今や、私たちのワードローブに欠かせない存在となっているファストファッション。ファストファッションとは、最新の流行をとり入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションのことを指します。「早くて安い」ファストフードになぞらえて命名されたもので、2000年代半ば頃に日本上陸を果たしました。
ファストファッションは確かに魅力的ですが、その一方で、低品質アイテムの販売、労働者の人権問題、環境問題などが深刻な問題となっています。例えば、安価な洋服を売るために、労働者の賃金が抑えられて、劣悪な環境で働かざるを得なかったり、ファストファッションの洋服は廃棄されることが多く、大量のごみを生み出すといった課題があります。
そんなファストファッションに対してアンチテーゼを唱え、視覚、イマジネーション、良⼼、そして⼼に訴える、個性的かつ永続的に着られる洋服をデザインしているブランドがあります。2018年に誕生したイタリア・ミラノで発表している「colville（コルヴィル）」です。「MARNI（マルニ）」のデザインディレクターを務めたMolly Molloy（モリー・モロイ）氏と、UK版VOGUEでファッションディレクターだったLucinda Chambers（ルシンダ・チェンバース）氏といった、ファッション業界の最前線で活躍し続けている二人によるブランド。チェンバース氏は、初期の「PRADA（プラダ）」や、創業から2017年までのマルニを含む、多くのラグジュアリーファッションブランドの設⽴にも重要な役割を果たしました。
コルヴィルはデビュー当初より、コラボレーションとインクルーシブであることを信条とし、ダカールからコロンビア、モロッコに⾄るまで、⼥性の社会的プロジェクトに積極的に取り組んでいます。また、サステナビリティの進歩と再利⽤を念頭に置き、洋服やアクセサリーを再利⽤し再⽣させてきました。⼯芸とその技法を愛し、洋服やアクセサリーの製作に携わる職⼈やコラボアーティスト、オープンプロジェクトに参加する多くのカスタマーやファンなど、世界に貢献する⼈々に敬意を払っています。
例えば、画像左のコルヴィルのフラワーベースは、世界最高級のガラスと言われるムラーノガラスで制作された「Murano Bowling vase（ムラーノ・ボウリング・ベース）」。ボウリングのボールのように３つ穴が開いていて、そこに花を挿します。イタリアで高品質なガラス工芸品を製作して名声を博しているLAGUNA B（ラグーナ・ビー）氏との取り組みのもと、芸術家でもある熟練した職人たちによって、北イタリア・ベネチアのムラーノ島で、13世紀より受け継がれてきた伝統的な技法によってハンドメイドで製作されています。
右のシリンダーバッグは、コロンビアとベネズエラに隣接するラグアジラ半島に住む先住民、Wayuu（ワユー）族の女性織り職人によって手織りで製作されたコルヴィルのシグニチャーともいえるアイテム。彼女たちの複雑で難易度の高いクラフト技術は、世代を超えて受け継がれているため、土地に深く根づいた精神を持ち、活気に満ちたコミュニティの現代的表現として発展しています。バッグ一つ一つが、それぞれの職人が持つ芸術的な才能を発揮しています。
彼女たちとの取り組みは2018年よりスタートし、2020－21年秋冬では、幾何学的プリントと新鮮なカラーで登場。バッグの製作を通して、女性たちのコミュニティを自立させ、同時に古代工芸の継承を助けています。
次に、コルヴィルの2021-22年秋冬のおすすめウエアをみていきましょう！
「colville（コルヴィル）」2021-22年秋冬おすすめウエア
今季は、これまで発表してきたコレクションと比べ、アイテム数を充実させています。チーム独自の哲学に対する自信の高まりと、ブランドのクラシックピースへ寄せられたカスタマーたちのポジティブなフィードバックが、唯一無二のニットウェアや個性的なドレスを生み出しています。すべてイタリアにて製作され、またそのほとんどがコルヴィルと重要な関係性を築いてきた家族経営の工場によるものです。
Window Pane Poncho 182,600円（税込）／colville（コルヴィル）
織物の伝統で有名なコロンビアのククヌバの町の職人とコラボして製作されたポンチョ。ウールの染料には、環境に優しい100%天然の染料を使用しています。寒さ厳しい日にぴったりのアイテムです。
Hourglass Dress／Arts＆Crafts 158,400円（税込）／colville（コルヴィル）
複雑なフォルムと大胆なグリーン、ピンク、レッドで彩られた Art&Craftsプリントのドレスは、チャールズ・レニー・マッキントッシュに敬意を表しています。一枚着用した途端、華やかさを演出できるドレスです。タイツと合わせるのはもちろん、レギンスやデニムとレイヤードして、しっかり防寒対策するのもおすすめ。
High Neck Striped Knit 115,500円（税込）／colville（コルヴィル）
