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熊野-ソレント姉妹都市20周年記念コンサートにダニーロ・レア登場!

2021年、三重県熊野市ソレント市は姉妹都市提携20周年を迎えました。これを記念し、ジャズ、コンテンポラリー、ポップスなどの分野を股にかけて活躍する巨匠ピアニスト、ダニーロ・レア(Danilo Rea / 64歳)の独占ライヴが配信開始されました。脇を固めるのは、アコーディオン奏者ルチアーノ・ビオンディーニ(Luciano Biondini)。


熊野-ソレント姉妹都市20周年記念コンサートにダニーロ・レア登場!

企画・提供:イタリア文化会館-大阪 https://iicosaka.esteri.it/iic_osaka/ja/


配信場所:イタリア文化会館-大阪 イベントオンライン
https://eventionline.net/artist_video/s233/


ダニーロ・レアはイタリア音楽界の重鎮アーティスト、ジーノ・パオリ(Gino Paoli)、ミーナ(Mina)、ピーノ・ダニエレ(Pino Daniele)、クラウディオ・バリオーニ(Claudio Baglioni)らが絶大な信頼を寄せて重用するピアニストであり、その他にもドメニコ・モドゥーニョ(Domenico Modugno)、アドリアーノ・チェレンターノ(Adriano Celentano)、ジャンニ・モランディ(Gianni Morandi)、リッカルド・コッチャンテ(Riccardo Cocciante)、レナート・ゼロ(Renato Zero)、フィオレッラ・マンノイア(Fiorella Mannoia)といった錚々たる顔ぶれのアーティストたちともコラボ経験を持つ、まさに“マエストロ”。


2018年に「ソレント半島アルトゥーロ・エスポージト音楽賞」を受賞し、2019年以降は同委員会の代表に就任しています。この賞はナポリ出身のイタリアの将軍名を冠し、イタリアの文化とエンターテインメント分野で卓越した活動を称える賞です。


アーティストのバイオグラフィは、配信場所となるイタリア文化会館-大阪のサイトに詳しく紹介されておりますのでご参照ください。


この映像は以下のような構成となっており、冒頭にソレント市長の、最後に熊野市長のあいさつもあり、美しいソレントの街並みの映像もふんだんに挿入されており、この特別なライヴをさらに格調高いものにしています。


1.マッシモ・コッポラ(ソレント市長)からのメッセージ

2.ダニーロ・レアのライヴ

3.河上敢二(熊野市長)からのメッセージ


セットリスト &楽曲解説

1.あなたが大好き(Te vojo bene assaje)

2.ナポリは(Napule è / di Pino Daniele)

3.ある夕食のテーブル(Metti una sera a cena / di Ennio Morricone)

4.カルーソ(Caruso / di Lucio Dalla)

5.帰れソレントへ(Torna a Surriento)

6.アッズッロ(Azzurro / di Paolo Conte)

7.素晴らしいあなた(Tu si’ ‘na cosa grande / di Domenico Modugno)

8.巻き毛の女性(La donna riccia / di Domenico Modugno)

9.ハレルヤ(Hallelujah / di Leonard Cohen)


楽曲解説

1. あなたが大好き(Te vojo bene assaje)1839
最も有名なナポリ語曲のうちのひとつ。作者が判明しているので“民謡”から“ポップス”へ移行する過渡期の作品とみなされています。

2. ナポリは(Napule è / di Pino Daniele)1977
イタリアの偉大なシンガーソングライターのひとりと目され、現代のナポリ語曲の作者&演者でもあり、国際的な名声も得たブルーズ・シンガーでもあったピーノ・ダニエレ(1955-2015)の最初期の作品にして、ナポリを歌った楽曲の中で、現地では最も愛され続ける5本の指に入る楽曲と言っても過言ではないでしょう。

