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結婚式にぴったりのイタリアのウェディングソング特集🎶Spotifyプレイリスト付き

よしお アントニオ

2025.10.25


現代のイタリアでは、法的な婚姻はせずに事実婚のカップルが多いということが日本と異なる点でしょう。

ラブソングが多く存在するイタリアですが、結婚式や結婚を祝福する歌は意外と多くはなく、“結婚”という単語がタイトルやキーワードに入っている楽曲でも、“意中の人が他の人と結婚してしまう・・・”、“望まない相手と結婚するけれど、心の中には別の人が・・・”といった後悔・嫉妬・哀愁の歌が多いのも、結婚に相応しい楽曲選びに苦労する点です。


今回は歌詞の内容も厳選した歌の中から結婚式にピッタリの楽曲はもちろん、熟年世代が一生添い遂げる想いを新たにするような、ちょっと変わった楽曲をピックアップしました。


Buon ascolto!(ブオン・アスコルト / 意:聴いてね!)


結婚式に使える厳選イタリアソング10選

1.ある愛の歌 Una canzone d’amore

イタリア人の多くが結婚式と言えばこの曲とイメージするのが883(オット・オット・トレ)「Una canzone d’amore(ウナ・カンツォーネ・ダモーレ / 意:ある愛の歌)」(1995)です。なんといってもそのMVが結婚式仕立てで作られたからに他なりません。


2019年に2度目の結婚をした883の顔マックス・ペッツァーリ

2019年に2度目の結婚をした883の顔マックス・ペッツァーリ

2.21世紀の定番曲「A te」君に

21世紀の結婚式の定番曲になりつつあるのがジョヴァノッティ「A te(ア・テ / 意:君に)」(2008)。聴いているだけでも愛に溢れるラブソングなので、ライブではカップルが抱き合いながら聴いたり、キスを交わし合う定番曲になっていたのですが、実際にライヴ会場で同曲の演奏中にプロポーズしたカップルが現れ、その動画がSNS上でバズり、ジョヴァノッティ自身も祝福のコメントを寄せたことから、イタリアでは非常に縁起の良いプロポーズ曲・ラブソングとして定着するようになりました。


自身が企画したJova Beach Partyで結婚式の神父役を務めるジョヴァノッティ(右)
自身が企画したJova Beach Partyで結婚式の神父役を務めるジョヴァノッティ(右)

3.Ti voglio sposare 君と結婚したい

ズッケロ「ティ・ヴォリョ・スポザーレ[君と結婚したい)](Ti voglio sposare)」(2016)は、布袋寅泰のギターをフィーチャリングして発表され、同年ズッケロの初来日のステージでは同曲はもちろん、全曲に渡って布袋寅泰がギター演奏&コーラスを務めたのが大きな話題となりました。タイトル通り、“君と結婚したい、嘘じゃないよ” とイタリア語と英語の詞がコール&レスポンスとなっているサビがキャッチ―な楽曲です。



4.In buone mani 君にゆだねるよ

ジョー・バルビエリ「君にゆだねるよ(In buone mani イン・ブォーネ・マーニ)」(2021)は、ジョー自身の結婚式で、新妻へのサプライズとして歌った楽曲。スタジオ録音では、実力派女性シンガーソングライターのカルメン・コンソリがデュエット相手を務めています。原題の“In buone mani”は直訳では“良い両手の中に”という意味ですが、慣用句として“(人を信頼してその手に)ゆだねる”という意味があります。

花束を持った男性


5.Puoi fidarti di me 君は僕を信じていいよ

ジォヴァンニ・カッカモ「Puoi fidarti di me(プォイ・フィダルティ・ディ・メ / 意:君は僕を信じていいよ)」(2018)。愛とは永遠を誓うこと、というよりも、その瞬間瞬間に愛が存在することが大事だと信じている男性の視点で歌われています。2人を取り巻く余計な感情や環境を排除したら、残るのは僕と君の2人だけなのだから、と。


