イタリアの最新オーガニック見本市SANA、注目の新商品をご紹介
イタリアではオーガニックのことをBIOLOGICO(ビオロジコ)と言いますが、どこのスーパーでもオーガニック製品をよく見かけるようになりました。経済調査を行うイタリアのNomismaという企業の調べでは、過去一年間に一度は意識してオーガニック製品を選んで購入したイタリア人世帯は今年86%にまで上り、オーガニックへの関心度は年々高まっています。
そんなオーガニックプロダクツを扱った国際オーガニック&ナチュラル製品の見本市SANAが、9月上旬イタリアのボローニャ展示貿易センターで開催されました。31回目を迎えるSANAには、30カ国から1,000の企業や団体が出展し、飲食関係者からバイヤーや一般客らが来場。今回は初めて日本パビリオンも設けられ、日本発オーガニック食品も注目されました。6万平方メートルの会場は「フード」「ケア&ビューティ」「グリーン・ライフスタイル」の3カテゴリー別に展示され、新たな取り組みとして「プラスチックフリー」を徹底。環境問題を意識した見本市という位置づけをアピールしていました。
イタリアの最新ビューティー、“インドイチジク”のオーガニックコスメ
日本でもオーガニック化粧品の注目度は高まっていますが、イタリアも同様で「ケア・アンド・ビューティー」の会場では日本で見かけないようなユニークな商品を発見しました。Fico d’India(フィコ・ディンディア、日本ではフィキインディアなどとも呼ばれている)、直訳するとインドイチジクというサボテンの実はイタリアではよく食べられる果実ですが、これがなんとコスメに!
種がいっぱいのインドイチジクの果実ですが、この種から良質のオイルが取れるのだそうです。ボローニャのEversus Naturaからはインドイチジクのオイルを配合したスキンケアライン、ロンバルディアのFlorindaからはスキンケアに加えて、パッケージが可愛くお土産にも良さそうな石鹸やキャンドルが発表されました。
ヴィーガンのイタリア人カップルによって立ち上がったブランドBEN&ANNAからは、容器からは内容が想像つかないようなオーガニックの歯磨き粉&ペースト。
フランスのLamasumaからはプラスチックごみを出さないハンドメイド&ナチュラルベーガン素材の固形シャンプー、固形歯磨き粉、デオドランドなどが。コンパクトサイズで旅行に持っていくのにも便利。見た目もかわいらしく、環境にも配慮されたオーガニック商品はこれからますます増えそうな予感です。
青いチーズ!? ブルー×イタリア料理の組み合わせが斬新
「フード」の会場でひときわ賑わっているブースを覗いてみると……なんと真っ青なペコリーノチーズを発見! ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズとはまるで違う存在で、とにかくバイヤーたちの目を釘付けにしていました。
このブルーの正体は「スピルリナ」。藍藻の一種スピルリナは食材に組み合わせるとブルー色になり、そこに目をつけたイタリア企業が次々に「ブルーな食材」を展開。トスカーナ州のSeverino Becagliではこの真っ青なペコリーノチーズの他、パスタからビール、チョコレートなど幅広いラインナップを展開。
サルデーニャのLivegreenからは青いクッキーや栄養バーなどが紹介されていました。インスタ映え必至のブルーなイタリアン、日本へ上陸する日も近いかも?
気になるオーガニックドリンク、あなたならどれを飲んでみたい?
日本では健康ドリンクとしてすっかり定着した「飲むビネガー」。リンゴ酢などダイエットドリンクなどとしても定番になっている感がありますが、イタリアではお酢を飲む習慣は今もありません。そんなイタリアではありますが、この国には世界に誇る「バルサミコ酢」があります。バルサミコ酢の名産地モデナのバルサミコ酢メーカーBongiorno社は、世界におけるドリンキングビネガーに注目して新た「飲むバルサミコ酢」を発売。酸っぱいものが得意ではないイタリア人でも飲めるような控えめの味付け。個人的にはもっとバルサミコ酢の酸味が効いたドリンクも希望したいところです。
イタリアでは全く馴染みのない食材のタケノコをなんとビールにしてしまったのが、ピエモンテ州のBambubio。タケノコを食べる日本人ですら発想しなかったタケノコビールは、ノンフィルター&ダブルモルト。タケノコの発酵による苦味がまず最初に舌に届き、続いて押し寄せてくる柑橘を思わせる酸味はインディア・ペールエールに似た味わいで爽やか。なぜ今まで無かったのだろう?と思わせる味わいでビール界に新しい風を吹かせていました。
「医者である僕が、緑茶と生姜をベースに選んだナチュラルな原料でできているんですよ。スイスでは薬局で販売されているんです」と、声をかけてきたのは開発者で医者のAndrea Campagnolo氏。まだ発売されてから1年半しか経っていない新しいドリンクは「健康的な方法で、集中力を高めてストレスに打ち勝つための飲み物」として開発された「メンタル・ドリンク」です。
なんとなくイタリア人というとストレスから無縁なイメージがありがちですが、もちろん個人差があり、特に都会ではよりストレスを感じる人も多いイタリア。日本の「引きこもり」がそのままHIKIKOMORIとして新聞でも紹介されるほどイタリアでも引きこもりの存在がクローズアップされ始めており、決してストレス社会と無縁ではありません。
そんなイタリアから生まれたストレスを和らげるというメンタルドリンク。ホットでもコールドでも飲めるということですが、ストレスを感じた時に試してみたいと思った一品です。
イタリアのライフスタイルが変わる? オーガニックのインスタントフード
イタリアにはインスタントフードが少なく、袋入りのリゾットとスープ、瓶入りのパスタソース程度しか存在しなかったのですが、SANAでは紙カップ仕様のヘルシーなインスタントフードがお目見え。リミニのdnabio社が販売しているのは乾燥させた有機野菜を使い栄養バランスにこだわったヘルシーなインスタントフードで、クスクスやキノアなど16種類の展開。お湯を注ぐだけで食事を楽しめるという日本では当たり前のインスタントフード、これまで意外に無かったイタリアではどの程度受け入れられるのか注目したいものです。
JAPANパビリオンが初登場、ベジタリアン&ヴィーガン向けにも注目
「健康的な食事」としてイタリアでも注目を集める日本食。フード会場にはJETROの支援によるJAPANパビリオンが今回のSANAで初めて登場し、日本企業10社が出展しました。
島根県のしまねオーガニックファームではオーガニックの柚子と唐辛子を使った柚子胡椒を出品、早速イタリア人男性が試食すると初めて食べる味に驚き「これは何でできているのですか、どういう風に使うのですか」と興味津々の顔つきで質問していたのが印象的でした。
イタリアでも近年増えているベジタリアン&ヴィーガン向け食材としても注目されている豆腐や味噌などは日本パビリオン以外でも目にし、日本食への関心の高さも高まっていることを実感した見本市でした。
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