CULTURE

CULTURE

ホロコーストを忘れない 悲劇を喜劇として描いた映画『ライフ・イズ・ビューティフル』

今日、1月27日はホロコースト犠牲者を想起する国際デーです。


ホロコーストを題材とした「人生への賛歌」

これまで多くの映画監督たちが、人類の歴史上最悪とは言わないまでも、最も暗い歴史をテーマに自分の芸術を捧げたいと願い、作品を作ってきました。スティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』に見られるように、ホロコーストとユダヤ人大虐殺をテーマに描く映画の語り口は、常に悲痛で陰鬱なものでした。


しかし、こういった歴史上の暗いテーマをこれまでにない新しい視点で扱って大きく評価されたイタリア映画があります。


俳優であり映画監督のロベルト・ベニーニの『La Vita è Bella(邦題:ライフ・イズ・ビューティフル)』は、この世紀のイタリア映画の中で最も高く評価された作品の一つであり、1999年のアカデミー賞で外国語映画賞だけでなく(主演男優賞と音楽賞も)国際的にも認められた真のカルト映画です。1997年の公開当時は、ロベルト・ベニーニがこの悲劇をコメディにしたと多くの人が思いました。しかし、『La Vita è Bella』は、まさに人生への賛歌を意味するタイトルとして選ばれたのです。


この監督であり主演俳優のロベルト・ベニーニは、人類史でデリケートに扱われる出来事を映画にしてめったに見られない繊細さで伝え、感動させると同時に観客へ笑いを誘うことに成功したのです。まさに、第二次世界大戦を舞台にした悲喜劇といえるでしょう。


社会悪の中でも失われない人のポジティブさを描く

映画の前半では、ロベルト・ベニーニが演じる主人公・グイドが登場します。彼はトスカーナの田舎に引っ越してきたユダヤ人の青年で、登場してわずか数分後にして彼のキャラクターは観客を惹きつけてしまいます。


グイドは、恋に落ちた優しい教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)の気を惹くために、コメディとロマンスを見事に混ぜながら偶然の出会いを演出します。


グイドは、ドーラがファシストの幹部と婚約していたにも関わらず彼女の心を掴み、勇ましく緑色に塗られた馬に乗る演出で見事、彼女を自分に恋させることに成功します。


家庭を築いた後、グイドはホロコーストという最も恐ろしい事態に直面することになります。ユダヤ人である彼と妻ドーラを除く彼の愛する人々は、社会から疎外され、ついには強制収容所に収監されてしまいます。


ここから、現代社会の悪を描きながらも主人公が根底に楽観性を失わずにいることの素晴らしさを描く、この映画のもうひとつの優れたパートが始まります。


グイドは、自身や叔父と一緒に強制収容所に収容された息子ジョズエに、収容所の恐怖をゲーム遊びだと思わせるためあらゆる手を尽くします。


ゲームは1,000点満点で、勝者は本物の軍用戦車を手に入れることができます。ルールは時間が経つにつれて作られていくというゲームです。騙されるのは観客でもグイドでもなく、ジョズエだけ。


私たちは映画を見ている間、グイドが現実を見失わず家族を救う方法を常に探し続けるこの「冒険」に没頭しています。残念ながらグイドはその収容所で命を落としてしまいますが、アメリカ軍が解放のためにやってきたとき、小さなジョズエは自分が本当にゲームに勝ったと信じます。アメリカの戦車に乗って勝者のようにラガーから歩き出し、母親との再会に成功するのです。


命がけで息子を守った父の大きな愛

タイトル“La vita è bella”の最も深いメッセージのひとつは、愛する息子が確かにゲームに救われるのではなく、愛に救われること。グイドは最も恐ろしい状況に陥っているにも関わらず、家族への深い愛によって前に進むことができるのです。


息子と自分が築いたすべてを失うという恐怖が、グイドに小さなジョスエを救うためゲームを考案する力を与えているのです。映画の中では、息子の幸せと純真さを守るために、収容所は遊び場と化してしまうのです。


この映画で描かれているのは、息子のために父親が犠牲になる姿であり、家族を守るためにあらゆるものを拒むほどの大きな愛を見せる姿です。ロベルト・ベニーニが“非人間性の中に人間性を見出す”ことに成功したからです。


なぜなら存在がいかに儚いものであっても、希望を失わずそれにしがみつく強さは、私たちに与えられた貴重な時間を十分に生きるための完璧な要素であるように思えるからです。


このベニーニの見事な演技には、彼のいつもの勢い、誤解と誤認の間で繰り広げられるコメディ、そして彼の特徴である軽快さと活発さが感じられます。ロベルト・ベニーニのキャリアにおいて、おそらく最高の作品でしょう。