CULTURE

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サンレモ音楽祭2021出場者発表!

71年目となるサンレモ音楽祭が2021年にも開催されることが決定しました!

2020年の70周年記念大会の直後、イタリアはコロナ禍に襲われてやがてロックダウン。以後は劇場に観客を入れての興行が難しくなってしまいましたので、長い歴史を誇るサンレモ音楽祭の2021年開催も危ぶまれていたのですが、今のところ例年通りのスタイルで開催する方向の模様です。(客席やオーケストラボックス、楽屋など、密になりがちな部分などには、変更はあるかもしれませんが)

サンレモ音楽祭とは?

1960年代に世界的なヒット曲の発信源となっていたサンレモ音楽祭は、当時の日本でも抜群の知名度を誇っていましたが、やがて日本ではTV放映がなくなり、イタリア音楽の日本盤レコードがあまり発売されることが無くなっていった時から既に50年も経過してしまったため、今ではサンレモ音楽祭の名前すら知らない世代が主流になっています。当時の栄華を知る方々も、この音楽祭が今でも相変わらず毎年開催されている事をご存じない方も多いようです。

しかしながら、現在も尚、イタリア以外にもヨーロッパやイタリア移民の多い大陸、イタリア文化を敬愛する国などでもTV放映されており、欧米圏の超大物スターがゲスト出演することも多いため、サンレモ音楽祭の開催時期には必ず世界中で話題となっています。この50年の間に、日本だけその話題に取り残されてしまうようになってしまったのが残念でなりません。

それでも日本人に判りやすいようにと“イタリア版・紅白歌合戦”と表現されることがありますが、規模も内容も全く異なるものです。サンレモ音楽祭は、新曲(=未発表曲)の優劣を競うコンクールであり、結果はもちろんのこと、出場すること自体がアーティスト生命に大きく影響するため、歌手も作り手たちも真剣モードで挑みます。そして決定的に異なるのは、なんと5日間に渡って毎夜4時間ぐらいに渡って開催されるので、イベントとしての規模(=予算のかけ方)も遥かに大きくなります。(さらに毎夜、有志のみ出演する後夜祭的なイベント番組もあり、6日目は別番組ですが、同じステージでお披露目会的なセレモニー番組が行われるので、出場者たちは6日間連続出演=長時間&長期間拘束となります!)

サンレモ音楽祭の会場となるリグーリア州サンレモ市のアリストン劇場サンレモ音楽祭の会場となるリグーリア州サンレモ市のアリストン劇場

サンレモ音楽祭の視聴率

毎夜、TVで生中継され、今でもサンレモ音楽祭のイタリアでの視聴率は例年50%前後を誇り、2020年の70周年記念大会では、平均54.78%、瞬間最大視聴率のピークとなる結果発表時には、なんと82.24%に達しています。

イタリアの若年層には、サンレモを毛嫌いする言動がありますが、それでも他者とのコミュニケーションに支障があるようなので、サンレモの動向や結果を最低限は押さえてはいるようです。サンレモは生放送ゆえにハプニングも発生し易く、社会的に大きな話題となることも多いこともあります。(過去には、出場中の歌手が自殺したり、想定外の理由で失格となったり、過激な輩が会場に乱入したり、2階の客席から飛び降りようとする人物を司会者が説得し続けて事なきを得るという回もありました。)

日本からも無料&オンライン視聴可!

サンレモ音楽祭は長らく2月開催となっていましたが、2021年大会は15年ぶりに3月開催となり、2021年3月2日~6日の5日間開催。日本時刻で3月3日(水)~3月7日(日)の朝の時間帯(5時頃~9時過ぎ頃まで)となります。

放映権を持つイタリア公共放送RAIは早くからネット同時配信&オンデマンド配信をしており、日本からも無料&オンラインで観ることができます。オンデマンドでは半日後ぐらいからフル映像が公開されますが、数週間で消されてしまうことが多いので、早めのチェックをお勧めいたします。

公式サイト→ http://www.rai.it/programmi/sanremo/

2020年から引き続き総合司会&芸術監督を務めるアマデウス2020年から引き続き総合司会&芸術監督を務めるアマデウス

サンレモ2021出場歌手決定!

