Copy link
bookmarked-checked-image

中世が甦る!イタリア時空旅 Giovanni④妖しくも美しい神秘的な道具たち

Keiko Shimada

2026.06.29

中世のイタリアにタイムスリップしたかのような気分にひたれる吉祥寺“Giovanni ジョヴァンニ”。連載第4回目は、他の店では決して出会うことのない神秘的な道具や価値あるアンティークの数々に迫ります。



美しすぎる!中世の計算機と時計

過去3回はクリスマスグッズ、シーリングスタンプ、伝統的な技を受け継ぐ紙製品など、美しく実用的なアイテムをご紹介しましたが、実はジョヴァンニの魅力はそれだけではありません。店内のガラスケースの中には、「これは何?」という妖しげな道具や神秘的なアンティークが納められ、訪れる人との出会いを待っています。


オーナーの高梨さんが、ヨーロッパのアンティーク市を巡って自ら買い付けた逸品やネットを介して入手した貴重なアイテム。今回は、ジョヴァンニの視点で選び抜かれたこだわりの品々をご紹介します。


中世のアストロラーべ

『Astrolabe アストロラーべ』という言葉を聞いたことはありますか?太陽・月・恒星・惑星の位置を測定・予測したり、経度と現地時刻の換算、測量や三角測量にも使用され、『空全体を手のひらサイズに収めた中世の計算機』とも言われる道具です。


ジョヴァンニで扱っているのは、細工を凝らした美しいデザインで、オブジェとして飾っても絵になるアストロラーべ。眺めていると、中世で星を眺めるときに使っている場面が思い浮かびます。


中世の日時計

こちらは、かつて中世の旅行者達に最も愛用された日時計『アストロノミカルリング』。通常の日時計と異なり、緯度計の機能もあるため、緯度の異なる場所でも正確な時間を知ることができるそう。アクセサリーとして身に着けても素敵です。



まるでダークなミステリーの世界

古典的なミステリー小説を読んでいると、犯人であることが明らかになった瞬間、指輪の毒を飲んで自死する美しい女性というシーンが出てきます。ジョヴァンニには、そんな薬を仕込める1800年代の指輪やレプリカも扱っています。


毒薬の指輪

毒といえば、筆者が取材したときには、マンドラゴラの種も!マンドラゴラ(マンドレイク)とは実在の植物ですが、古くは魔術や錬金術にも使われた薬草。人間の形をしていて、土から引き抜くときに叫び声をあげ、その声を聞くと死んでしまうという伝説のある植物です。筆者は若い頃に澁澤龍彦にかぶれていたので知っていましたが、『ハリー・ポッター』にも登場したので、ご存じの方も多いかもしれません。


マンドラゴラの絵葉書
中世、マンドラゴラの根は人間の形をしていると信じられていた

ちょっと怖いけど、興味をそそられる。ジョヴァンニを訪れると、そんな掘り出しものにも出会えます。



中世の社交界を象徴する舞踏会の手帖

18〜19世紀の舞踏会の手帖

舞踏会の手帖といえば、20年前に舞踏会で踊った相手を探すというフランスのクラシック映画がありましたが、犬の刺繍をあしらった可愛らしい手帖は、18~19世紀に実際に貴族の女性が使っていたアンティーク。


オーナーの高梨さんによると「舞踏会で踊るのは、完全に政治的な駆け引き。中世の貴族たちが、家のために誰と踊るのか順番まで厳密に決められていて、それをメモしていたんです」とのこと。「あの人が素敵だから次のダンスを申し込もう」などという甘い考えは通用しなかったようです。


ジョヴァンニ オーナーの高梨さん
どんな質問をしても答えてくれる、知識豊富なオーナーの高梨さん

手帖とは関係ありませんが、ジョヴァンニには一角獣の角と言われているものも置いてあり、よくあるイラストから連想すると「一角獣って巨大なのかな?」と思うくらいの長さで驚きました。



中世の人たちが信じた占いとお守り

世界最古のタロットカードの復刻版

現存する最古のタロットカード、ミラノの名門貴族ヴィスコンティ・モドローネ家に由来するカードの復刻版も、その荘厳な美しさで目を惹くアイテムです。書き込みやシミなども含め、オリジナルとまったく同じように、ミラノの職人がハンドプリントで再現したもの。オリジナルはYale Universityの図書館に所蔵されているため、「キャリー・イェール版」という名称で呼ばれています。


一般的なタロットは78枚ですが、キャリー・イェール版は86枚構成だったと考えられ、女騎士やメイド、信仰・希望・慈愛などのカードも含まれていましたが、こちらは完全な複製のため、消失したカードは含まれない67枚セット。


金箔による煌びやかな背景、手彩色、貴族の装束や紋章、優雅な人物表現など、眺めているだけでうっとりしてしまう豪華さ。こんな神秘的なカードで占ってもらったら、きっと信じてしまうことでしょう。


秘密結社の十字架

赤い石が象徴的に嵌め込まれた十字架は、19世紀末のヴィクトリア朝ロンドンで創設された魔術結社『黄金の夜明け団』のタリスマン(お守り)。占星術を取り込んだデザインで、従来のアミュレットよりも強力に作用するとされています。お守りや護符も美しくデザインされているところに、中世らしさが漂います。



印刷誕生の初期作品インキュナブラ

ジョヴァンニの壁には、どれもこれも欲しくなってしまう、あっと驚くような絵画が飾られています。


中世の彩色写本

筆者は中世の写本がとても好きなのですが、ジョヴァンニに飾られていたのは15世紀フランドル地方の彩色写本。修道士たちが一筆ずつ心を込めて描いた写本は、もちろん一つとして同じものがない唯一無二の図象。500年以上経っているのに色鮮やかで、染みや日焼け跡まで魅力的な写本は、中世を思わせる素朴な額に収められています。


インキュナブラ「ニュルンベルグ年代記」

もう1点、注目したいのが『インキュナブラ』。グーテンベルクが活版印刷を実用化した1455年以降、15世紀末の初期の印刷物を『インキュナブラ』と呼びます。


こちらはアルブレヒト・デューラーが参加したとも言われる木版挿絵『ニュルンベルグ年代記 1493年版 原葉』。当時のナポリの人物が描かれていますが、くっきりとした印刷の美しさは驚くばかり。印刷の誕生は、現代で言えばスマホの登場くらいのインパクトがあったのではないかと想像できます。



一点一点眺めていくと、それぞれに物語があり、想像力がかき立てられ、まさに中世に旅しているような気分にひたれる空間。ヨーロッパの職人の技はもちろん、歴史や神秘的なものに惹かれるITALIANITY読者は、ぜひ吉祥寺のジョヴァンニを訪れてみてください。


ジョヴァンニのファサード

Giovanni ジョヴァンニ

〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-2

電話0422-20-0171

12:00-19:00 (水曜定休)


公式サイト
https://www.giovanni.jp


公式Instagram
https://www.instagram.com/giovanni.tokyo