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イタリアジャズ界の第一人者 マウロ・オットリーニが繋ぐヴェローナと長浜の絆


ヴェローナと滋賀県長浜市の姉妹都市提携30周年記念特別プログラムの一環として、イタリア人トロンボーン奏者マウロ・オットリーニがライヴ映像を公開!

マウロ・オットリーニはイタリアJAZZ界の第一人者であるだけでなく、他国のトップアーティストとの共演も豊富で、JAZZ畑を超えたアーティストたちとのコラボでも知られている人物です。

企画・提供:イタリア文化会館-大阪

配信場所:イタリア文化会館-大阪 イベントオンライン





ヴェローナにあるジュリエットの家

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小林 真子 / 2018.08.07


“ヴェローナ”はどんなところ?


イタリア北部ヴェネト州の西側内陸部に位置する都市で、シェイクスピア作『ロミオとジュリエット』の舞台となった街であり、そしてローマ時代の円形闘技場遺跡にして現役の野外劇場として著名なアレーナ・ヴェローナを擁する街として有名です


アレーナ・ディ・ヴェローナ

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マリーニ あゆみ / 2019.10.18


“長浜市”はどんなところ?


滋賀県の湖北地方に位置する城下町。日本三大山車祭のひとつに数えられる長浜曳山祭がユネスコ無形文化遺産に登録されたことでも知られています。


長浜城

伊ヴェローナと長浜の関係

長浜市は日本最大の湖・琵琶湖に面しており、ヴェローナにはイタリア最大の湖ガルダ湖があることが共通点で、長浜市に工場を持っていたキャノン社がイタリアにも販売拠点を持っていたことから両市を結び付けたと言われています。


マウロ・オットリーニ(1972~)は、ヴェローナ県出身のトロンボーン奏者・作曲家・指揮者。音楽院を満点で卒業し、アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団で12年間演奏していましたが、JAZZ畑に転身し、後に「最優秀イタリア人ジャズ・ミュージシャン賞」に輝くほど登りつめることになります。メイン楽器はトロンボーンですが、ほとんどの金管楽器を演奏するマルチプレイヤーでもあります。


イタリア・ジャズ界の名演奏家たちとはもちろん、国際的なジャズ・ミュージシャンたちとの共演・交流でも知られており、イタリアのポップス畑のアーティストたちとの共演でも度々その名前を見かける存在です。


マウロ・オットリーニのライブ映像

この映像は以下のような構成となっており、冒頭にヴェローナ市長、最後に長浜市長のあいさつが添えられたスタジオライヴ映像で、美しい風景がふんだんに取り入れられた映像が挿入される点でも見ものです。


  1. ヴェローナ市長 ダミアーノ・トンマージからのメッセージ(1:26~)
  2. マウロ・オットリーニのライヴ(2:50~)
  3. 長浜市長 浅見宣義からのメッセージ(45:10~)

演奏者


マウロ・オットリーニ(トロンボーン、バストランペット)

トーマス・シニガリア(アコーディオン)

マルコ・ビアンキ(ギター)


【楽曲解説】


ファトゥーム(Fatum)3:18~
ユネスコの人類の無形文化遺産に登録されたポルトガルの伝統歌謡“ファド”の楽曲。ラテン語の“運命”という意味を持つ曲名ですが、ファド自体も“宿命”という意味を持っています。マウロが映像中でコメントしているように、このライヴ向けの特別なアレンジとなっているのは、プレイリストに入れたスタジオ録音テイクと聞き比べるとよくわかります。

アコーディオン弾き イヴ(Yves l’accordéoniste )12:17~
マウロが書いたオリジナル曲(2009)で、スタジオ録音テイクには、タイトル通りフランス語詞で女性歌手が歌っています。アコーディオン奏者I.スカットリーニに捧げられた楽曲。マウロはバストランペットに持ち替えて演奏しています。バストランペットは、楽器の形状こそトランペットですが、マウスピースがトランペットより大きいので、トロンボーン奏者が持ち替えて吹くことが多い楽器です。


バストランペットに持ち替えたマウロ・オットリーニ

結婚(The wedding)17:05~
南アフリカ出身ピアニスト&作曲家のアブドゥーラ・イブラヒム(1934~)のナンバー。イスラム教改宗前のダラー・ブランド名義時代からヨーロッパに移住して活動していたことでも知られる人物です。


180-78 23:18~
ミラノ出身の女性詩人アルダ・メリーニ(1931-2009)に捧げた、マウロのオリジナル楽曲。アルダ・メリーニはノーベル文学賞の候補に何度か入ったほどの、イタリア代表する現代詩人のひとりで、著名なイタリア人歌手ミルヴァも彼女の詩だけを歌ったアルバムをリリースしています。マウロは再びバストランペットに持ち替えて演奏しています。


黒いキャラヴァン(Carovana negra)29:21~
イタリア人作曲家ゴルニ・クラメール(1913-1995)作品。マウロのコメントでは“アコーディオン奏者”と紹介されていますが、黎明期のTV業界でも大活躍し、アコーディオンに限らず、あらゆる楽器を弾きこなすマルチプレイヤーであると同時に、オーケストラ指揮者=マエストロのイメージが強いレジェンド音楽家にして、60年代は後に大歌手となるミーナを育てたマエストロとしても有名です。

マウロはプランジャーミュートを効果的に使って面白いサウンドを奏でています。金管楽器の中でプランジャーミュートを使うのはほぼトランペットとトロンボーンに限定されますが、その面白さを最大限に発揮するのは、断然トロンボーンですね。ちなみにこの“プランジャー”とは“トイレのスッポン”のこと。その形状を見れば誰もが納得できますよね。


マウロはプランジャーミュートを効果的に使って面白いサウンドを奏でています。金管楽器の中でプランジャーミュートを使うのはほぼトランペットとトロンボーンに限定されますが、その面白さを最大限に発揮するのは、断然トロンボーンですね。ちなみにこの“プランジャー”とは“トイレのスッポン”のこと。その形状を見れば誰もが納得できますよね。


プランジャーミュートを駆使するマウロ・オットリーニ


アール・デコ(Art Deco) 35:48~

米トランペット奏者ドン・チェリー(1936-1995)作品。マウロはワウワウミュートを付けて演奏しています。一聴では前出のプランジャーミュートに似た響きのミュートですが、材質や構造が異なるので、微妙なニュアンスが違うところが聴きどころ。


道化師のタンゴ(Tango dei clowns)39:19~
映画音楽の世界でレジェンドとなったイタリア人作曲家ニーノ・ロータ(1911-1979)作品。映画『フェリーニの道化師(I clowns)』(1970 /フェデリコ・フェリーニ監督)のサントラ曲。再びプランジャーミュートでトロンボーンを奏で始めたマウロですが、途中でワウワウミュートに付け替えるのもポイント。2つのミュートが似て非なる代物であることがよく判る名演ですね。


ワウワウミュートを駆使するマウロ・オットリーニ