3. ある夕食のテーブル(Metti una sera a cena / di Ennio Morricone)1969
ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィが1967年に発表した劇場喜劇を映画化した際、巨匠エンニオ・モリコーネ(1928-2020)が作曲した映画音楽。後にホラー映画の巨匠となる、ダリオ・アルジェントが脚本に参加しているのも特筆すべき点です。

4. カルーソ(Caruso / di Lucio Dalla)1986
多くのイタリア人に愛されてやまない巨匠シンガーソングライター、ルーチォ・ダッラ(1943-2012)が、世界を一世風靡した伝説のテノール歌手エンリコ・カルーソー(本来の発音は:エンリコ・カルーゾ / 1873-1921 / ナポリ生まれ)に捧げて作曲して歌った楽曲で、後にルチアーノ・パヴァロッティらのオペラ歌手たちがこぞってカヴァーするようになった有名な楽曲です。


ダッラがたまたまボートの事故に巻き込まれてナポリで宿泊したのが、カルーソーが亡くなる直前まで滞在していたホテルで、そこでダッラはホテルのオーナーからカルーソーの晩年の生活や指導していた若い女性歌手への想いなどを話してくれたことから、インスピレーションを得て作った、と語っています。


歌詞の中にはカルーソーも好んで歌った有名なナポリ語曲「彼女に告げてよ(Dicitencello vuje)」(1930)から引用されているのもポイントです。

5. 帰れソレントへ(Torna a Surriento)1894
これも有名なナポリ語曲のひとつ。1902年または1904年作とされてきましたが、近年の研究でそれ以前に書かれた楽譜が見つかり、1894年に遡ることが判明しています。同時に長らく語り継がれてきた、“ソレントを訪れた当時の首相に郵便局を作る支援を嘆願するために書かれた楽曲”という通説も崩れてしまいました。

6. アッズッロ(Azzurro / di Paolo Conte)1968
ダニーロ・レア曰く、ここからはソレントに関係なく、彼自身のフェイバリット曲を選んでいるそうです。その最初を飾るのは大スター、アドリアーノ・チェレンターノが歌って大ヒットし、スポーツ界でイタリア・ナショナルチーム・カラーである“アッズーリ(水色)”を重ね合わせて、イタリア・チームを鼓舞するための応援歌となり、今日も世界大会などで必ず歌われるエヴァーグリーンな楽曲。作曲したのはまだ若く、一介の弁護士に過ぎなかったパオロ・コンテ。彼は後にジャジーな作風のシンガーソングライターとして大成します。


7. 素晴らしいあなた(Tu si’ ‘na cosa grande / di Domenico Modugno)1964
有名曲「ヴォラーレ」(1958)でアメリカ・ビルボードの総合チャートを制した、唯一のイタリア人シンガーソングライターで、イタリアのポップスを世界に広めた貢献者ドメニコ・モドゥーニョ(1928-1994)のナポリ語曲。

8. 巻き毛の女性(La donna riccia / di Domenico Modugno)1954
世界的大ヒットを放つ以前のドメニコ・モドゥーニョの最初期の楽曲というツウ好みの選曲。

9. ハレルヤ(Hallelujah / di Leonard Cohen)1984
カナダのシンガーソングライター、レナード・コーヘン(1934-2016)の作品で、イタリア人アーティストにはなぜかこの楽曲が愛されてやみません。歌詞の中に聖書からの引用が多く、最も賛美歌的なポップスであることが、カトリック総本山のお膝元に暮らすイタリア人たちの心に強く残り続けているようです。とはいうものの、彼は既に1960年代ごろから禅に傾倒しており、1996年には臨済宗に出家するという、不思議な生涯を送りました。


熊野-ソレント姉妹都市20周年記念コンサートにダニーロ・レア登場!

プレイリスト収録の楽曲について

無料のプレイリストには、本ライヴで披露された楽曲順に、基本的にオリジナル・ヴァージョンか、ダニーロ・レアが演奏しているものを収録しています。ライヴはインストでしたので、ぜひ歌詞も聴いて欲しいです。