CULTURE 13 Apr 2020

【現地ライターレポ】外出制限中の過ごし方


こちらイタリアでは、全土を対象とした外出制限が始まり4週間が経過しました。日本でも、つい先ほど感染が拡大している7都府県について、緊急事態宣言が出されるとの情報が入ってきました。そのため、今後本格的に多くの皆様が外出を自粛されることと思います。この期間、私たちがイタリアでどのように過ごしているかをご紹介することで、何か皆様のヒントになるようなことがあればと思います。

スーパーへの買い出しは1週間に1回

外出制限が始まった当初から、夫が週に1回車でスーパーに食料品の買い出しに行ってくれています。外出前には必ずマスクとゴム手袋を着用し、私が準備した買い物リストと買い物袋を持って出発です。マスクとゴム手袋をするのは、自分が無症状感染者かもしれないという前提に立ち、人にウイルスをうつさないためということもありますが、マスクや手袋をすることで目や鼻を触らないようになり、感染する可能性を低くするという目的もあります。同様の理由でメガネやサングラスをすることも有効だと思います。

スーパーの前にはポツンポツンと1メートル間隔に並んだ人(写真出所:Corriere di Bologna

外出制限中のイタリアでは、ソーシャルディスタンスとして周りの人との距離を1メートル取るよう指示されています。そのため、スーパーの前にはポツンポツンと1メートル間隔に並んだ人の長蛇の列ができることが多々あります。

外からのウイルスは家に入れないように徹底的に除菌

夫が買い物を終えて家に到着する際、ドアノブを触らなくてもいいようにドアを開けて待ち構えます。私はマスクとゴム手袋を着用し、夫が家の中のものを触る前に手に消毒液を吹きかけます。そして、夫はこのままシャワーに入ります。

荷物を受け取った私は、買ってきたものの除菌をスタート。以下のアメリカの医師のサイトを参考に、除菌剤を染み込ませたキッチンペーパーで拭けるものの表面は拭き、捨てられるパッケージはゴミ箱に直行させ、果物などは一つずつ洗ってから片付けています。
(除菌剤が手に入らない場合は家庭用塩素系漂白剤で作ることが可能です。「次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方」で検索してみてください。)

食料品の片付けが終わった後は、買い物に着ていった夫の洋服を除菌剤を入れて洗濯機にかけます。そして、その後、家庭用塩素系漂白剤を薄めた消毒液で室内のモップがけを行っています。

食料品の消毒は時間もかかりますし、消毒前の食品を触った手で顔や髪を触らないようにしないと、と神経も使いますが、これをすることで次の買い物までの1週間は安心して家の中で過ごすことができると思って頑張って対応しています。

また、食品の食べ方ですが、ヴァンウィンゲン医師の一つ前のビデオでウイルスは熱に弱いとあったので、サラダなどの生野菜を食べることは極力やめるようにしています。

長期間続く外出制限で極力ストレスを減らして過ごすには

外出制限が始まった当初はベランダで音楽を演奏するといった様々なフラッシュモブが企画され、まだまだみんな元気だったように感じます。しかし、4月3日までだった外出制限が4月13日まで延長され、安心して家から出られない日々が5週目に入った今、「いつまでこの状態が続くのだろう」という気持ちも出始め、精神的に疲れてきている人も多いのではないかと思います。

私の住んでいる家はボローニャの都市部にある5階建ての建物で、庭もなく、小さなベランダがあるだけです。そんな環境なので、当初、私も「外出制限に元気いっぱいの子どもたちは耐えられるのかな」と少し思っていました。

また、普段、私はフリーランスとして、通訳やイタリア認定旅行添乗員をしているのですが、3、4月に予定されていた通訳や添乗の仕事は今回の新型コロナウイルスの影響で全てキャンセルとなりました。ファッション業界の翻訳の仕事もしていますが、こちらもイタリアの倉庫が閉鎖されたり、フランスやイギリスのオフィスが影響を受け、以前よりも仕事量は大幅に減っています。
自分の状況を客観的に見ると、働いている業界も雇用形態も結構厳しい状況だと思います。

自分の状況を客観的に見ると、働いている業界も雇用形態も結構厳しい状況だと思います(ボローニャで毎年開催されている「ボローニャ国際児童図書展」開催中止のお知らせ。
出所:ボローニャ国際児童図書展公式サイト

でも、嘆いていても問題が解決するわけではありません。今、自分たちがやるべきことは医療従事者の負担を増やさないために外出をしないことだと理解したあとは、今できることを粛々とするのみです。日々の悲しいニュースを追いかけてばかりでは気が沈むので、「子どもともっと一緒に過ごしたいな」とか「自分の趣味に時間を割きたいな」と忙しい時に思っていたことを実現できるまたとないチャンス!と割り切って捉えて今できることを楽しんでいます。その甲斐あってかメンタル的に病まずに元気に過ごせています。

具体的には、以下のようなことがストレス発散になっています。
まず、ボローニャ在住の日本人ママ友とのグループチャットです。話題に上がるのは、外出制限などの措置や感染対策といった真面目な話もあれば、日々の献立の話だったり、笑えるビデオや興味深い映画の推薦など、様々な話をしています。ひとりでは得られないアイデアが得られるので大変ためになりますし、ポジティブに頑張っている友達の話を聞くことでいい刺激を沢山もらっています。

