毎年1月初頭にイタリア音楽業界の年間ヒットチャートが発表されます。
通称FIMIと呼ばれるイタリア音楽産業協会が、マーケティングリサーチ会社Gfkの協力を得て集計されたデータです。
このチャートは国内外混合チャートなので、イタリア語曲だけでなく、外国語曲やクラシック曲がチャートインすることもあり、ここ最近のイタリアに住む人々がどんな音楽を好んで聴いているのかが、実体として判る貴重なデータとなります。
しかし逆説的ながら、こうしたヒットチャートはあくまでも数量ベースの集計結果であり、イタリア音楽界でのアーティストの重要度・名声とはイコールではありません。ひとつの参考値としてご覧ください。
2021年の年間チャート
2021年の年間チャートは、2021/1/1から2021/12/3までの期間に基づいて集計されています。アルバムもシングルもベスト100位までが発表されますが、ここでは上位のものをピックアップしてご紹介いたします。
何よりも今回はアルバムチャートではTop23まで、シングルチャートではTop15までがイタリア勢で牛耳られたことが重要です。一時期は首位や上位を英語曲で占められ、いったいどこの国のチャートだか判らない時期もありました。
またここ数年、ラップ音楽が席巻しているイタリアですので、今回もかなりラッパーが一大勢力となっています。
まずは聴いてみてください。Buon ascolto!(ブォン・アスコルト!/ 聴いて楽しんで!)
【アルバムチャート】
1位はRkomi(ルコミ / 27歳)の3rd『Taxi Driver(タクシー・ドライヴァー』(2021)。本名がMirko(ミルコ)なので、アナグラムの芸名ですね。サンレモ音楽祭2022出場予定。
2位はSangiovanni(サンジョヴァンニ / 18歳)のデビューEP『Sangiovanni』。タレント発掘番組アミーチから躍り出た超新星です。サンレモ音楽祭2022出場予定。
3位はZ世代のバンドMåneskin(マネスキン)『Teatro d’ira – Vol. I(テアトロ・ディーラ/ 意:怒りの劇場)』。サンレモ音楽祭&ユーロヴィジョン優勝により世界中でブレイクし、2021年秋には日本盤も発売されました。2018年発売の1stアルバムも22位に、2017年発売のデビューEPも29位にランクインし、きちんとした実売が伴ったブレイクとなりました。
4位はBlanco(ブランコ / 18歳)の1st『Blu celeste(ブルー・チェレステ / 意:空の青)』。
5位はMadame(マダム / 19歳)の1st『Madame』。サンレモ音楽祭2021で8位に終わったものの、優勝のマネスキンに次ぐチャートインという驚異の大躍進となりました。
【シングルチャート】
1位はなんとピカピカの新人サンジョヴァンニの「Malibu(マリブ)」。アルバムチャートでは2位に留まったものの、見事にシングルチャートを制しました。サンレモ音楽祭2022出場予定。
2位は新人ブランコが売れっ子先輩ラッパー Sfera Ebbasta(スフェラ・エッバスタ / 29歳)をゲストに迎えて歌う「Mi fai impazzire(ミ・ファイ・インパッツィーレ / 意:君は僕を狂喜させる)」。
3位はFedez(フェデツ / 32歳)、 Achille Lauro(アキッレ・ラウロ / 31歳)、Orietta Berti(オリエッタ・ベルティ / 78歳)が共演する「Mille(ミッレ / 意:千)。年齢もジャンルも異なる3人の不思議な共演のきっかけは、3人ともサンレモ音楽祭2021出場者&ゲスト参加者であったからのようです。
4位はマネスキンのサンレモ音楽祭2021&ユーロヴィジョン2021優勝曲「Zitti e buoni(ズィッティ・エ・ブオーニ / 意:だまってイイ子にしてな)」。
5位はビートメイカーMace(メイス / 39歳)がラップ仲間ブランコとSalmo(サルモ / 37歳)と共演した「La canzone nostra(ラ・カンツォーネ・ノストラ / 意:僕らの歌)」。
参考:2021年間イタリアチャートTop100
https://piccola-radio-italia.com/archives/52358788.html