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18歳からイタリアにはまり続けている。干場義雅さんインタビュー(2/3) | ゴッドファーザー アルマーニ

イタリア好きといえばこの方! ファッションディレクターとしてテレビやラジオなど多くのメディアで活躍しながら、今、話題になっている講談社のWEBマガジン『FORZA STYLE』の編集長も務める干場義雅さん。第2回は、イタリアへのファッションについてお話しいただきました。干場さん、インタビュー中にも感極まって目から涙が……。

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映画『ゴッドファーザー』と〈アルマーニ〉が、イタリアへの扉を開いた

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——そもそもイタリアにはまったきっかけはなんですか?

18歳のころに映画『ゴッドファーザー』を観て衝撃を受けました。その時代は、ファッションでいうと〈ジョルジオ アルマーニ〉がすごく注目されていまして……。今でもすごく好きなブランドなんですが……。映画とファッションから、どんどんイタリアにはまっていきましたね。

——18歳というとビームスで働いていたころですよね。

そうです。ビームスでアルバイトをしているときに休憩室にイタリアの雑誌がいっぱいあって。とくに『L’UOMO VOGUE(ルオモ・ヴォーグ)』というイタリア版『ヴォーグ』の男性版は毎月、広告ページまで1ページ残らず丸暗記するように見ていました。今でも、すべてがビジュアルとして頭の中に残っています。

その後、初めてイタリアを訪れたのが22歳ぐらい。プライベートで行きました。

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——いま注目するイタリアブランドを教えてください。

昔からずっと好きなのは、〈ジョルジオ アルマーニ〉ですが、〈エルメネジルド ゼニア〉、〈ロロ・ピアーナ〉、〈ブルネロ クチネリ〉、〈キートン〉、〈トッズ〉、〈タイユアタイ〉〈エンメティ〉〈ヴェルベスト〉〈ドルチェ&ガッバーナ〉〈グッチ〉〈プラダ〉などなど、イタリアのブランドすべてに魅力があるので……困りますね。

中でも、〈ブルネロ クチネリ〉は、ここ5年ぐらいの間にすごく好きになったブランドです。

——〈ブルネロ クチネリ〉といえばカシミヤで知られるラグジュアリーブランドですが、その品質、哲学どちらに惹かれたんですか?

哲学ですね。今年の6月に、〈ブルネロ クチネリ〉の製品が生まれるウンブリア州のソロメオ村を取材してきたんです。ソロメオ村はブランドの代表であるクチネリさんの奥さんの郷里で、クチネリさんが訪れた当時はずいぶん朽ちていたそうです。せっかく美しい村なのにもったいないと、クチネリさんはお城や教会、集落などをつぎつぎと修復していったのです。

現在、ソロメオ村では、〈ブルネロ クチネリ〉の製品の数々が生み出されています。そしてクチネリさんはそれらの製品を手がける職人たちが幸せに暮らせるようにと、すばらしい環境の社員食堂や工場から、従業員の子どもが通う学校やサッカー場まで作っているんです。クチネリさんは「人間的資本主義」だといっているんですが、利益を生み出すというのも大切だけど、人の尊厳も大切にするべきだと。ソロメオ村で働いている人たちは、みんな幸せそうでした。

——サスティナブルというか、現代的な課題を先取っていたんですね。

もちろん製品自体もすばらしいのです。リラックスしたムードがありながらラグジュアリー、ベーシックで長年着られるアイテムですよね。

ソロメオ村の取材では、僕らのチームのために最高のおもてなしをしてくれていて、それにいたく感動してしまって。1日がかりの取材の最後には、もう感極まってしまい。今、思い出しても涙が……。こういう感動がイタリアには本当にいっぱいあるんです。『FORZA STYLE』で動画を作ったのでぜひご覧ください!

美しいものを、美しいと、声に出すこと

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——イタリア的なファッションとはどういうものですか?

女性は華やかに美しく装い、男性はスーツを格好良く着こなすというイメージでしょうか。たとえば男性だったらダビデ像のようなマッチョな肉体が美しさのベースにあり、その肉体の上にきれいなドレープが出るように表現したのが、〈ジョルジオ アルマーニ〉ですよね。スーツだと英国は質実剛健で何年も使えるようなものを作り、イタリアはもうちょっと享楽的、快楽的、着心地の良いものを作ります。もちろん、どちらも魅力的ですが。

イタリア人は、そう、男女問わず色気があるんですよね。そこに魅力を感じます。愛の国というのもあると思うんですが、男性も女性も魅力的な人を見たら、「ベッロ!」「べッラ!」「ベリッスィモ!」「ベリッスィマ!」ステキだねって声をかけますから。

——女性からも、というのが意外です。

イタリア人ってチャライというか、いつもナンパしているようなイメージもありますが、全然そんなことはないんです。女性も男性も、美しいことに対してちゃんと讃辞を言葉にするんですね。きれいだね、格好いいねということをいわれて嫌な気持ちになる人なんていないじゃないですか。そんな精神的な部分もすごくステキですよね。

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——ちなみに今日の干場さんのファッションは?

〈エルメネジルド ゼニア〉でオーダーで仕立てたグレーのスーツです。父が仕立屋だったのでオーダーで仕立てることが多いんです。シャツもタイもイタリア製ですね。靴は、自分のブランド〈WH〉です。

あと、この金のバングルは最近〈sos.fp〉とコラボして作ったんです。イタリア語で「Il mio cuore sempre con te(いつも心はあなたとともに)」とメッセージが彫ってあって。このブレスレットの売り上げの一部を若い人たちの支援にあてていきたいなと思っていまして。

僕は雑誌の世界に入って間もない23歳ぐらいから、どんどん海外出張へ行かせてもらって……。イタリア、フランス、ドイツ、スイス、ニューヨーク……。イタリアを訪れれば、セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズのディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、タイユアタイのフランコミヌッチさんなど、皆が僕にいろんなことを親切に教えてくれました。若い頃からそんな経験をさせてもらったということが、すごくありがたくて。だから僕がしてもらったように若い人たちに早く現場に入ってもらって、イタリアの感動を伝えていきたいなと思っています。そんなに大々的にはできないと思うんですが、年に1人ぐらいは現地に連れていけたらなと。人生40年を過ぎて、自ずと後進のことを考えるようになりましたね。

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◆取材協力:BIANCA(ビアンカ)
オーセンティックなイタリアの郷土料理とワインを楽しめるリストランテ。表参道「GYRE」4階、表参道を臨む開放感のあるテラス席もおすすめ。
営業時間:【平日】ランチ11:30~16:00(15:30 L.O.)、ディナー17:30~23:00(22:00 L.O.)、【土日祝】11:30~23:00(22:00 L.O.)
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 4F
TEL:03-6418-6771
http://www.bianca-omotesando.com/

◆テキスト:AGARU ITALIA(あがるイタリア)編集部

【初出:この記事は2017年9月27日に初公開されました@AGARU ITALIA】