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神輿が古都を大激走!グッビオの「ロウソク祭り」|Il Viaggio del Festival(祭りの旅)Vol.4

まるでイタリア版 岸和田だんじり!?グッビオの「ロウソク祭り」

メジャーなものからニッチなものまで、イタリア各地の祭りをご紹介する「Viaggio del Festival(祭りの旅)」。

第4回目は、イタリアの古都グッビオで開催される「ロウソク祭り(Corsa dei Ceri)」を紹介します。

この祭りは、重さ300キロの巨大なロウソク型の神輿をかついで街を激走するエキサイティングな伝統行事。その様子は今年の9月、2年ぶりに開催された大阪・岸和田の“だんじり”さながら。

それでは、街中が興奮のるつぼと化すロウソク祭りの旅へ出発しましょう!


紀元前からの歴史を持つ、古都グッビオの守護聖人とは?

今回の祭りの舞台となるグッビオは、イタリア中部ウンブリア州に位置し、中世の城塞都市としての面影を色濃く残す街。

その歴史は非常に古く、イタリア最古の民族とされる古代ウンブリア人によって、紀元前3世紀から2世紀頃に書かれたといわれる「イグウィウムの青銅版(宗教の規則を記した青銅の板)」が発掘されています。

この街で12世紀に司教を務め、のちに守護聖人として祭られたのが「聖ウバルド」。

その聖ウバルドの木像を、巨大なロウソク型の神輿に掲げて祝うのがロウソク祭りなのです。


グッビオの「ロウソク祭り」

3つの巨大ロウソク神輿が、興奮と熱狂の街を駆け抜ける

ロウソク祭りが開催されるのは、毎年5月15日。

この日は大迫力の祭りを一目見ようと、世界中から多くの観光客が押し寄せます。

祭りには聖ウバルドのほか、聖ジョルジョ、聖アントニオの3聖人の神輿が登場。

それぞれのシンボルカラーである黄、青、黒に分かれた3つのチームが、神輿を担いで競い合います。

神輿はまずゆっくりと街を練り歩き、人々は聖人の像に祈りを捧げます。

やがて祭りがヒートアップしてくると、神輿もスピードアップ!

猛スピードで街を駆け抜け、壁にぶつかったり、窓ガラスを割ったり、ときには神輿が倒れたり。街全体が、ますます興奮と熱狂に包まれていきます。


グッビオの「ロウソク祭り」

山頂の聖堂を目指して大激走、そして感動のゴールへ

大興奮のロウソク神輿レースも、いよいよクライマックス!ゴールである山頂のサントウバルド聖堂までのアップダウンに富んだ全長4300メートルの旧道を、3台の神輿が全速力で激走します。

しかし、この祭りにはお約束が。なんと、激しい争いが繰り広げられているように見えても、聖ウバルド神輿が一番先にゴールするのが決まっているのです。

それは、この祭りが聖ウバルドへの感謝を捧げるためのものだから。

聖ウバルド神輿がゴールすると聖堂の門が閉ざされ、ほかの2チームは締め出されてしまうのです。そして、無事に聖ウバルド神輿が一着であることを見届けると、人々は安堵。これからの1年間、街の安全と幸運が約束されるということなのです。

なお、聖ウバルド神輿がゴールしてからしばらくすると、門が開かれ、聖ジョルジョと聖アントニオの神輿も聖堂の中へ。聖ウバルドの勝利を、ともに祝福するというストーリーになっているのです。


グッビオの「ロウソク祭り」

今回の祭りの旅は、いかがでしたでしょうか?

残念ながら、今年のロウソク祭りは中止となってしまいましたが、旅行が楽しめる状況になったら、美しい古都を熱狂させる伝統のお祭りを見学しに、グッビオを訪れてみませんか。


文:郡司 嘉洋(グンジ ヨシヒロ)