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1月6日はエピファニーア。イタリアで子どもたちに贈り物をするべファーナって何者?

イタリアをはじめ、他の国々では1月6日にエピファニーアを祝います。今回は、この祝日の意味や、過ごし方などをご紹介します。


エピファニーア(公現祭)の由来と意味

エピファニーアとはキリスト教の記念日です。イエス・キリストが神の子として公現した日を祝い、この日をもって冬期の行事は一段落となります。世界中の国で1月6日にエピファーナを祝うわけではなく、ユリウス暦を用いる多くの正教会では、1月19日に祝います(クリスマスは1月7日です)。


エピファニーアという言葉自体はギリシャ語で「出現」を意味し、もともと神の顕現と関連付けられてきました。カトリック教会では、イエスの誕生と、幼子イエスを讃えるために東方から贈り物を携えてやってきた博士(博士は、夢を解釈し星を研究する賢者であった)と結びつけて考えられます。キリスト教の伝統によれば、3人の博士たちが、方角を示す星に従って、黄金、乳香、没薬の贈り物を持参したと言われています。


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Nicolo / 2022.12.23


べファーナとは?東方の三博士を導いた老婆

キリスト教の伝統では、「ベファーナ」の歴史が東方の3人の博士たちと密接に絡んでいます。バルダッサーレ、ガスパール、メルキオーレの3人は、赤ん坊のイエスに逢うためにベツレヘムに向かう長い旅に出かけました。ある寒い冬の夜、道が分からなくなり、ある老婆に尋ねると教えてくれたという伝説があります。博士は共に来るようにと何回もこの老女を誘いましたが、断わられました。三賢者が去った後、彼女はついてこなかったことを後悔し、お菓子のたくさん入った袋を用意して三賢者を探しに出かけましたが、結局は見つからなかったのです。そして、この老婆は、すべてのドアをノックして、出会った子どもたちにお菓子を渡し、その中に赤ん坊のイエスがいることを願いました。



元々はベファーナとは、古く過ぎ去った年の象徴でした。彼女が携えた贈り物は新年の幸運を象徴するものであり、冬至と新年の収穫に関連した異教徒の贖罪儀式にルーツを持っています。世界的にはあまり知られていませんが、イタリアでは大衆的なキャラクターです。


昔は、クリスマスから12日目の夜は、死と再生を祝う祭りでした。母なる自然は、枯れた枝のように燃やされ、その灰の中から生まれ変わります。おばあさんは、死ぬ前に、翌年に植える種を配っていたのです。


イタリアの多くの地方では、この時期に様々な浄化の儀式が行われます。ガラガラと音を立てる大釜を使って畑から魔物を追い出したり、巨大な焚き火をするといった習慣が見られます。ある地域では、老婆を形どった藁人形を作り、1月5日から6日の夜間に燃やすこともあるそうです。


年越しの行事では、ボロ布をまとった人形を燃やすという習慣がイタリアやヨーロッパの多くの都市で広まっています。ほうきは浄化、清め、再生のシンボルとも言われています。


ベファーナは、鼻が高くあごが尖った小さなおばあさんで、ホウキに乗って遠くまで旅をしながら、すべての子どもたちに贈り物を届けるというのが一般的なイメージです。実際、1月5日から6日にかけての夜、チョコレートやキャンディでいっぱいになった袋(袋の底には、灰と石炭がたっぷり)を担いで、べファーナは屋根の上から上へと飛びます。煙突から降りると、子どもたちが吊るしたままの靴下に詰めます。翌朝、良い子はプレゼントを、悪い子は石炭を靴下の中に発見します。また、子どもたちが用意したみかんやオレンジ、ワインが食べられており、皿に撒かれた灰にはベファーナの手の跡が残されています。



ベファーナが時代とともに魔女に喩えられるようになったのは、ハロウィンの影響と、キリスト教が異教の象徴となるものを断罪したためでもあるようです。


有名な童謡に”La Befana vien di notte con le scarpe tutte rotte col cappello alla romana viva viva la Befana!”「破れた靴を履いて、ローマ風の帽子を被ったベファーナは夜中にやってきてくる。ベファーナ万歳!」とあるように、ベファーナは黒っぽい幅広のスカート、ポケット付きのエプロン、ショール、ハンカチを身につけ、帽子を頭に被っています。



イタリア各地ではべファーナの日をどう過ごす?

イタリアでは、ベファーナの日をどう過ごすのでしょうか。地方によって過ごし方、伝統が違い、面白い風習がたくさんあります。いくつかの例ご紹介しましょう。


ローマでは、ナヴォーナ広場に屋台が立ち並び、ベファーナが老若男女問わずお菓子を持って訪ねてきます。


マテーラの近くのモンテスカリオーソ市(マテーラの近く)では、1月5日の夜は「クチボッカの夜」と呼ばれています。フードをかぶり、足に鎖を巻いた怪しげな人物が、歴史的中心部を歩き回っています。彼らは小さな子どもたちを脅して口を縫わせ(これが名前の由来)、ベファーナが配達を完了できるように、静かに眠るよう命じます。


ペーザロとウルビーノの地方で開催される「ベファーナ祭り」も見逃せません。 1月4日から6日にかけて、広場や通りはお祭りのためにドレスアップされ、ミュージシャンやショーマン、ストリートアーティスト、伝統的なマーケットなどで街の様子が一変します。また、「ベファーナの家」では、老婆が忙しそうに家事をこなす姿を見ることができます。


ベネチアでは、古くからあるボートクラブが大運河を15分間かけて競う「レガッタ・デッレ・ベファーネ(ベファーナに紛れた漕ぎ手)」が開催されます。


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林 由紀子 / 2019.01.23