フラワーデザイナー梶谷奈充子さん
INTERVIEW
CULTURE 06 May 2021

イタリアからインスピレーション!フラワーデザイナー梶谷奈允子(かじたになみこ)氏が創る母の日に渡したい特別ブーケ


5月9日(日)は母の日。母の日は、普段なかなか伝えられない日頃の感謝の思いを伝える絶好のチャンスです。母の日の定番ギフトといえばカーネーションですが、最近ではカーネーションだけでなくお花のブーケをギフトとして贈る方が増えています。

そこで今回ITALIANITYウェブマガジンでは、母の日特集としてフラワーデザイナーの梶谷奈允子(かじたになみこ)さんに、イタリアからインスピレーションを受けた特別ブーケを作っていただきました。

イタリアからインスピレーションを受けた特別ブーケ

―――今回は母の日特集ということで、イタリアからインスピレーションを受けたブーケを特別に作っていただきありがとうございます。通常のブーケにはあまり見かけない植物もいくつか見えますが、コンセプトを教えていただけますか?

今回作っていただいた特別ブーケにはローズマリー、ユーカリ、ペパーミント、モヒートミント、バラ、アリウム、ラナンキュラス、トルコキキョウ、レースフラワー、スカビオサが使われている。今回作っていただいた特別ブーケにはローズマリー、ユーカリ、ペパーミント、モヒートミント、バラ、アリウム、ラナンキュラス、トルコキキョウ、レースフラワー、スカビオサが使われている。

日本人にとってイタリアと言えば「食」のイメージが強いと思うので、今回はローズマリーやユーカリ、ペパーミント、モヒートミントといったハーブを使ってブーケを仕上げました。そしてハーブのグリーンが溢れる中に、あえて母の日の花として定番のカーネーションは使わず、バラなどの華やかなお花を盛り込み、イタリアンマンマの明るいイメージを表現しました。

バラの花

―――こんなにもたくさんのハーブが使われたブーケは初めて見ました!母の日にこんな素敵なブーケをもらったら、母親は嬉しくてたまりませんね。

母の日は、娘さんや息子さんから母親にブーケをプレゼントとしてあげることが多いので、明るいお花を使うことで感謝の気持ちが伝えやすいと思うのです。またイタリアンマンマが料理でよく使うハーブもブーケに盛り込むことで、イタリアンマンマの明るいイメージも表現しました。こういった温かい気持ちがしっかりと伝わるようなブーケになればいいなと思っています。

花を見つめる梶谷さん

―――ちなみにイタリアンマンマにどのようなイメージを持っていますか?

やっぱり情熱の国だから、パワフルなマンマですかね?
イタリア人はどこの国よりもフレンドリーで優しく、イタリア旅行中にレストランで美味しそうに食べていると、とても喜ばれた経験があります。

インタビューにこたえる梶谷さん

梶谷さんとイタリア

今回イタリアからインスピレーションを受けたブーケを特別に作っていただいたフラワーデザイナーの梶谷さんですが、これまでニューヨークで展示を行ったり、カルティエ、ブシュロンといったハイブランドの装花を担当したりと、日本だけでなく海外でも活躍されています。

―――先ほどイタリア旅行のお話が出ましたが、これまでどれくらいイタリアを訪れたことがありますか?

イタリアには旅行で2回ほど訪れたことがあります。ヨーロッパで展示会をしたいと思っており、実はパンデミック前にフランスで展示会の予定があったのですが、残念ながら実現には至りませんでした。パンデミックが落ち着いたら、ヨーロッパで展示会をしたい気持ちでいっぱいです。

―――イタリア旅行で一番魅力的だったのはどんなところですか?

やっぱり食事ですね。(笑)「こんなにも食事って美味しんだ!」と何度も思いました。その中でも特に衝撃的だったのがパスタ、そしてズッキーニの花のフリットです。やっぱり本場はこんなにも美味しいのだと感心しました。

―――やっぱりイタリアのグルメは外せないですよね。ちなみにイタリアの花と日本の花で違いはあるのですか?