コルヴィルらしい高揚感を与えてくれる、鮮やかなカラーパレットのニット。ともすれば、ダークカラーでまとめがちな冬コーデのアクセントにぴったり。デニムを投入してカジュアルに、またミモレ丈スカートと合わせてフェミニンになど、選ぶボトムス次第で、スタイリングの印象に変化をつけられます。心からおしゃれを楽しめる一枚です。
最後に、「ITALIANITY（イタリアニティ）」の読者の方々に向けて、モリー・モロイ氏とルシンダ・チェンバース氏よりコメントをいただきました！
ーーーコルヴィルのブランド立ち上げの背景を教えてください。
私たちは、マルニを去った後も一緒に仕事をし続けたいと思っていました。私たちのクリエイティブなコラボレーションが続けられなくなることなど考えられなかったし、私たち自身の、また私たちと同様のマインドを持つ女性たちのためのワードローブを作りたいと思っていました。それはある日、必然的に現実となり、自分たちのブランドを立ち上げました。そしてブランドは発展し続けています！
ーーー長年、ファッション業界にいらっしゃって、昨今の安価でトレンドアイテムが手に入るファストファッションに関して、どう思いますか？
コルヴィルの信念は、美しいデザイン、サステナビリティ、永続性のあるアイテム作りです。ファストファッションとは異なり、コルヴィルのアイテムは一生着ることができます。私たちはトレンドに左右されず、デザインを重視しています。カラー、テクスチャー、プリント、生地がそれぞれのコレクションの原動力です。また、コルヴィルでは、世界中の女性をサポートすることをとても大切にしています。手織りのWayuu Cylinderバッグ、Super Shagのラグ、ポンチョなどのようなアイテムに込められた物語は、常に私たちにとって非常に重要だと思っています。これらのストーリーはアイテムに意味を与えるのです。
ーーー近年のファッション業界のサステナブルな動きに関して、どう感じていますか？
コルヴィルはデビュー当初から常にサステナビリティを提唱しています。その信念のもと日々決断し行動して、可能な限りサステナブルなアイテム作りを目指して真剣に取り組んでいます。アップサイクリングも同様に、デビュー当初から重要視しています。今シーズンは、ダウンジャケット、トラックパンツ、ウインドジャケットから作られたピローバッグ、Tシャツなどを制作しました。私たちはいつも、自分たちのメッセージを伝える新しい方法を探求しています。
ーーー日本のファンの方々に向けて、2021年秋冬アイテムのポイントに関して教えてください。
大胆なプリント、美しいニットウェア、そして個性的なアクセサリーが、全てのコレクションにおいて常に中心となっています。アップサイクルのパファージレ、ペトロールブルーのシルクのOh Lalaドレス、Tee Arts&Crafts Hourglassドレスもお気に入りのアイテムの一つです！
ファッション業界を知り尽くしたお二人だからこそ、ファッションを本当の意味で楽しめるよう、サステナビリティやアップサイクリングをブランドの信条としているのでしょう。納得して選ぶことのできるコルヴィルのアイテムは、大人女性にこそおすすめしたいもの。ぜひワードローブに加えてみてはいかがでしょうか？
阪急うめだ本店3階の D.EDITにてPOP-UP SHOPを開催！
開催期間: 11月3日(水) – 9日(火)
開催場所: 阪急うめだ本店 3階 D.EDIT／大阪府大阪市北区角田町8-7
営業時間: 10:00-20:00
Tel. 06-6361-1381
POP-UP SHOPの内装は、東京をベースに活躍するアメリカ人アーティスト、Amber Dohrenwend（アンバー・ダーウェン）が手掛けました。
コルヴィルの2021秋冬コレクションからインスピレーションを得て制作された、リサイクルダンボールの花々に囲まれた店内では、コレクションアイテムに加え、昭和39年創業の京都の藍染め工場 藤田染苑とのエクスクルーシブなコラボアイテム（クッション、バッグ、エプロン）を販売します。
期間中、阪急うめだ本店ではサステナビリティをフィーチャーしたイベントを開催しており、その一環として、サステナビリティを提唱し、伝統工芸を継承すコルヴィルが参加、日本本格ローンチ後初のPOP-UP SHOP開催に至りました。
藤田染苑
昭和39年に京都にて創業した藍染め工場。藍を原料に手捺染で柄付けする”藍捺染 “は、藤田染苑が開発した染業界初の染色技巧です。
Amber Dohrenwend (アンバー・ダーウェン)
東京をベースに活躍するアメリカ人アーティスト。使用済みのダンボールを再利用したアート作品や衣装を制作し、インスタレーションやワークショップを行います。廃棄物の可能性を引き出し、観る人の意識に訴えかける作品が特徴。
https://www.amberdohrenwend.com/artist-statement
阪急うめだ本店
https://www.hankyu-dept.co.jp/
https://www.instagram.com/HANKYUMODE/
