とされる、生後6か月以内の仔牛の皮である「カーフ」や、カーフよりも厚手で強度のある生後6か月から2年以内の牛の皮「キップ」が使用されています。最もメインとなっているキップは、成牛よりも傷が少ないため、銀面が美しく汎用性のある素材です。


革製品は、食肉用などの牛から出る皮を活用して作られており、動物の命を革製品のためだけにいただくことはありません。皮は畜産から出続けており、例えば牛の皮は日本だけで1年間に約100万頭分(2021年)も出されています。これをもし活用しないとなると、革靴にして2,500万足分の皮を無駄に廃棄・焼却することになり、相当な二酸化炭素が排出されるとのこと。皮を活用することは脱炭素に繋がる、エコでサステナブルなサイクルであり、また革製品は丈夫で長持ちすることからも、地球に優しくエコな素材なのです。


牛革10cmの正方形を1デシといい、靴1足を作るのに、なんと28デシの皮を必要とするといいます。天然皮革は使える箇所も限られてくるため、残った皮は鞄や財布、ベルトといったものに活用し、余すことなく使用しています。また、近年マドラスでは天然皮革の他、植物性の人工皮革も開発しているそうです。


ゴアテックスのアメリカ・WLゴア&アソシエイツ社から認定

マドラスで2000年にデビューした「madras Walk(マドラスウォーク)」は、機能性とデザイン性、そして快適な履き心地を追求した、GORE-TEX(ゴアテックス)ファブリックスを搭載した防水シューズブランド。ゴアテックスは、水は通さないが空気は通すといった防水性と浸透性の高い素材で、マドラスウォークの靴は足元を常にドライで快適に保つよう設計されています。


ゴアテックスはアメリカのWLゴア&アソシエイツ社が製造販売する、防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材です。何でも、WLゴア&アソシエイツ社から認定を受けないと、ゴアテックスの素材は使用できないといった厳しいルールがあるといいます。マドラス社はWLゴア&アソシエイツ社から年に1回監査を受けており、合格した認定工場のみがゴアテックスを使っての靴作りが可能とのこと。マドラスウォークは、トラベル、ウォーキング、ビジネスなど、ライフスタイルの様々なシーンにおいて、晴れの日も雨の日も、いつでも気軽に履ける高機能シューズを生み出しています。


マドラスシューズの製造工程

今回、愛知県の北西部、犬山市に隣接した丹波郡大口町にあるマドラス本社工場を取材して、実際の靴作りを拝見してきました。この工場では、マドラスブランドの紳士靴を中心に、サンプル開発やオーダーシューズを含む生産を行っています。早速、マドラスシューズの製造工程をみていきましょう。


1.デザイン・ラスト(木型)選定

一足の靴を生み出すのに要となるのがラスト(木型)。長年愛されている定番木型はもちろん、トレンドに合わせて新しい木型も登場。それらを基に、様々なデザインが生み出されています。


2.材料選定

マドラスシューズのメインである牛革の他、羊革などの様々な革種に、型押しやエナメル加工が施されたものなど、多くの材質の中から、デザインに合わせて素材をセレクトします。


3.パターン作成

デザインを基に、各パーツに分けてパターンを起こします。CADシステムを導入することで、作業の効率化を図っています。


4.裁断

革の特性や繊維の方向をふまえ、また無駄を出さないように各パーツを効率よく裁断。金属「抜き型」を革にプレスして裁断する方法と、CAMシステムによる自動裁断の両方を使い分けています。


5.製甲「漉き(すき)」「折込」

靴の顔となるアッパーの製作工程。折って余計な厚みが出ないように革を削る「漉き(すき)」や、パーツの端を綺麗に仕上げるための「折込」など、複数の繊細な工程があります。