デザインの面で言うと、イタリアのブーケは日本と比べると量が多く、例えば黄色のバラが50本!みたいなドバっとした飾り方が多いですね。色の面で言うと、イタリアでは黄色や赤を使ったものが多いです。

―――たしかに大きなバラの花束を抱えたイタリア人の男性のイメージがありますよね。梶谷さんが好きなイタリアの花はありますか?

間違いなくブーゲンビリアです!イタリアのリゾート地に行くと、青い空や海の風景の中に、濃いピンクのブーゲンビリアが咲いていますよね。以前イタリアの車関係のブランドから、夏のイベントのフラワーデコレーションとして、そのようなイメージを表現してほしいというリクエストもありました。

梶谷さんが一番好きなイタリアの花ブーゲンビリアブーゲンビリア

フラワーデザイナーとしての道のり

それではここからは、梶谷さんにフラワーデザイナーとしての仕事についてお話を伺いたいと思います。

―――学生時代に大手代理店から内定をもらっていたにも関わらず、「一生続けていける自分らしい仕事をやりたい」との思いから、フラワーデザイナーの道を進まれたと拝見しました。この決断を下すまでに色々悩まれたことが想像できますが、一番の決め手となった理由は何でしょうか?

以前からデザインに対する興味はあったのですが、デザインというと広告や洋服、インテリアだけだと思い込んでいました。そして学生時代、友達の母親が運営しているおしゃれなカフェを訪れた際に、花がきれいに飾られているのを見て、花もデザインするものだと初めて知ったのです。自分がやっていけるかどうかはわかりませんでしたが、どこかピンときた感覚を覚えています。

いざ花の仕事について考えたとき、本当にこれが自分の考えと合っているのか、とても考えました。そして花の仕事をしようと決意した瞬間、これまでやってきたこととは全く異なる方向に進むことになったのです。大学で学んできたこととは全く違うことでしたが、自分の中で「腑に落ちた」感覚がありました。

インタビューにこたえる梶谷さん

―――これまでとは違う世界に飛び込む決意は、とても大きな勇気がいることだと思います。そして2001年には、花の本質を知るためにフラワーハンターのもとで植物について研究されていたそうですが、フラワーハンターとはどのような方でしょうか?

かっこよく言うと「フラワーハンター」ですが、いわゆる山に入って木を切ってくるおじさん、みたいな人です。(笑)植物はハウスで栽培されるだけでなく、他にもいろいろな方法があるのです。自分の山を持っていて、そこで木を育てて切ってくる人もいれば、ただただ山に入って、見つけ出してくる人もいます。私は彼のアシスタントとして、愛知県の山奥に一緒に入っていました。

花屋に勤めてフラワーアレンジを学ぶ方法もありましたが、とにかく早く花を覚えたい、他の人よりも上手くなりたい、個性を出したいという思いが強く、そのためには植物の根源を知ることが大事だと思いました。そして流通前の農園とフラワーハンターの下で2年半勉強しました。どんなところから植物を切り出してくるのか、どんな風に育っているのか自分の目で見たいという思いがあったのです。

夏は暑いし、冬は寒いし、虫は出るしで決して楽ではありませんでした。でもそのおじさんは動物を大事にしていて、虫も殺さない人でしたね。蚊でさえも絶対に殺さないのです。まさに植物と一緒に生きている感じでした。それまでこういう精神の方に会ったことがなかったので、とても驚きましたね。

―――それはとても印象的ですね。その後フラワーアーティストのもとで修業後、フラワーデザイナーとして多くのウェディングを担当されていますが、ウェディングならではのフラワーデザインの特徴があれば教えてください。

