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第102回ピッティ・イマージネ・ウォモに「アン ドゥムルメステール」がゲスト・オブ・オナーとして登場

遠藤友香

遠藤友香 Yuka Endo

2022.06.06

「第102回 PITTI IMMAGINE UOMO (ピッティ・イマージネ・ウオモ)」が、2022年6月14日から17日に開催されます。ピッティ・イマージネ・ウオモとは、ファッション大国であるイタリア・フィレンツェにて、毎年2回、1月と6月に行われる世界最大級のメンズプレタポルテの見本市です。イタリアのブランドはもちろん、世界中から多くのブランドが集結し、新作モデルを発表。世界各国からファッション関係者が集うファッションの祭典です。また、毎回スペシャル枠で登場するデザイナーやブランドも話題となっています。


そんなピッティ・イマージネ・ウオモの今回のゲスト・オブ・オナーとして、ベルギーのファッションブランド「Ann Demeulemeester(アン ドゥムルメステール)」が選出されました。今年1月に予定されていたイベントの延期に伴い、デザイナーのアン・ドゥムルメステールが、彼女自身と自らの名を冠したブランドへ捧げる特別プロジェクトをキュレーションし、メゾンのアイコニックなスタイルをレオポルダ駅にてお披露目します。


アンにとって、ファッションはコミュニケーションの一つの形だといいます。コントラストを奏でる彼女の複雑な言葉は、感情がもつすべての音域をカバーします。緊張感はまさに詩的そのもの。彼女の服は重なり合う「魂」の層を表しています。深遠ではありますが決して厳格でなく、細部まで注意が払われているのに実験的で、そして強いと同時にセンシュアル。美しいテイラーリングと、ダークながらもグラマラスな美意識に代表されるように、エッジの効いた反逆精神と洗練をミックスさせながら、彼女は穏やかさを湛えたダークでロマンチックな世界観を生み出してきました。


ここで、アンの経歴について触れておきましょう。彼女は、アントワープ王立芸術アカデミーを1981年に卒業。1987年に長年のクリエイティブパートナーであるPatrick Robyn(パトリック・ロビン)と自身の名を冠したブランドを立ち上げ、初のコマーシャルラインを発表。1992年にパリで初めて開催されたファッションショーでは、すぐに国際的なファッションシーンで名が知られるようになります。彼女のファッションに対する知的なアプローチはトレンドを凌駕し、誠実さと強い独立性を備えた装いのシステムは絶えず進化し続けていました。2013年にブランドを去ったあとも、彼女は様々な新しい表現形式を実験してきました。2020年には、才能ある人材を発掘するミラノの起業家、Claudio Antonioli(クラウディオ・アントニオーリ)がアン ドゥムルメステールのブランドを買収。彼は過去に対する大いなる敬意と、未来への明確なビジョンを示し、ブランドを進化させています。アン ドゥムルメステールのイメージを忠実に表現しながら、ラグジュアリーなファッションブランドとして再起させることが彼のミッションだといいます。


「フィレンツェとピッティ・イマージネ・ウオモは、ついにアン・ドゥムルメステールの卓越した業績を讃える準備を整えました」と話すのは、ピッティ・イマージネ・ウオモのコミュニケーション&イベントディレクターであるLapo Cianchi(ラポ・チアンキ)です。


チアンキは、「40年前にアントワープで始まった物語は現在、クラウディオ・アントニオーリによるブランドの買収がもたらした新しいアプローチによりさらに強化されています。そのアプローチは、開拓と自律の狭間において、アン ドゥムルメステールのファッションの唯一無二で永続的な特徴を際立たせていると言えるでしょう。何よりも、妥当性など構わずに進化させてきた独自の歩みに対するセンシビリティと、他に類を見ないブランド初期の直感とシェイプを保ちながら自分自身を更新していく能力は素晴らしい。アーカイブを使い行われる本キュレーションが、今後の新たなコレクションに引用されるための有用な記憶の回復にとどまらず、真のファッションへと昇華されることは偶然ではありません。プロジェクトデザインが持つ主張から、今ここで、芸術的で審美的な視点が新たに生まれました。そしてそれはピッティのコミュニティーにとって、とびきりの贈り物なのです」と語っています。


彼女のデビュー40周年にあたる今年、本キュレーションに対する期待がいやが上にも高まります。