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人気ピッツェリアオーナーがインプレッション ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ 山本尚徳さんがフィアット『500』に乗ってみた

遠目にもひと目でわかる、ころんと丸いフォルムが人気のフィアット『500』。イタリア語で「500」を意味する「チンクエチェント」の愛称で世界中にファンをもつこのクルマは、本場イタリアではもちろん、世界中で大衆車として老若男女問わず多くの人から愛されています。


「ピッツァの故郷ナポリの街中には、本当にたくさんの500が走っています。同僚も乗っていたので修行時代は、よく助手席に乗せてもらっていました。小さいけど、速いし力もあるしぐんぐん走ります。帰国したら、絶対に500に乗るぞって、心に決めていました」


中目黒にあるピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さん

そう語るのは中目黒にあるピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さんです。ナポリの由緒あるピッツァ大会で史上初の2連勝を成し遂げたことで知られ、今も毎日自ら店先でピッツァを焼き続ける職人。今回、山本さんに最新モデルの『500』に乗っていただき、インプレッションを伺いました。


中目黒にあるピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサ店舗とピッツァ

実は山本さん「帰国後したら500のオーナーになる!」という夢をしっかり叶え、これまで3台の『500』を乗り継いできたとのこと。しかも、その3台ともが1977年まで生産されてきた『NUOVA 500』というヒストリックモデル。ヴィンテージカーとして、いまも多くのファンを持つ『500』に乗ってきた山本さんですが、現行モデルのドライブは未体験ということで、少し緊張の面持ちで試乗されていました。


シチリア オレンジのボディカラーをまとった『500 1.2 カルト』

オーナーだからこそわかる受け継がれる伝統

今回乗っていただいたモデルは、シチリア オレンジのボディカラーをまとった『500 1.2 カルト』。


「ちゃんと、500の面影が残ってますね!」と運転席に座って第一声。山本さんはインストルメントパネルまわりを触りながら、うんうんと頷いています。


フィアットを運転するピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さん

「ボディと同色のインストルメントパネルは、500らしいところ。スピードメーター、タコメーターが同軸で一体化した単眼メーターになっているところも、いいポイントですね」


知らない人なら「かわいいデザインだね」となるところ、昔の『500』を知る人だからこそ、受け継がれるデザインに感動を憶えるのでしょう。山本さんは何度も各部の操作性を確かめていました。


フィアット インテリア

「座った時の目線も昔のまま。左手を伸ばした先にあるシフトノブの位置や、各種ダイヤル、ハザードランプを真ん中に置いた、この3点配置のセンタークラスターとかも、昔の500を愛している人がデザインしているということがよくわかります。シートのクッションがよく利くところだけは、やっぱり新しいクルマなんだなと感じるところですね(笑)」


フィアットとピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さん

休日は愛犬とドッグランへ

今日はお店がお休みの月曜日。終日『500』に乗っていただきました。山本さんの休日の日課は、愛犬の小麦ちゃんと一緒に散歩に行くこと。ときに『500』で近隣のドッグランのある公園まで足を伸ばすこともあるのだそうです。


ピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さんと愛犬の小麦

「小麦はまだ生後6ヶ月なので、やんちゃな盛り。クルマに乗せると、大好きなドッグランに行けるとわかるのか、シートに大人しく座っています」


小麦がちょこんと座るシートはファブリック製で、背もたれ部分には「FIAT」の文字がエンボス加工されています。一般的なファブリックシートより高密度な化繊を用いているので、お手入れもしやすそう。小麦ちゃんの抜け毛も絡みにくく、さっと拭き取るだけでキレイになりました。


フィアットを運転するピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さん

こんなスペースにも停められます

取材当日はお休みの日ではありましたが、お店に立ち寄る用事がありました。普段はご自身の『500』で出勤することもあるそうです。お店の駐車場は、1階にコンビニが入ったビルの脇の小さなスペース。ちゃんと車庫証明を取って、利用されています。


「僕の所有する昔の500ならば、ちょっとしたスペースがあれば停められるので、普通車の駐車場でなくても、十分なんです。今回ドライブしている500は、車格が2まわりぐらい大きいので、大丈夫かな?と思ったのですが余裕で収まりますね」


慣れた手付きで操作しながら、低い縁石に乗り上げ『500』を縦列駐車。「もう1台、後ろに停められそうですね」と笑顔の山本さん。余談ですが、このスペースの前方は縁石ぎりぎりに電柱が立っているのですが、普段、山本さんが運転する旧型の『500』は、電柱とビルの間にすっぽりと収めて駐車しているのだそうです。


フィアット ルームミラーに映し出されたバックカメラの映像

はじめは、窓から身を乗り出すようにして後ろを気にしながら駐車していましたが、「あれ?」と気が付きました。なんと、車内のルームミラーには、バックカメラの映像が映し出されていました。これなら後ろ向き駐車も安心ですね。


フィアットを運転するピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さんと六本木にある輸入食材の専門商社・佐勇、営業担当の和里さん