今は外に出て自転車を乗り回したり、長距離を歩くことができないので(違反するとイタリアでは罰金+刑事罰となります)、ウイルスに負けない体づくりのためにも意識的に運動しないと、と思っていたところ、チャットの中で友達が筋トレを始めたと報告がありました。それを機に、ここ1ヶ月毎日20分程度の道具を使わない筋トレと、可能なとき時はYouTubeなどのエクササイズビデオを見ながら有酸素運動をしています。友達が様々なビデオを探してきてくれるのでマンネリ化を防げていますし、トレーニングの完了を報告し合うことで挫けそうになった時に支え合っています。今回たった20分のトレーニングでも継続すれば劇的に効果があらわれることを初めて知り、人生の貴重な財産になるいい経験ができていると思っています。

それから、長年眠っていた楽器も外出制限を機に練習を再開しました。気分の乗る曲を練習して弾けるようになることで達成感も得られていることを実感しています。この時期、ずっとやりたかったけど時間が取れずに着手できていなかったこと(例えば、資格の勉強や読書、見たいシリーズものの映画や漫画を一気に見るなど)に打ち込んでみるのもストレス発散にいいのではないかと思います。

楽しい思い出を振り返ったり(自分の好きだった懐かしの曲を改めて聞いて歌うのも楽しいです)、この外出制限が終わった暁にやりたいことを想像するのもいいと思います。家の中にこもりっきりなので身なりもだらだらしてしまいがちですが、(家族は男ばかりなので誰も気づいてくれませんが)できるだけ朝には化粧をしたり、爪を綺麗にしたりしてテンションをあげるようにしています。

一方、楽天的な私に対して少し心配性な夫は、できる限り何かをして暗くなる暇を作らないようにしています。具体的には、シリアスでない映画を見たり、家の掃除をしたり(綺麗好きで助かっています!)、私が子どもの勉強を手伝っていて忙しい時などは料理をしたり(これも大変助かっています!)、数独をしたり、あとはやはり離れた家族や友達とのビデオチャットをしています。

中学生と小学生の息子たちの場合はというと、兄弟で家の中を所狭しと走り回ったり、夫や私と一緒に筋トレをして有り余る体力を発散しています。精神面ではベランダに一緒に出て日向ぼっこをしながら子どもたちの喋りたいことをとことん聞いたり、スキンシップして欲しい時に受け止めてあげると穏やかになる気がします。

手作り料理の数々

また、美味しいものを食べると元気になるので、子どもたちの好きな食べ物をリクエストしてもらって食べさせるようにしています。息子たちは二人とも料理に興味津々で手伝いたがるので、ご飯やお菓子作りをする時には卵を割ってもらったり、粉をふるってもらったり、ミートボールを丸めてもらったりなどの手伝いをして好奇心を満たすようにしています。

今は、私に時間的余裕があるので宿題のわからないところがあっても普段より時間をとって説明できるので勉強に対するストレスは少ないように思います(また、外出制限中のオンライン教育などに関しては別の機会にご紹介したいと思います)。このように、多少の喧嘩などはありつつも、なんとか楽しく過ごせています。

外出制限が長期化する中で見えてくる課題や社会的弱者への支援

私の家族は比較的問題なくこの時期を過ごしていますが、SNSやテレビからは色々な課題も聞こえてきます。

例えば、家庭内暴力を抱える家族の問題です。外出が制限されている中で、夫の妻に対する暴力や、親の子どもに対する暴力が増えていると聞きます。外出が容易でないため相手に気づかれないように通報することが難しく、暴力を受けてもなかなか声を上げることができないようです。

コロナウイルス、家庭内暴力被害者にとって安全とは言えない外出制限生活:助けを求めるための番号。「届出減少のリスクあり」と語る検察官コロナウイルス、家庭内暴力被害者にとって安全とは言えない外出制限生活:助けを求めるための番号。「届出減少のリスクあり」と語る検察官(出所:Il Fatto Quotidiano

普段と違うリズムで生活をしなければならないことは、自閉症の子どもたちにとっては特に厳しい状況だといえます。イタリアでは外出制限中も自閉症の子どもたちが親と一緒に外出することを許可しています。

(写真出所:Sardegna Live

様々なメディアを通して「自閉症の子どもは青い服やリボンを身につけて、不安な気持ちを沈めるために親と外出をするので優しく見守ってください」という呼びかけがありました。日本よりもインクルーシブ教育が進んでいるイタリアのこのような対応は日本も参考にできるのではないかと思います。

外出制限中のボローニャでは、社会的弱者に対する支援も積極的に行われています。介護が必要な方や障害のある方(イタリアでは障害を持っているとは表現せずに「Diversamente abili(異なった能力のある方)」という呼び方をします)、既往症や免疫力の低下している方などは家から出られないので、ボローニャ市が認めた協会やボランティア団体が食料や薬の買い出しを行ったりしています。

(写真出所:Bologna Today

精神的な支援としては、若者のようにデジタルデバイスを駆使してコミュニケーションを取りづらい高齢者には猛暑時と同様に電話での支援を行なっています。75歳以上の高齢者2500人と既に社会サービスの対象となっている6000人の高齢者を対象に、感染しないための予防方法を伝えたりニーズの汲み取りを行なっています。

日本ではイタリアはピークを超えたと報道があったようですが、感染者の伸びが鈍化したのであり、まだまだ道半ばです。これからもストレスを溜めないように引き続き自宅生活を続けていきたいと思います。

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WRITER PROFILE
須飼真理

ボローニャ在住。異文化交流プロジェクトディレクター。イタリア政府認定オリーブオイル鑑定士&旅行添乗員。日米の大学を卒業後、大手外資系企業にて経営コンサルタントとして勤務。その後、渡伊。語学習得後、展示会通訳、ハイファッション・食品業界翻訳から、幼児教育(レッジョ・エミリア・アプローチ)現場視察、鰻祭り、大学研究のコーディネートまで、多分野にわたる日伊プロジェクトの架け橋として活動中。男の子2人のマンマ。 HTTP://FELICITALIA.NET