2020年12月17日(日本時刻12月18日)に出場歌手の顔ぶれが発表されました。チャンピオン部門(=本選)26組のうち、優勝経験者3名、出場歴あり12組、初出場12組と過半数に迫る初出場者という、かなり思い切ったラインナップとなっています。(新人部門は例年通り8組)

2020年は22組で落選ナシ、70周年記念のためゲスト多数ということもあり、最終夜の結果発表がかなり押してしまったのに、さらに4組増やして大丈夫なのでしょうか? 2021年大会はコロナの影響もあり、海外からのゲスト出演は無いかもしれませんね。

それではここから出場者を簡単にグループ分けしてご紹介しましょう。各グループの順列は出場歴の降順、初出場者は年齢の降順となっています。

数年前にTroppi vecchi(トロッピ・ヴェッキ / 意:年寄りが多すぎ)と揶揄されたこともあり、若い歌手の出場も増えていますが、それでもなお、アラフォー世代が中心層となっているのが、日本と異なる世界です。(新人部門でさえ年齢制限は36歳です)

驚きなのは1960年代から活動しているOrietta Berti(オリエッタ・ベルティ / 77歳)の28年ぶりのサンレモ出場でしょうか。もちろん出場者中で最年長です。

1960年代から活動するオリエッタ・ベルティ(77歳)も出場!1960年代から活動するオリエッタ・ベルティ(77歳)も出場!

【優勝歴あり】
Arisa(アリーザ / 38歳女性 / 2014年優勝・直近出場2019年)
Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ / 52歳男性 / 2005年優勝・直近出場2019年)
Ermal Meta(エルマル・メータ / 39歳男性 / 2018年優勝)
【出場歴あり】
Bugo(ブーゴ / 47歳男性 / 直近出場2020年)
Fasma(ファズマ / 24歳男性 / 直近出場2020年新人部門)
Ghemon(ゲーモン / 38歳男性 / 直近出場2019年)
Irama(イラマ / 25歳男性 / Amici出身 / 直近出場2019年)
Max Gazzè(マックス・ガッゼ / 53歳男性 / 直近出場2018年)
e La Trifluoperazina Monstery Band(ラ・トリフルオペラツィーナ・モンスターリー・バンド / 初出場)
Noemi(ノエミ / 38歳女性 / X Factor出身 / 直近出場2018年)
Annalisa(アンナリーザ / 35歳女性 / Amici出身 / 直近出場2018年)
Lo Stato Sociale(ロ・スタート・ソチァーレ / 男性グループ / 平均35歳 / 直近出場2018年)
Francesca Michielin(フランチェスカ・ミキェリン / 25歳女性 / X Factor出身 / 直近出場2016年)
e Fedez(フェデツ / 31歳男性 / 初出場)
Malika Ayane(マリカ・アヤン / 36歳女性 / 直近出場2015年)
Orietta Berti(オリエッタ・ベルティ / 77歳女性 / 直近出場1992年)

活躍が期待されるフランチェスカ・ミキェリン(左)とフェデツ(右)。ミキェリンは2016年大会で2位に付け、既にこの2人のコラボ曲でのヒットの実績もあり。活躍が期待されるフランチェスカ・ミキェリン(左)とフェデツ(右)。ミキェリンは2016年大会で2位に付け、既にこの2人のコラボ曲でのヒットの実績もあり。

2018年大会で3位の実績を持つアンナリーザ。2018年大会で3位の実績を持つアンナリーザ。

【初出場】
Extraliscio(エクストラリショ / グループ / ヴォーカル51歳男性)
feat. Davide Toffolo(ダヴィデ・トッフォロ / 55歳男性)
Coma_Cose(コマ_コーゼ / 男女デュオ / 42歳男性)
Colapesce (コラペッシェ / 37歳男性)e Dimartino(ディマルティーノ / 38歳男性)
Aiello(アイエッロ / 35歳男性)
Willie Peyote(ウィーリー・ペヨーテ / 35歳男性)
La Rappresentante di Lista(ラ・ラップレゼンタンテ・ディ・リスタ / 男女混合グループ / ヴォーカル33歳女性)
Gio Evan(ジォー・エヴァン / 32歳男性)
Fulminacci(フルミナッチ / 23歳男性)
Gaia(ガイア / 23歳女性 / Amici出身)
Måneskin(マネスキン / 男女混合グループ / ヴォーカル21歳男性 / X Factor出身)
Random(ランダム / 19歳男性)
Madame(マダム / 18歳女性)
【新人部門(全員初出場)】
Avincola(アヴィンコラ / 33歳男性)
Davide Shorty(ダヴィデ・ショーティ / 31歳男性)
WrongOnYou(ロングオンユー / 30歳男性)
Gaudiano(ガウディァーノ / 29歳男性)
Folcast(フォルカスト / 28歳男性)
Dellai(デッライ / 双子兄弟デュオ / 24歳男性)
Greta Zuccoli(グレタ・ズッコリ / 22歳女性)
Elena Faggi(エレーナ・ファッジ / 18歳女性)

プレイリストの曲目

前出の通り、サンレモ音楽祭は新曲のコンクールですので、“会期以前に未発表の曲に限る” という厳格なルールがあり、この記事を書いている時点で、出場曲のプレイリストは作れません。そこで、出場者の過去の代表曲をプレイリストにしました(上記の名前順)。なお、会期以前の楽曲発表が認められている新人部門のみサンレモ2021出場曲をプレイリストに入れました。

Buon ascolto!(ブォン・アスコルト / 聴いてね!)

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