CULTURE

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オペラ史上前代未聞! チームラボのデジタルアートが空間を演出する没入型オペラ、プッチーニ『トゥーランドット』

© teamLab, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

公益財団法⼈東京⼆期会は、二期会創立70周年記念公演シリーズとして、2023年2月23日(木・祝)より26日(日)まで東京文化会館大ホールにて、プッチーニ作曲のオペラ『トゥーランドット』を上演します。


この度の『トゥーランドット』(新制作)は、イングリッシュ・ナショナル・オペラ前⽀配⼈のダニエル・クレーマーが演出を務め、国際的アート集団「チームラボ」が、クレーマーの⼤胆な『トゥーランドット』の解釈をもとにセノグラフィー(空間演出)を構想しました。クレーマーとチームラボによる構想期間は5年にわたり、これまでのオペラの概念を超越する没⼊的なオペラ空間となっています。


昨年6⽉に行われたジュネーヴ⼤劇場でのワールドプレミエは驚きと賞賛で迎えられ、大好評を博しました。そしてこの度、満を持してこの世界最先端の『トゥーランドット』が、東京⼆期会によって開幕します。


ここで、『トゥーランドット』のあらすじに触れておきましょう。


王朝時代の古代中国・北京。冷酷な心と美貌の持ち主で皇帝の娘であるトゥーランドット姫は、求婚者に結婚の条件として3つの謎をかけるが、これまで誰一人謎を解くことが出来ず、首を切られてきた。今回ペルシアの王子が月の出とともに処刑されると、群衆の中をトゥーランドット姫が広場に引き立てられてくる。その混乱した広場で、ダッタンの元国王で放浪の身だったティムールと、生き別れになっていたその息子カラフが再会する。また、ティムールの女召使いリューも一緒だった。処刑の様子を見ようと宮殿に現れたトゥーランドット姫を見たカラフは、その美しさに見惚れて求婚を決意し、ティムールとリュー、そしてピン・パン・ポンの3大臣に止められるのも聞かず、トゥーランドットの名を叫びながら銅鑼を叩いて姫の謎に挑戦する。

トゥーランドット姫は「その昔、敵に捕らえられ非業の最期を遂げた姫の復讐を果たすため、謎が解けぬ者は命を落とすことになる」と言い、カラフにも出題していくが、カラフは全て解いてみせる。それでもなお求婚を拒む姫に対し、カラフは逆に謎を出す。「明朝までに私の名を解き明かせ、それができれば命を捧げる」と。

求婚者の名を今夜のうちに解き明かすよう姫の命が下る。カラフは夜明けには自分が勝利するだろう〈誰も寝てはならぬ〉と歌う。3大臣はあの手この手で名前を聞き出そうとするが、カラフは拒絶する。そこへティムールとリューが、求婚者と話をしているのを見たとして連行されてくる。リューはティムールを庇い兵士の拷問を受けるが、口を割ることはなく〈姫君の氷のような心もやがて溶ける〉と歌い、兵士の剣を奪い取って自殺してしまう。リューの献身的な行動を目の当たりにしたトゥーランドット姫の心はやがて……。


演出家のダニエル・クレーマー ©Sandra Then

今回、『トゥーランドット』の演出を担当するダニエル・クレーマーは、次のように語っています。


このオペラは極めて巨⼤だ。オペラ史上前代未聞のテクノロジーを操るチームラボと共に構想した、震えるような作品だ! プッチーニ最後で最⾼の作品、叡智の絶頂にあった芸術家が残した最後の⾳符̶。私たちが⼈⽣をかけて取り組んできたこの芸術を、チームラボと共に世界規模で実現することができる素晴らしい機会なのだ。⼈⽣で最も信じられないような『トゥーランドット』を観客に届けよう。オペラには今、これまで以上に新しい若いファンが必要だ。この舞台を⾒て彼らはこう⾔うだろう、「オペラでこんなことができるなんて!」


指揮者のディエゴ・マテウス

指揮を執るのは、ベネズエラの⾳楽教育エル・システマ出⾝の英雄ディエゴ・マテウス。東京⼆期会には初登場ながら、⼩澤征爾⾳楽塾初代⾸席指揮者に就任するなど、その実⼒を知るファンは少なくありません。今回は、通常『トゥーランドット』公演で採⽤されることの多いアルファーノ版ではなく、より登場⼈物の⼼理描写に重きを置いているとされるルチアーノ・ベリオ版による第3幕補作版を使⽤。その点においても、プッチーニの究極の⾳楽をマテウスがいかに導くのか、興味は尽きません。


マテウス曰く「プッチーニは、私にとって特別な存在です。とても素晴らしい作曲家で、⼈々の⼼に直接響かせる⼒を持っています。『トゥーランドット』といえばアリア「誰も寝てはならぬ」が有名ですが、もちろんそれだけではない素晴らしい⾳楽がある⼤傑作です。プッチーニの最後の作品ですし、今回は、ルチアーノ・ベリオ版なので、とりわけ特別なものになるでしょう。皆様との出会いをとても楽しみにしています」。

