トスカーナのフェラーリクラブ・ミーティングに参加
誰もが憧れるイタリアのラグジュアリーカー、フェラーリ。イタリアでも見かけると「おお、フェラーリだ!」とみんなつい声に出してしまうほどのスーパーカーであります。イタリアではフェラーリのオーナーたちはフェラリスティと呼ばれていますが、今回はそんなイタリアのフェラリスティたちによる「小粋なミーティング」の体験リポートです。
イタリアのフェラリスティたちのミーティング、Raduno Ferraristi (ラドゥノ・フェラリスティ)。フェラーリ所有者でもない私は(いつか所有してみたいでものですが!)そんなイベントには縁もゆかりもなく、友人からこのミーティングに誘われた時は「え? ミーティングって何をするの?」とポカンとしてしまいました。しかし、そもそもクラブから招待を受けないことには参加できないこのミーティング。こんな機会でもないと一生参加することはないだろうと考え、よくわからないままに参加することにしました。
私が今回参加させてもらったのはフィレンツェから車で20分ほどに位置するシエチで発足した「Ferraristi Toscani Club Sieci(フェラリスティ・トスカー二・クラブ・シエチ)」。フェラーリ公認ではない非オフィシャルクラブですが、創設は1983年で50人のフェラリスティたちを含む400人のメンバーが在籍し、イタリアでも最も会員数の多いクラブのひとつだといいます。
参加証を受け取るとオーナー気分に
この日のミーティングはシエチからスタート。ここで参加者たちは参加費用を支払いますが、私のような初参加者は入会費と当日の食事(朝食+昼食+アペリティーボ)込みで35ユーロ(約4,000円)でした。受付を済ませると参加証が渡されましたが、これを首からぶら下げるだけであら不思議。なんだかあっち側の世界、フェラーリオーナー側の世界に足を踏み入れた気分に。35ユーロでフェラーリ所有者気分を味わえるとは、なんとまあ安上がりだと思ってしまいました……ははは。
参加証の裏側にはこの日みんなで走る経路が書かれています。シエチから50キロ離れたQuota(クオータ)という小さな村を目指し、約1時間のドライブです。全員が揃うと、主催者たちが「君はあの車について行って」などとテキパキと指示を出し、フェラーリが次々と道路へ繰り出していきます。
「なるほど、みんなでフェラーリを持ち寄って一緒にドライブして目的地でランチするんだな」と、その頃までにはイベントの全体像が把握できたのですが、少々普通すぎる内容に「果たして本当に楽しいのだろうか……」と一抹の不安が頭をよぎりました。
が!道路に出た瞬間、そんな不安は吹っ飛ぶことに。ずら~っと並ぶフェラーリは眺めるだけでも圧巻。たった一台でも注目を集めるフェラーリが何台も連なる様子は、日本の大名行列ならぬフェラーリ行列というわけです。まるでお祭りに参加している気分になり、テンションアップ!
美しいトスカーナの田舎町を走り抜けながら、目的地クオータへと向かいます。道中、周囲の視線をばしばし浴びまくったことは言うまでもありません。クオータの入り口には「「Ferraristi Toscani Club Quota(フェラリスティ・トスカー二・クラブ・クオータ)」の看板が。シエナとクオータのクラブによる共同イベントの始まりです。
村に入るとびっくり、村人たちがパパラッチ状態に!
さすがフェラーリパワー、フェラリスティたちは日頃からハリウッドスターの出迎えのような気分を味わっていることを思い知ったのでした。
村からアペリティーボ(軽食とドリンク)でウェルカムのおもてなしを受け、フェラリスティたちは車から降りると軽食をつまみながらお互いの近況報告などを楽しみます。
住人わずか50人というこの小さな村のメイン広場にびっしり駐車されたフェラーリ、その数20台。こじんまりした村が急に活気に満ち、テーマパークのような雰囲気になりました。村の子どもたちも目をきらきら輝かせながら、我先にと写真撮影していました。
中には、日本で一時は2億5000万円で取引されたこともあったというF40も。普段あまり拝めることができないエンジンなども間近に見られるとあって、フェラーリファンたちは一台一台吟味するようにじっくり眺めていました。
初めてクオータを訪れる人たち向けに村散策のサービスも。ガイド役を務めてくれたのはクオータの村長さん。村の歴史や特産品の栗などについて説明をしながら、村を案内してくれました。
中心広場に戻ると、村人たちも参加できる昼食会が用意されていました。この昼食会で食事を提供するのは村のトラットリア。小さな村にとっては一大イベント、お祭りのような賑やかさに村人たちも終始とても楽しそうな様子。フェラーリは数台集まるとお祭りもできてしまうんだな、と。このイベントは地域おこしにも一役買っているんだな、とこのクラブイベントが担う社会的役割のようなものも理解したような気がしました。
さて、お待ちかねのランチ内容はパスタ料理が2皿、メイン料理が1皿、そしてデザート2種類でした。パスタ料理はヒヨコ豆とローズマリーのトロフィーエとミートソースのリガトーニ。メイン料理は卵の詰物をした豚肉。
愉快なフェラリスティたちは終始冗談を言い合い、笑顔が溢れる楽しいランチタイムを過ごしました。ちなみに日本のように仕事話など無粋な会話はなく、9月という時期柄もあって「バカンスにはコルシカ島へ行ってきたよ〜」といったような会話が中心。
デザートを楽しんでいる頃、クラブの会長Enio Turrini(エニオ・トゥリー二)氏らから挨拶があり、このミーティングはこれにて終了。参加者にはこの日を記念して記念切手がプレゼントされました。
フェラリスティたちによるスマートで小粋なフェラーリ遊びは、みんながハッピーになれる素敵なものでした。さすが人生を楽しむことを知り尽くしているイタリア人たち。フェラーリのオーナーになることは残念ながら宝くじでも当たらない限りこの先も無いでしょうが、彼らの人生を楽しむ姿勢は見習いたいものだなと思いながらフィレンツェへの帰路に着いたのでした。
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