CULTURE

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【Spotifyプレイリスト】Viva la Mamma!
~母に捧げる楽曲集~

母の日に合わせて、イタリアに数多あるMamma(母)に捧げた楽曲を、例によってイタリアらしく、新旧の時代からジャンルを問わずにピックアップして紹介いたします。

プレイリストの内訳

1~9は最も明快なママ讃歌。
10は聖母マリアを歌った楽曲。
11~13は50年以上前に生まれた母を称えた定番曲。
14は古い曲とミックスした面白い楽曲。
15~17は母娘間にある確執や特殊な状況下の母子関係を歌った楽曲。
18~19は亡母への想いが歌われた楽曲。
20~22はラッパーによる母讃歌です。

プレイリスト収録曲詳細

1. イタリアロック界の永遠の兄貴分エドアルド・ベンナート自作の1989年のヒット曲で、ママを賛美した有名な歌のひとつ。 イタリアではロックンローラーも臆面もなくママへ捧げる歌を歌うのが面白いところ。 イタリアにはこの曲名をそのままブランド名に据えた食品会社もあります。

2. ルカ・バルバロッサが自作して歌ったサンレモ音楽祭1992年度優勝曲「僕を踊りに連れていって」も母へ捧げられた美しい歌の代表曲のひとつ。 日常生活の多忙さにかまけて疎遠になってしまう親子の関係を題材に歌い上げ、今では母の愛に感謝するマニフェスト的な歌となっています。

3. アンナ・タタンジェロの2007年のアルバム収録曲。 母への素直な愛情を込めた楽曲ですが、作詞者は男性ジジ・ダレッシォなので男性目線の世界観かもしれません。 その判り易さからか、この曲が母の日に最適!と挙げるイタリア人は多いです。

4. ジョルダーナ・アンジのサンレモ音楽祭2020参加曲。 娘から母へ贈る純粋な讃歌。 面白いのは“プライドは時に私たちを遠ざけてしまう怪物だ”と歌っているところ。 おそらくどの母娘の間にも存在する女性同士の確執を表現しているのでしょう。 グッと来るのは“いつか私もママになることでしょう / 私は私の母のようになりたい”と歌われるところ。

5. 女性シンガーソングライターのグラツィア・ディ・ミケーレの1986作品。 娘から母へ贈る歌。 “ママ、私はあなたの口紅を盗んでいました / 少しでもあなたのように見えるようにと / 引き出しの中に探していました / あなたを理解するためのカギを / ママ、そのカギを私は自分の中に見つけました”

6. イタリア語ラップの父ジョヴァノッティのママ讃歌。 そう硬派なラッパーでさえ、ママへの敬愛を歌にしてしまうのがイタリア。 聴き易いスタジオ録音盤がSpotify登録されていなかったのでライヴテイクを収録しました。 スタジアムに集まった数万人の観客が一緒に歌うのもイタリア式。 圧巻です。

7. 今や世界の歌姫となったラウラ・パウジーニの2011年アルバム収録曲。 世界を飛び回る立場になったラウラが母への感謝を書き下ろした歌詞になっています。 芸能界に身を置いたラウラに母が言い続けてきた言葉が引用されています。 “ラウラ、世界には変わらないイイことがあるのよ。 あなたの言葉や歌に耳を傾け、あなたがしようとしていることをすぐに分かってくれる人々がいるの”。

8. 全欧でも南米でもスターとなったエロス・ラマゾッティの2003年発表曲。 レゲエのリズムに乗せた屈託のないママ讃歌。

9. 世界的なソウル歌手となったズッケロの2019年作品。 “mama(ママ)”と同じ発音となる“m’ama(意:ママが僕を愛する)”をかけて、“Anche se il mondo non m’ama, bella d’estate lei m’ama, lei mi consola Soul Mama(意:たとえ世界が僕を愛していなくても、ママが僕を愛してくれるから夏は美しい、ママが僕を安心させる ソウル・ママ)”と韻を踏みながらの言葉遊びも楽しいところ。

10. スウェーデンのABBAがお手本にしていた男女デュオ、リッキ・エ・ポーヴェリの1982年の大ヒット曲。 カトリック総本山のお膝元のイタリアで“マンマ”とは、聖母マリアをも意味する言葉です。 まさに“聖母マリア”をタイトルに据えた軽快なダンスナンバーは今では結婚式の説法の時に流用する神父さまが存在するほどの定番曲となっています。

