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いつ来ても新しい!大阪・関西万博のイタリアパビリオン

Keiko Shimada

2025.05.15

大阪・関西万博のなかでも、連日、大屋根リングの下まで入場を待つ長い行列ができているイタリアパビリオン。イタリアの各州が週替りでフィーチャーされ、展示や美食、ライヴパフォーマンスまで、毎週新しい魅力と出会えることがさらなる人気を呼んでいます。


イタリア南部のプーリア州が主役

5月11日(日)から17日(土)まで開催されているのは、Puglia(プーリア)州に関する特集。プーリア州はイタリア南部、「ブーツのかかと」に位置する州で、円錐型の屋根が特徴的な石造りの小さな住居「トゥルッリ」が立ち並ぶアルベロベッロなどが有名です。


古代からオリーブ畑が広がるこの土地は、上質なオリーブオイル、肥沃な大地が育んだ野菜が豊富。広大な小麦畑から収穫されるセモリナ粉で知られ、プーリアで生まれたパスタも世界的に人気となっています。イタリアパビリオン3階にあるレストランEATALYでも、この週間に合わせて期間限定でプーリア州の美味を紹介。プーリア州と地中海地域の世界的アンバサダーであるPeppe Zullo(ペッペ・ズッロ)シェフも来日し、大阪・関西万博という舞台でプーリア州の郷土料理とワインを提案します。


EATALYの特別メニューの一品は、「オレキエッテのトマトソース・ストラッチャテッラチーズとタラッリのクランブル添え」。イタリア語で「小さな耳」を表すオレキエッテは、耳たぶの形をしたショートパスタで、くぼみの部分にソースが入ることで味がよく絡むのが特徴です。口に運ぶと、もちもちとしたオレキエッテの食感、クリーミーなフレッシュチーズ、プーリア特産クラッカー「タラッリ」のカリッとした食感が織りなすハーモニーが広がります。とくに塩味を抑えたトマトの甘みそのままのソースが絶妙で、噛むほどにコクが広がる風味を楽しみながらも、さっぱりといただけます。


黄色のチェリートマト、クリーミーなブッラータ、オイル漬けのセミドライトマト、そして砕いたタラッリをトッピングしたピッツァもプーリアの味として登場。甘みと酸味、そこに素材の旨みが絶妙に調和し、プーリアの魅力を一皿に閉じ込めた味わいは、やみつきになる美味しさです。


ワインはカステッロ・モナチのフェウド・モナチ・ネグロアマーロ・サレント、サン・マルツァーノのタロ・フィアーノが登場しました。フェウド・モナチ・ネグロアマーロ・サレントは、パワフルな香りが広がるフルボディの赤ワイン。しっかりとした味わいでありながら丸みがあり、チーズとの相性が抜群。辛口でありながら、後から甘みが追いかけてくる複雑な味わいを感じました。


いただいた名刺には天使の絵が描かれ、「プーリアの食材は天からの贈り物だから」と、私たちにプーリア料理の魅力を語ってくれたペッペ・ズッロシェフ。食材の味わいを活かしながら、ぬくもりある美味しさにどこか懐かしさを感じるプーリア料理は、日本人好みのイタリア料理と言えるでしょう。


航空宇宙技術で注目を集めるプーリア州

1階の多機能スペースにも、この1週間は「新しいスペースエコノミーで注目を集めるプーリア州」をテーマに、航空宇宙技術に関する展示が登場。先進のテクノロジーを駆使して航空宇宙分野に進出しているプーリア州の一面をクローズアップしています。豊かな自然や肥沃な大地の恵みというイメージが強いプーリア州ですが、航空宇宙の分野は地域経済にとって戦略的な産業。航空宇宙産業の売上高は15億ユーロを超え、輸出は2024年に約3億2600万ユーロに達し、航空宇宙産業で働く従業員は7500人、研究者は500人と言われています。


1階のポルティコには、プーリアが発祥のルミナリエの電飾や伝統的な陶器が展示され、地域の魅力を余すことなく伝える展示となっています。


観客と一体となる圧巻のパフォーマンス

屋外ステージでは、1日に2回、ライヴパフォーマンスを開催。5月17日までは、プーリアの伝統的なダンス「ピッツィカ」の公式アンバサダーであるオーケストラ・ポポラーレ「ラ・ノッテ・デッラ・タランタ」が、活気に満ちた音楽とダンスを紹介するパフォーマンスで観客を魅了します。


タンバリンの催眠的なリズムが特徴のライブ音楽と、観客を魅了しながら巻き込んでいくダイナミックなダンスセッション。筆者を含め、ダンサーに誘われた観客たちは、前の人の肩に手を置いて1列に連なって踊りながら歩き、さらに輪になって踊り、大屋根リングの上から見守る観客たちも大いに盛り上がったひととき。国境も文化も超えた人々が笑顔で一つになり、「ああ、これこそが万博なんだな」と、改めて実感しました。


週替りで新しい州が登場し、5月18日(日)からはローマのあるラツィオ州の特集がスタート!何度訪れても、行くたびに新しい発見のある大阪・関西万博のイタリアンパビリオンは、あなたの来場を待っています。