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着物をリサイクルするブランド「I WAS A KIMONO」のイタリア人デザイナー、Cristina Morini(クリスティナ・モリニ)インタビュー

日本の“勿体無い”というコンセプトで生まれたI WAS A KIMONO」(アイ・ワズ・ア・キモノ)。使わなくなった着物を再利用し、マスクやアクセサリー、小物を販売。今回は、ブランドのイタリア人創設者・デザイナーのCristina Morini(クリスティナ・モリニ)さんをインタビュー。

———イタリアのどこ出身ですか?
Cristina:私はエミリア・ローマニャ州のポー平原(Pianura Padana)とアペニン山脈の間にあるパルマ生まれで、1992年まで住んでいました。

———地元のどこが好きですか?
Cristina:ポー平原(Pianura Padana)には、広大な空間と平らで水平な地平線があってどこまでも見渡せるから旅がどこまでも続くように感じて、さらに霧がかかると雰囲気も出て、まるでおとぎ話に出てくるような場所です。

———初めての来日はいつですか?印象に残ってる思い出はありますか?
Cristina:2000年か1999年の1月だったと思います。2004年には移住して、16年住んでいます。常にみんなが急いでいて忙しそうな印象でした。それと都心の大きさに驚きました、日本に移住する前はスイスに住んでいましたが、20数分で市内中心部からスキー場に移動できるようなところだったので、東京がすごく広く感じました。

———イタリアからスイスに、スイスから日本に、どのようにして移住を決めたのですか?
Cristina:私はパルマでエンジニアと建築の会社で働いていた時にスイスから面白そうなオファーを受けました。その時(90年代)は、イタリアから、特に北から引っ越すことは一般てきではなかったけど、スイスはそう遠くないし、数百キロしか離れていないからと少し検討して、引っ越すことにしました。最初はどれくらい滞在するかわからなかったのでパルマの家も引き払わなかったです。そのあとはスイスとパルマを行ったり来たりで、スイスで約7年間、工業建築の業界で働きました。1998年には、ミラノ工科大学の工業デザインの修士号を取得して、そこで何人かの日本人友達ができました。90年代後半のその頃は、デザインを学びたい日本人からしたらミラノはすごく人気でした。今の日本人の旦那と出会ったのもその時です。

———日本に住んでいる上で、一番気に入っている部分を教えてください。
Cristina:無秩序に暮らすことができることですね。個人的にはすごく重要視している高い社会保障や質のいい教育があり、周りは常に敬意を持ち、優しい人が多いと思います。

———日本とイタリアの大きな違いは何だと思いますか?
Cristina:日本では素晴らしいものであればあるほど、隠れていて見つける必要があるように感じます。イタリアでは素晴らしいものであればあるほど、それがすぐ見えるところに出ている気がします。どちらも少し極端な部分があるなと感じます。

I WAS A KIMONOとは?

———I WAS A KIMONOの誕生きっかけを教えてください。
Cristina:古くて、ユニークな着物を再利用して新しい、ユニークなものを作りたいというパッションから生まれました。

———ブランドのコンセプトは何でしょうか?
Cristina:I WAS A KIMONOは日本のなにか捨てる後悔、“勿体無い”という概念から生まれたブランドです。日本とイタリアのコラボレーションのようなもので、古くて使わなくなった着物を再利用して、新たな使命を与えます。ヴィンテージの着物や捨てられた着物は、ジュエリーやインテリア、クリスマスボール、イースターエッグなどに生まれ変わります。全て手作りです。それだけでなく、今一番必需品となっているマスクも作っています。これらのフェイスマスクはファッショナブルだけでなく、持続可能でエコです。

———商品についてもう少し詳しく教えてください。
Cristina:一番最初に作り始めたのは、クリスマスボールですね。今でも結構人気があります。その後におしゃれなインテリアやイースターエッグ、テーブルデコレーションも作りました。どれもが季節が限られてしまうため、お客様からはいつでもプレゼント用に送れるものが欲しいとのご要望があり、ネックレスやイヤリング、ブレスレット、ヘアバンドなども作り始めました。新型コロナウィルスの観戦が拡大して、緊急事態宣言の前はバッグやドレスの製造も予定していましたが、今は製造を延期しています。

———パンデミック中にマスクの製造も始めたかと思いますが、詳細を教えてください。
Cristina:実は、2020年3月からちょっとしたヨーロッパツアーを計画していました。イタリア、トリノの祭りとスイスのベリンツォナの日本祭りに小さな展示会を開く予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響でイベントが全部キャンセルになって、展示会も中止になりました。最初は予定が全部キャンセルになて、困惑していましたが、しばらくしてからお客様からマスクを販売していないかの問い合わせがありました。本能を信じて、ヴィンテージ着物や浴衣からマスクを作成しはじめ、ファッショナブルなマスクの製造に先取りしました。日本国内での発送に加えて、アメリカ、シンガポール、カナダ、イギリス、フランスなど、国際配送もしています。ニュージランドやブラジルからもお客様がいます。

———お客さんは日本人が多いですか?それとも外国からの注文の方が多いですか?
Cristina:海外からの注文の方が多いですが、日本でもどんどん注目が集まるようになっていました。日本の方々は日本の文化と西洋文化が入り混じっている点に深い興味を持ってくれています。

———マスクで一番人気のデザインはどれですか?
Cristina:どのマスクも数量限定のため、どれが一番売れているのかは判断しづらいですね。特にユニークな着物の生地を使用すると、同じものの製造が限られてしまうので。浴衣を使用すると、同じ柄のものが何着か売られていることが多いので、大量に生産することができたりします。メンズで最も人気なのは、青系の生地で作られたマスクで、ウィメンズは花柄が一番人気です。

———キッズ用もありますか?
Cristina:はい、これもお客様からのご要望に応えて、製造を始めました。小さな子供にマスクをつけることを説得するのはすごく難しいけど、親子お揃いのマスクを作ると、お父さんとお母さんとお揃いのマスクだと喜んでつけてくれます。

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———マスクを製造するのに使う生地などは何ですか?製造に当たってこだわりはありますか?
Cristina:マスクの外側は着物のシルクを使って、内側は肌に負担が内容に柔らかなコットンの素材を使います。サイズはスモール、レギュラー、ラージの3つです。マスクのデザインによってはキッズサイズもあります。ここで注意していただきたいのが、マスクは布製であり、サージカルマスクに代わるものにはありません。マスクを作るために使用する着物は、プロの店主から購入されたものであり、20年以上使われているものはありません。そのため古い着物ですが、パラフィン化学薬品は使用されていません。
マスクにする前には着物をの布をはがし、専用の機械で洗浄し、2〜3日間日光の当たるところで干します。マスクの裏地には新しいコットンが使用されており、内側にはパッドやフィルターを入れるポケットがあります。

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———着物の再利用はデザイン性が高く、ファッショナブルだけでなく、環境にも優しいので、これからもどんどん日本と海外で広まっていくといいですね!

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