荷物もいっぱい積み込めます

小麦粉やチーズ、トマトソース、エスプレッソ用のコーヒー豆をはじめ、あらゆる食材を本場イタリアから取り寄せている山本さん。この日は、仕入れ先の商社で打ち合わせがあり、六本木にある輸入食材の専門商社・佐勇さんへやってきました。出迎えていただいたのは、営業担当の和里さんです。


瀟洒な洋館風の社屋入り口前の駐車スペースには、お取引先へ食材を発送するため、業者さんの運送用トラックもひっきりなしにやってきます。そこへFIAT 500を停めて、食材の積み込みでは和里さんもお手伝いしてくれました。


フィアットに荷物を積み込みながら会話を楽しむピッツェリア・エ・トラットリア・ダ・イーサのオーナー、山本尚徳さんと六本木にある輸入食材の専門商社・佐勇、営業担当の和里さん

「いつも食材をお願いしている佐勇さんでは、新しいメニューを考案するために新商品のサンプルを持ち帰ったりすることもあります。大きな箱で運びたい時も、後部座席を倒せばトランクルームの容量が広がりますね。これだけラゲッジスペースが広ければ、ダンボール箱2つぐらいいけそうですね」


小麦粉やトマトの缶詰は重くてかさばりますが、『500』があれば、大量に持ち帰れます。後部座席を倒せば、小さなボディからは想像できないキャパシティがあるので、買い物や荷物の運搬などに、おおいに役立つと思います。


高速道路を走るフィアット

小さくても走りはパワフル

さて、この日の都内での用事はこれでおしまい。この後は、ちょっと遠方のドライブへ向かうことにしました。行き先は、山本さん行きつけの湘南のサーフショップ。山本さん、サーフィン歴もけっこう長いんです。


「ボードはショップに預けてあるので、カラダひとつで向かいます。今日は海には入らないけど、スタッフと情報交換しに、フラっと顔をだそうかな、と。サーフィン仲間はクルマ好きも多いので、よく話題になります。その場所に500で行ったら、きっと注目の的になっちゃうでしょうね」


ここで山本さんは、シフトレバーを左に倒してデュアロジックのマニュアルモードを選択。低速からトルクで引っ張り上げると、思わず笑みがこぼれました。


「試してみたかったんです、デュアロジック。オートマチックモードの時より、マニュアルのほうが力強さを感じますね。高速道路入り口の上り坂も、グングン登っていくのを感じました。それに加速も早くて、安心して高速走行を楽しめました。自分の500はそれほどスピードが出ないので、第三京浜をゆったり流して行くのですが、この500ならばなら湾岸線もグングン飛ばしていけますね」


フィアットインテリア

いつもは自分の『500』をマニュアル操作していることもあり、シフトチェンジは慣れっこの山本さん。「+(プラス)と−(マイナス)でシフトチェンジするのは、スポーツカーみたい」とご満悦です。


レインボーブリッジを通過して横浜を抜け、湘南方面へと向かうFIAT 500。ここで新たに搭載されたクルーズコントロールを試してみました。セットした速度で巡航できるこの機能、アクセルを踏まなくても一定速度でクルマが走行してくれます。


「旧型の500には、もちろん付いているはずもないこの機能、アクセルを踏まなくても、一定のスピードを保ってくれるのでロングドライブが快適ですね。湾岸線や第三京浜は直線が長いので、こういう機能がついていることは、とても嬉しいですね。500がこんなに進化してるなんて感動すら覚えます」


高速道路を走るフィアット

ここからは、プライベートでFIAT 500とお付き合いいただくため、現行の『500』をお貸しして、後日、感想をメールで伺いました。そのレポートを以下に掲載しておきましょう。


To Italianity.jp

先日は現行の『500』を体験をさせていただき、ありがとうございました。
現行の『500』については、ずっと興味があったにも関わらず、ずっと旧型に乗っていたこともあり、まったく別のクルマだと思っていました。しかし意外と旧型を知ってる人にも納得のいくクルマなんだということがよくわかりました。

外装でいうと旧型の『500』のお尻って、ちょっとすぼまっているのですが、新型もその点をしっかり継承していることに感心しました。インテリアのパネル周りやセンターメーターも、旧型乗りにとっても既視感あるデザインで“らしさ”がしっかり残っています。走りにもイタリア車ならではの速さと力強さを感じられたのがよかったです。

設計した方は、旧型をよくご存知なのでしょう。「ここが、こうなったらもう500じゃないよね」っていうところをよく理解されていて「500は、こうあるべき」という点をしっかり残してくれているところは、世界中の旧型オーナーが納得して乗り換えたいと感じるポイントになっていると思います。

自分は旧型のオーナーですが、車庫に余裕があれば、ぜひ現行モデルの『500』も手に入れたいなぁと素直に思えました。
お店でも『500』好きのお客様と話しができたらと思っています。

Pizzeria e trattoria da ISA 山本尚徳


phtographer / Hiroyuki Matsuzaki