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イタリアのクリスマスと音楽

日本でもすっかり根付いたクリスマスという行事は、パーティをしたり、プレゼントを贈ったり・貰ったりする日であり、ロマンティックな間柄の当事者たちにとっては重大イベントという位置付けになっていますが、イタリアはカトリックの総本山のお膝元ですので、本来の宗教上での最重要な祝い事となり、日本とはかなり異なる様相があります。


もうすぐクリスマス! イタリア人はどんなプレゼントを贈り合う?
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もうすぐクリスマス! イタリア人はどんなプレゼントを贈り合う?

小林 真子 / 2019.12.10


イタリアのクリスマスの風物詩・プレゼーピオ

イタリアでのクリスマスは12月8日のImmacolata(インマコラータ)の祭日から始まります。“汚されていない女性”という意味で、すなわち、聖母マリアの処女受胎を意味します。この休日はクリスマス・デコレーションをするための休日、と断言しても良いでしょう。

Immacolata(インマコラータ)

クリスマス・デコレーションのメインとなるのは、“Presepio(プレゼーピオ / 意:飼い葉桶)”と呼ばれるイエス降誕の場を再現したミニチュアのジオラマです。聖母マリアと幼子イエスの人形を中心に家畜小屋やベツレヘムの街並みや人々などを再現します。

Presepio Sample

しかし毎年同じディスプレイだと飽きるのでしょうか? 少し遊び心を加えるのも好まれていて、プレゼーピオに飾る人形には、憧れのスターとか、時の人などのバリエーションがあります。日本でいうと、クリスマスというよりお雛さまの行事に近いかもしれません。

Presepio Musiciansイタリアのトップスターたちを模したプレゼーピオ人形。中央部の巨大な2体は、ポップス界の大スターPino Daniele(ピーノ・ダニエレ / 左)とRenato Zero(レナート・ゼロ / 右)

Presepio 政治家話題のイタリアの政治家たち

Presepio President Biden今年の新作プレゼーピオの目玉となるか?

そしてクリスマスイヴからクリスマス当日は、厳かな雰囲気の中、教会のミサに行き、基本的に家族と一緒におとなしく過ごして祝います。そこには日本でお馴染みの派手さやロマンティックな出来事は全くないと言っても過言ではないでしょうね。むしろ日本のお正月をイメージした方が近いかもしれません。

ローマ教皇

そして12月25日を過ぎてもイタリアのクリスマスは終わりません。翌26日もS.Stefano(サン・ステーファノ)の祝日ですし、実は年明けの1月6日のEpifania(エピファニア)の祭日までクリスマスが続きます。この休日にクリスマス・デコレーションを片付ける日に当てられるのが一般的です。

※1970年頃までエピファニアからさらに8日間も荘厳なお祝いをしていた模様です。

エピファニアの祭日は別名“Befana(ベファーナ)”とも呼ばれ、ベファーナとは醜い老婆の姿をしています。しかしながらベファーナはエピファニア前夜に子供たちにプレゼントを持ってくる存在ですので、日本でのサンタクロースの役割を担っています。

ベファーナ、実は子供たちのアイドル?


エピファニアの祭日とは、イエスの誕生後12日目に3人の博士が東方からやって来て、イエスに贈り物をして拝んだという伝承が元になっており、そのため、イタリアの子供たちがクリスマス・プレゼントを貰えるのは、12月25日ではなく、1月6日という風習になっています。


さて、聖母マリアは12月8日に受胎して12月25日に出産したとはどういうこと? と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。そこまでスピリチュアルな設定ではなく、聖母マリアが処女受胎したという説をキリスト教の教義に取り入れた日が12月8日であって、受胎した日ではないのです。(受胎告知は3月25日ですので、普通のヒトの妊娠期間と同等)

※聖母マリアの母が聖母マリアを処女受胎した日が12月8日という説もあります。

イタリアのクリスマス・ソング

前出の通り、イタリアのクリスマスは宗教的意味合いが強く、厳かな雰囲気の行事ですので、聖歌と呼ばれるカトリックの教会音楽やそこから派生した楽曲がメインで、新たなクリスマス・ソングが作られても、この厳かな雰囲気を持つ曲が主流となっています。

日本でお馴染みのクリスマス・ソングは、パーティを盛り上げるためにアメリカで作られた華やかな楽曲や、ロマンティックなムードを盛り上げる用に作られたポップス、またはプロテスタント系の讃美歌なので、イタリアで主流のカトリックの聖歌とはかなり異なります。

毎年、ヴァティカンのローマ教皇(※2019年から“法王” ではなく“教皇” の呼称に統一されました)の御前では、Natale in Vaticano(ナターレ・イン・ヴァティカーノ / 意:ヴァティカンのクリスマス)と題された、世界からアーティストたちが招聘されて一堂に会する公演が行われています。ポップス歌手たちが正装し、厳かな宗教歌を中心に披露するというのも、普段とは異なる彼らの魅力に気付ける良い機会になります。

※いくつかのテイクは音源化や映像化されています。


Natale in Vaticanoカバー
映像化されて市販されたDVD

とはいえ、イタリアでもここ10年ぐらいは世界的なクリスマス市場を意識してか、世界中で良く知られているアメリカ発の賑やかなクリスマス・ソングをカヴァーしたり、賑やかなイタリア語詞のクリスマス・ソングが作られたりすることも増えてきました。

また前出の通り、イタリアのクリスマス期間には年末年始も含まれるため、新年に向けての楽曲もあります。イタリアの新年は気の合う仲間と集まって賑やかに騒ぐ風習があるため、日本のクリスマスと新年の風習はそれぞれ反対になりますね。ちなみにイタリアには12月31日の“大晦日”の概念や風習はなく、大晦日から既に新年のお祝いモードとなります。

プレイリストにはそんなイタリアならではのクリスマス・ソングのうち、イタリア語歌唱のものを中心にセレクトして収録いたしました。冒頭は厳かな宗教系の歌、途中から日本でもお馴染みのクリスマス・ソングのカヴァー、後半は新たに作られたイタリア語詞のクリスマス・ソングです。最後の方は、イタリア語詞オリジナル曲ながら、ちょっと賑やかな楽曲を入れています。

Buon ascolto(ブォン・アスコルト / 意:聴いてね)!

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