6.製甲「ミシン掛け」

漉きをかけて折り込んだ革のパーツを縫い合わせていきます。ペダルを踏む足の力加減を調整しながら、丁寧に縫い付けていきます。


7.つり込み「下準備」

靴の保形と足を保護するため、つま先部分に「先芯」、かかと部分に「月型芯」と呼ばれる補強材を成型して入れていきます。


8.つり込み「機械づり」

縫製されたアッパーを、ラストに合わせて機械でつり込み、靴の形状を作っていきます。


9.つり込み「手づり」

機械は力のかかり方が均一なため、細部の調整は職人の手によって行われます。「ワニ」と呼ばれる工具で、革の張りにムラが出ないようにつり込みます。


10.本底付け

様々な底付け製法がありますが、アッパーとソールを縫い付ける「マッケイ製法」はイタリアの代表的な製法の一つで、長年の経験が必要です。


11.ヒールうち

婦人靴のヒールは様々な形状があります。形によって釘の本数や長さを使い分けながら打ち込み、ヒールを固定します。


12.仕上げ

艶出しや色付けなどは手作業によって行います。刷毛の筆致や滑らかなシャドウなど、マドラスらしい豊かな表情を生み出しています。


次に、マドラスの今季おすすめのシューズをメンズ、レディースともにご紹介します!


この夏履きたいマドラスシューズ(メンズ)

メタインソール 内羽根ストレートチップドレスシューズ 39,600円(税込)/madras(マドラス)

マドラス株式会社独自の開発ノウハウと、株式会社タナックの超柔軟ゲル素材「クリスタルゲル®」を用いて開発されたメタインソールが搭載されたドレスシューズ。メタインソールのおかげで、足裏から姿勢を整え、快適な歩行が実現します。フォーマルシーンに最適な一足です。



メタインソール 内羽根プレーントゥサドルシューズ 27,500円(税込)/madras(マドラス)

上質なレザーにアンティーク調のデザインが目を引くドレスダウンシューズ。軽くてボリュームのあるホワイトソールがアクセントになっています。こちらも上記のシューズ同様、メタインソールが装備されており、心地よいフィット感で歩きやすいのが嬉しい。



この夏履きたいマドラスシューズ(レディ-ス)

マドラスファクトリー製ハンドメイド アーモンドトゥ・パンプス 19,800円(税込)/madras(マドラス)

マドラス東京ファクトリーがデザインを手掛けたパンプス。ヒールのある靴で、歩きやすい高さは3cm~5cmと言われており、こちらはヒール高5cmなので、長時間の着用でも安心して履くことができます。また、美脚効果も期待できるアイテムです。強撥水仕様が施されており、雨の日も活用することができます。



バックバンドチュールパンプス 24,200円(税込)/madras(マドラス)

箔押しのボタニカル柄が施された繊細なチュールがアッパーにあしらわれたバックバンドパンプス。アーモンドのようにほっそりとしたつま先を持つアーモンドトゥなので、足のすっきり見えが叶う一足。かかとの出るデザインなので、夏にぴったり。こちらも上記のシューズと同じく、安定感のある5cmヒールです。



マドラスの特別工場見学ツアーとふるさと納税

マドラスミュージアムの様子

ショップゾーンの様子

愛知県の北西部、犬山市に隣接した丹波郡大口町にあるマドラス本社工場では、2021年より100周年を記念して、お客様への感謝の気持ちを込めて、特別工場見学ツアーを無料で実施しています。ひたむきに「本物」を追い求めてきた技術の裏側を知れるまたとない機会となっています。気になる方は、ぜひコチラから予約してみてください。


また、マドラス東京ファクトリーでは、工場で生産している靴の中から厳選したアイテムを返礼品として提供する「ふるさと納税」を実施。「さとふる」のサイトのトップページでマドラスを検索して寄付をしていただくと、マドラスのシューズがお手元に届きます。マドラスが自信を持ってお届けする靴の履き心地を、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。


以上、100年の歴史を持つマドラスについてご紹介しました。類まれなる技術から生み出される本物のシューズの世界感にぜひ触れてみてください。


MADRAS(マドラス)公式サイト【革靴・ビジネスシューズなど靴メーカー直営公式通販】