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見て、聴いて、触れて感じる!サンマリノパビリオン

ryo

2025.05.06

大阪・関西万博の会場で、一際多くの来場者が足を止めているパビリオンがあります。それは「サンマリノパビリオン」。コンパクトながらも、独自の世界観とユニークな展示で注目を集めています。

すでに「どんな場所なんだろう?」と気になっていた方も、そうではない方も、この記事を読めばきっと訪れてみたくなるはずです。


サンマリノ共和国の国章(左側)と本万博のために特別デザインされたパビリオンのロゴ(右側)をパビリオンの入り口に表記。

学生たちが手がけた特別ロゴ

パビリオンの入口でまず目に飛び込んでくるのが、今回の万博のために特別にデザインされたロゴマーク。

photo by サンマリノパビリオン

このロゴは、サンマリノ共和国大学の学生たちによって制作されたもの。デザインには、日本の「日の丸」と、サンマリノのシンボル「三つの塔」をモチーフとして用いており、両国のつながりや友好の思いが込められています。そんな学生たちの感性が光るロゴは、パビリオンの顔として、訪れる人たちをあたたかく迎えてくれます。


3つの窪みからそれぞれの違う形の岩石を展示。

実際に触れる「ティターノ山の石」

入ってすぐ左手にある展示コーナーには、サンマリノのシンボルであるティターノ山の岩石が展示されています。未加工のものから、表面に意匠が施されたものまで3種類の岩石を並んでいます。

しかも、この3つの岩石は実際に触れることができるというから驚き。ざらりとした質感と、手のひらに伝わる温もりから、サンマリノの大地の雰囲気を感じることができます。

スタッフによると、これらはすべて手作業で加工されたとのこと。現地でしか見られない貴重な素材を、間近で感じられるまたとない機会です。


音で巡るサンマリノの風景

2つ目の展示は、ドーム型の空間に広がる音のインスタレーション。
足を踏み入れると、衛兵の行進音、市場の賑わい、小鳥のさえずりなど、サンマリノに流れる音の風景が360度から響いてきます。
目を閉じれば、まるで現地にいるような臨場感。聴覚を使って旅する、そんな体験ができるユニークな展示です。


地平線に広がる、視覚体験

3つ目の展示は、窪みの中からのぞくように設計された地平線の景色。
ティターノ山からの眺望、街の中心の風景、周囲の自然など、さまざまな視点からのサンマリノの景色を見渡せます。

視覚を通じて、サンマリノの地形や文化を感じられるのも、このパビリオンの魅力のひとつ。特に2つ目の展示で、サンマリノを音で感じた余韻に浸りながら、映像を見る。聴覚と視覚で受け取った刺激がゆるやかにつながる。そんな感覚が研ぎ澄まされていくような、不思議な体験が待っています。


世界最古の写本に記された「サンマリノ建国の物語」

最後にご紹介するのは、「ユネスコ世界記憶遺産」への登録候補にもなっている、世界最古級の貴重な写本です。この書物には、サンマリノ共和国のはじまりが記されています。


時代は3〜4世紀ごろ、ダルマチア地方(現在のクロアチア)出身の石工マリヌスが、自分の故郷を離れ、アドリア海を渡り、旅をしながら心も体も成長していく様子が描かれています。

最終的に、石工マリヌスは現在のサンマリノの地となるティターノ山にたどり着き、そこで人々とともに小さな共同体を築きました。それが、サンマリノ共和国のはじまりとされているのです。

この物語を記録した原本は、現在もイタリア・トリノ国立大学図書館で厳重に保管されています。今回万博で展示されているのは、オリジナルではありませんが、貴重な写本のひとつなのです。


サンマリノという国の精神的なルーツを物語る特別な一冊を、ぜひ会場でご覧ください。

photo by サンマリノパビリオン

普段なかなか知ることのできない国や文化に出会えるのも、万博ならではの楽しみのひとつ。
サンマリノパビリオンでは、自然や文化などを「触覚・聴覚・視覚」の3つの感覚を通じて体験することができます。

まだ訪れていない方はもちろん、すでに行ったことがある方も、ぜひもう一度足を運んでみてください。
小さな国に隠された、新しい発見がきっとあるはずです。



サンマリノパビリオン会場:セービングゾーン 海外パビリオン COMMONS-C 館


2025 年大阪・関西万博 サンマリノパビリオン公式サイトhttps://www.sanmarinoexpo.com/ja/the-pavilion-ja/


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