※「設定」で日本語字幕オンにしてご覧ください

メインキャストによる『トゥーランドット』に込める想い

東京⼆期会のキャストには、⼆期会創⽴70周年記念公演にふさわしい歌⼿たちが揃っています。タイトルロールに⽥崎尚美と⼟屋優⼦、カラフに樋⼝達哉と城宏憲、リューに⽵多倫⼦と⾕原めぐみ他、今まさに旬を迎えている実⼒派がダブルキャストで集結。最先端の『トゥーランドット』で光り輝く東京⼆期会のキャスト陣にどうぞご期待ください。


トゥーランドット姫

トゥーランドット姫役の⽥崎尚美

トゥーランドットは非常に思い入れがある役の一つです。冷たく強いイメージの役ですが、「何故そうなったのか?」の一つの可能性をお見せできる舞台だと確信しております。豪華な装置、まばゆい光の中で歌えることを楽しみに頑張ります。


王⼦カラフ

王⼦カラフ役の城宏憲

王子カラフは、トゥーランドット姫の出題した謎を3問全て解き、花婿の資格を得る……はずでした。鬼才ダニエル・クレーマーは、性を超えた人間愛を描こうとしてるように思います。固定概念を揺るがす、追い詰められた王子の決断にご注目ください」。


リュー

リュー役の竹多倫⼦ ©深⾕義宣

学部生の時からずっと憧れていたリューを、今回初めて演じさせていただけることに大変感慨深く感じております。リューは愛の為に、自分の身を投げ打ってでもカラフを助けるという大変に強い女性です。リューの大きな愛を皆さまに届けられるよう心を込めて演じ歌います。


チームラボが手掛ける、光による⽴体的な彫刻空間が演出する『トゥーランドット』の世界

© teamLab, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

舞台は回転する⼆つの側⾯で構成され、ひとつはトゥーランドット姫を頂点とする近未来的なディストピアのゲームショー。トゥーランドット姫に求婚する男たちは、クイズに参加しては負け、「花」をもぎ取られる―。それを⾒て興奮する⺠衆。チームラボは、光による⽴体的な彫刻空間をステージ上に創り、熱狂を煽ります。その⼀⽅で、光の彫刻空間は時には霞み、繊細で抽象的なものとなって空間を静寂で包み込み、美と戦慄の瞬間を⽣み出します。


ステージが回転すると、もうひとつの側⾯である、潜在意識の世界が出現。万華鏡のようなひし形の「⼼の部屋」は、美しく魅惑的でありながら、巧妙さと欺瞞を連想させます。ここでは、王⼦カラフが⾃⾝のコンプレックスや恐怖と向き合いながら、奇妙で混乱した万華鏡のような世界を進んでいくのです。


ステージデザインはチームラボ・アーキテクツが担当し、シンプルでありながら⼒強い幾何学的なステージをプランニングしました。回転するセットは、ガラスやアクリル、反射する表⾯、柔らかい⽩と伸縮する⿊の組み合わせ素材を⽤いて制作。光の反射や吸収によって異なる視覚的体験をもたらす空間で、キャストたちは物語を展開していきます。


ぜひ、ご自身の目で、オペラ史上前代未聞となるチームラボが手掛ける没入型オペラ、プッチーニの『トゥーランドット』を体験してみてはいかがでしょうか。


プッチーニ『トゥーランドット』新制作 (ルチアーノ・ベリオ版による第3幕補作版

オペラ全3幕 ⽇本語字幕付原語(イタリア語)上演

会場:東京⽂化会館 ⼤ホール
東京都台東区上野公園5-45

会期:2023年2⽉23⽇(⽊・祝)18:00、24⽇(⾦)14:00、25⽇(⼟)14:00、26⽇(⽇)14:00
※開場は開演の60分前
※上演予定時間約2時間45分(休憩含む)


チケット料⾦(全席指定・税込)
S22,000円 A18,000円 B14,000円 C10,000円
D6,000円(予定販売数終了) E2,000円(予定販売数終了) 学⽣2,000円
※2⽉24⽇(⾦)公演は「平⽇マチネ・スペシャル料⾦!」S〜B席1,000円引き

チケットのご予約・お問い合わせ:⼆期会チケットセンター
Tel. 03-3796-1831(⽉〜⾦ 10:00-18:00/⼟ 10:00-15:00/⽇・祝 休み)
インターネットご予約は、「⼆期会チケット」から
※その他プレイガイド
・チケットスペース Tel. 03-3234-9999 ・チケットぴあ (Pコード:224-201)

ローソンチケット (Lコード:31601) ・イープラス ・新⽇本フィル チケットボックス Tel. 03-5610-3815