男性も女性も、洋服は何を着ようとか、アクセサリーはどれにしようとか、何を食べようとか、今までそういうことは考えたことがあっても、花について考えたのは結婚式が初めてという方も多いのです。そして結婚式から1年、10年と時が経つにつれて、どんな花を飾ったのか忘れてしまうことが多くあります。そこで私は、その季節にしかない花を必ず一つは選ぶようにしています。

花を選ぶ梶谷さん

例えば、バラと一緒にその季節にしかない花を使い、「この花を見ると結婚式を思い出す」ような感じで思い出してもらえたら、とても素敵だと思っています。どこに引っ越したとしても、ある季節になると必ずその花が咲いていて、その香りをかいだら結婚式を思い出すように。

お花を通して、お客様に気持ちのプレゼントができたらいいなと思っています。

花

―――香りと記憶は繋がってると言いますしね。とても素敵です。これまでニューヨークで二度も展示会を開催したり、ハイブランドの装花やコンサートなどの舞台装飾も担当されていますが、特に印象に残った仕事はありますか?

そうですね、10年くらい前にカルティエのアミュレットという20代向けのカジュアルラインのイベントで、花を上からぶら下げたんですよね。当時、花をぶら下げるという発想はなかったのですが、会場が狭いけど華やかに飾りたい、どうする?となったとき、上にお花があったら綺麗だねという話になり、試しにぶら下げてみたらとても可愛かったんです。それをきっかけに花を吊ることが楽しくなって。ここ5、6年で花を吊る人が出てきましたが、おそらく私がパイオニアではないでしょうか。

また「インスタグラマー」という言葉が浸透していない時代に、「映える場所」について打ち合わせをしていたのですが、誰もわからなくて。「お花があると映えるんじゃない?」というアイディアから、限られた空間の中でユニークな形で、どこで写真を撮っても映えるように、様々な仕組みやコンテンツを制作しました。

イベントの様子はコチラ

―――必要は発明の母というように、会場に花を飾る場所がなかったからこそ、花を吊るすという発想が生まれたのですね。実に興味深いです。今回梶谷さんにお話を伺い、花に対する真摯な思いが良く理解できました。最後にITALIANITY読者に向けてメッセージをお願いします。

私が花の仕事を始めたのは、花を好きになってくれる人がもっと増えてるといいなと思ったのがきっかけです。そしてその思いは今でも変わりません。
一本のお花でも、道に咲いている花でも、花が一つあるだけで心が豊かになるはずです。

植物と人は同じように名前があって奥深さがある。必ず枯れてしまうし、なくなってしまうからこそ、癒しの力があるのかもしれないですね。不思議なことです。

これからもっと花を好きになってくれる人が増えたら楽しいですね。

花を見つめる梶谷さん

梶谷奈允子(かじたになみこ)

zero two THREE Flower Designer / Table Coordinator
<プロフィール>
ダイナミックさと繊細さを合わせもち、花の奥深い可能性を引き出す、独創的なフラワーデザインが特徴的である。
2001年、花の本質を知るためにフラワーハンターのもとで植物について研究し、2003年からはフラワーアーティストのもとで修行。2006年には株式会社テイクアンドギヴ・ニーズにて、フラワーデザイン部門の統括部長、オートクチュールデザインのフラワーデザイナーとして国内外の数多くの著名人のウェディングを担当。2016年に独立、その後、zero two THREEを設立する。2017年にはNYで2度の「show thw flore」のフラワーデザイナーとして展示会を開く。カルティエ、ブシュロンなど、ハイブランドの装花をはじめ、コンサートなどの舞台装飾も担う。
http://003ztt.com/

イタリアの情報が満載のメールマガジン登録はこちらをクリック
WRITER PROFILE
「ITALIANITY」編集部

「ITALIANITY」編集部です。オフィスは港区北青山です。イタリアに関するさまざまなイベント、新製品などのニュースを募集中です。どうぞお気軽にご連絡ください。 http://italianity.jp/contact/