6.Io ti prendo come mia sposa 僕は君を花嫁として連れて行く

クラウディオ・バリォーニ「Io ti prendo come mia sposa(イオ・ティ・プレンド・コメ・ミア・スポーザ / 意:僕は君を花嫁として連れて行く)」(1972)。“20世紀を代表するラブソング”に選ばれた楽曲を含むコンセプトアルバム『Questo piccolo grande amore(クエスト・ピッコロ・グランデ・アモーレ / 意:このありふれた大きな愛)』収録曲。愛する女性を“花嫁”として、あらゆる所へ連れて行く、と誓う男性視点の歌。彼女を連れて行く先は、神の前、霧に満ちた朝、涼しい夏の夜、黄色い紅葉、ミモザ畑の前、済んだ穏やかな空、などなど。


7.Come la pioggia che si sposa al vento 風と結婚する雨のように

ブンガロ「Come la pioggia che si sposa al vento(コメ・ラ・ピオッジァ・ケ・シ・スポ―ザ・アル・ヴェント / 意:風と結婚する雨の様に)」(2012)。“風と結婚する雨のように / 雲を全部消し去るよ / 空が泣くのを止めるよ / 君が唯一の運命のように感じるから”と、風と雨が結婚することに例えたプロポーズにぴったりの楽曲です。



8.La sposa 花嫁

マンゴー「La sposa(ラ・スポーザ / 意:花嫁)」(2011)。自分の花嫁となる女性のために、自分のあらゆる想いを込めて歌われた楽曲。哲学的な作風で知られるPasquale Panella(パスクァーレ・パネッラ)の作詞なので、若い青臭さとは一線を画した大人の視点での非常に抽象的な世界観が歌われています。“愛とはおそらく運だ / 運というものは相手の顔を見てはいないし、相手が誰かなどはお構いなし / でも私は君が花嫁であることを知っている / 私の花嫁 / 彼女が何であれ / 人生だ”


9.Io ci sarò 僕はそこにいるよ

883「Io ci sarò(イオ・チ・サロ / 意:僕はそこにいるよ)」(1998)。1曲目と同じ883の作品で、同様に結婚式に最適な楽曲のひとつと考えられています。“僕は君に約束はしない”と予想外の歌詞から始まりますが、“分不相応な約束はしない・できない”という等身大の男性の想いが綴られています。“おとぎ話では白馬に乗った王子様が現れ / 美しい人をお城に連れ帰って結婚し / 永遠の愛を誓うけれど / こうじゃないんだ / 君が僕を理解してくれたらいいな / 幸運と逆境の中で / 喜びと困難の中で / 君がそこにいるなら / 僕はそこにいるよ”と最後に男性は約束の気持ちを述べます。


10.E se qualcuno もしも誰かが

マルチェラ・ベッラ「E se qualcuno(エ・セ・クァルクーノ / 意:もしも誰かが)」(1990)。今ではイタリアを代表する大作曲家となったジァンニ・ベッラが3兄弟の力を集結し、実妹のために書き上げた美しい楽曲。“もしも誰かが”という仮定法が満載の歌なので、イタリア語の条件法の教材にもピッタリの歌です。もしも誰かに“世界を意のままにできる”、“神はいない”、“恋をするな”などと言われたらどうしよう?と自問自答する女性の歌。あなたがいなかったら、あなたに出会わなかったら素直にその言葉に従えたかもしれないと、女性は考えあぐねます。逆説法的な表現のラヴソングです。


よしおアントニオ
音楽ジャーナリスト。イタリア音楽専門誌『MusicaVita Italia(ムジカヴィータ イタリア)』 http://musicavitaitalia.com/ 編集人。 イタリア音楽普及促進グループPiccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ・イタリア) http://piccola-radio-italia.com 主宰。 毎月開催のイタリアPOPSフェスタも15年を超えている。イタリアン・ポップス出版物(CD等)の歌詞監修・対訳多数。日本の伝統も重んじる剣道家(四段)でもあり、少年剣道教室の指導役も務めている。


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