イタリアサッカー
COLUMN
CULTURE 16 Feb 2021

【PASSIONE CALCIO!】Vol.04 | プロビンチャの星。ベルガモの誇り。


 ミラノから電車で約1時間。ロンバルディア州のちょうど中心に位置する小都市、ベルガモ。この町の最大の見どころは、丘の上にある城壁に囲まれた旧市街「チッタ・アルタ」。中世の面影を色濃く残す街並みは、都市部から気軽に“タイムスリップ”できる場所として、多くの旅行者を惹きつけてやみません。それでも、観光の面を除けば比較的静かな北イタリアの田舎町・・・のはずだったベルガモが、近年ちょっと騒がしいのです。その要因は、ここを本拠地とするアタランタBC(注:以下アタランタ)。

 愛称は「La Dea(女神様)」。ギリシャ神話の女性英雄「アタランテー」がその名の由来となっているアタランタは、古くから若手選手の育成力には定評がありましたが、長い間リーグでは目立った成績を残せずにいました。“おらが町のクラブ”として市民に愛されながらも、彼らがもっとも熱を帯びるのはセリエAへの残留を決めた時か、セリエBから昇格した時、という状況。典型的な「プロビンチャ(注:イタリア語で小規模の地方クラブのこと)」として過ごしてきたチームの風向きが変わったのは、2016年、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が就任してからです。

 選手の発掘と組織力を武器にした戦いで名を上げてきた指揮官は、アタランタでもその手腕を遺憾なく発揮。就任1年目からいきなり、クラブを史上最高のリーグ4位に押し上げたのです。自慢の組織力に加え、スロベニア代表イリチッチ、コロンビア代表サパタ、アルゼンチン代表A・ゴメスといった実力者たちが一気に覚醒。その破壊的な攻撃力を誇るアタッカー陣は時にビッグ3以上と評され、イタリアのみならず欧州全土から恐れられることとなります。勢いに乗り、力をつけたチームは、2018-19シーズンにクラブ史上最高のリーグ3位。翌2019-20シーズンには、創設113年目にして初のUEFAチャンピオンズリーグ出場、さらにはベスト8進出という大躍進を遂げたのです。

 この快進撃に、ベルガモ市民が熱狂に包まれたのは言うまでもありません。とりわけチャンピオンズリーグでは、グループステージ3連敗から大逆転で決勝トーナメント進出という離れ業をやってのけ、町はお祭り騒ぎに。それは、ティフォージ(注:イタリア語で熱狂的なサポーターのこと)たちの長年の情熱に、ついに「女神」が微笑んだ瞬間でした。

 近年経済の振るわないイタリアでは、経営していくのがやっと、というクラブも珍しくない中、小規模の地方クラブが、限られた予算の中でこれほどの快進撃をみせたことは称賛を浴びました。他の小規模クラブ同様、有望選手の引き抜きなどの悩みを常に抱えるアタランタですが、現在もドイツやオランダなど各国から選手を獲得し、育成にも力を注ぎながら、ビッグクラブと鎬を削っています。セリエA屈指の魅力的なチームとして、ベルガモが誇る“奇跡のプロビンチャ”はまだしばらく夢を見させてくれそうです。

文:M.E

<連載「PASSIONE CALCIO!」イタリアに深く根付くサッカーにフォーカスを当て、各地のクラブチームを、歴史やその土地の文化とともにご紹介!>
Vol.1 カルチョが映し出す、イタリアのカルチャー。
Vol.2 イタリアサッカーを牽引、9連覇中の絶対王者。
Vol.03 3強の一角。息を吹き返しつつあるネラッズーロ。

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「ITALIANITY」編集部

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