11. カンツォーネ黄金時代に台頭した若手歌手のひとりアンナ・イデンティチの1965年の曲で、翌年にサンレモ音楽祭に初出場するきっかけとなりました。 タイトルの“Un bene grande così”は、イタリアでよく使われる“Ti voglio bene(ティ・ヴォッリョ・ベーネ / 意:大好き)”の本来の意味をよく捉えているところが秀逸です。 “Ti voglio bene”を直訳すると“私はあなたに天の恵みがあることを望みます”となります。 その“bene(意:天の恵み)”を受けて、その“bene”とは“Un bene grande così(意:こんなにも大きな恵み)”としているのです。 もちろん、ママに対しての愛が歌われています。

12. サンレモ音楽祭1954年度の優勝曲「美しいママ」。 原題が“mamme”と複数形になっているところに注目。 世界中のママたちに捧げられたママ讃歌なのです。 慈悲深い母の愛を称え、やげて年月が経ち子供たちが巣立った後、白髪やシワが増えてもママたちの美しさは萎れはしない、とべた褒めな歌詞に癒された母たちもきっと多いことでしょう。

13. おそらく世界的に知られるイタリアの歌のひとつ。 戦後間もない時代のイタリア歌謡界を代表する名歌手のひとりとなったルチァーノ・タヨーリの1940年のヒット曲。

14. 今やイタリアを代表する重鎮歌手となったレナート・ゼロの最初期ヒット曲(1973)のひとつで、1986年のTV番組でこのプレイリストの前の曲「Mamma」をミックスして披露された音源。 1991年発表のアルバムで初めて音源化された貴重なテイクです。

15. 実力派女性シンガーソングライター、カルメン・コンソリのサンレモ音楽祭2000参加曲。 母と娘という、親子であると同時に女性同士という確執的な関係を歌った楽曲。 母の若いころの白黒写真を自分と重ね合わせ、肉体的に似ている部分を認めつつも、両者の間に存在する葛藤を歌った歌詞で、決して判り易いママ讃歌ではないものの、母を歌った歌としてこの曲を挙げるイタリア女性は多いようです。

16. ラウラ・パウジーニの1996年のアルバム収録曲。 これも母と娘の間の確執を歌っていますが、エンディングは“Ti voglio bene mamma. scrivimi. tua figlia(大好きよママ。手紙書いてね。あなたの娘より)”で結ばれています。

17. サンレモ音楽祭2017で3位となったエルマル・メータが実母に捧げた楽曲。 アルバニア人の彼らは実父のDVからイタリアに逃げて来た来歴を持ち、子供を守るために耐えて来た母の人生、子供に引け目を感じている母の気持ちを解きほぐす歌になっています。

18. 全欧のスターとなった大ベテラン歌手アル・バーノが2014年に発表した自作の美しいママ讃歌。 当時70歳だったアル・バーノと歌詞の内容から考えて、亡母、または亡くなる直前の母へ手向けた歌とも考えられます。 “でも今ではもう遅い。夜はゆっくりと月をも盗んでいく。 時間というものは楽しい時の盗人だ。そしてあの子守唄をあなたがもう歌うことはない。”

19. 味わい深い作品で定評のあった故マンゴーの1988年アルバム収録曲。 写真の中の母に想いを寄せる、はかなくせつない内容の歌詞から、亡母への想いを歌っているように感じられる楽曲です。

20. ベテラン・ラッパーのジェイ・アックスが2018年に息子の誕生を祝って書きおろした楽曲。 ラップパートで自分と妻に起こった様々な苦難や葛藤に触れつつも、サビでは“幸いなことに、君は母親似だね / 幸いなことに君は全部が母親そのもの”と歌っています。

21. 人気ラッパー、コエツの2017年ヒット曲で、彼にとって初のラヴソングであり、自身の母に捧げた楽曲です。 冒頭“この曲は僕のために戦ってくれたあなたに捧げます”と始まり、“2人の両親がいる人もいるけど、あなたは3人に値します”と母を称える歌詞が何度も繰り返されます。

22. ラップ集団ソットトーノ(現在は解散)の1999年ヒット曲。 メンバーのひとりが実母に捧げた楽曲で、ラッパーらしく若干の野蛮な言葉が入っていますが、根底にあるのは紛れもない母への愛ですね。

Buon ascolto!(ブオン・アスコルト / 意:聴いてね!)

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