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85歳の映画青年・浜野安宏さんに独占インタビュー!素顔のイタリアを描いた『TAVARNA DE GAGA』いよいよ9月11日、全国順次公開!

Keiko Shimada

2026.09.10

「ティレニア海の真珠」と称される南イタリアの美しい港町トロペアを舞台に、一人の日本人が人生と家族の物語を描きました。映画監督であり、プロデューサー、デザイナー、都市計画プロデューサーとしても知られる浜野安宏さん。自らの人生を投影した新作映画の公開前に、ITALIANITYが独占インタビュー!そこから見えてきた作品の背景と浜野監督が伝えたかったものとは?


若き日に出合ったイタリアという国

若い頃に実験映画を制作していたものの、まったく違う分野で活躍し、日本のカルチャーを牽引する存在に。70歳を過ぎてから劇場用映画の制作にチャレンジし、85歳となった今もなお新作の構想を練り、「まだ撮りたい作品がある」と語る“映画青年”浜野安宏さん。


今回の作品『TAVERNA DE GAGA―人生はまだまだ面白いー』は、年老いた父親と息子の関係を軸に、人生の再出発や仲間との絆を描くヒューマンドラマ。その背景には、浜野さん自身が長年愛してきたイタリア文化への深い敬意が流れています。


『TAVERNA DE GAGA』のポスター

浜野さんとイタリアとの出合いは、映画よりも先にファッションの世界から始まりました。

若い頃からファッションイラストレーターやライターとして活躍し、『メンズクラブ』などで執筆を行いながら、ヨーロッパへ足繁く通っていた浜野さん。その中でも、とくに惹かれたのがミラノでした。


当時のミラノは、ファッション、デザイン、建築、アートが交差するクリエイティブの中心地。ジョルジオ・アルマーニの修行時代から交流があり、数多くのクリエイターと時間を共有してきました。


浜野安宏監督
85歳で新作を披露し、夢を追いかけつづける浜野安宏監督

浜野さんが本当に魅了されたのは、流行やデザインだけではありません。そこに暮らす人々の姿でした。

広場やカフェで何時間も会話を楽しむ人々。仕事だけでなく人生そのものを楽しむ文化。年齢を重ねてもなお、自分らしく生きる姿勢。

その価値観は、後の映画づくりにも大きな影響を与えています。


『TAVERNA DE GAGA』の場面
『TAVERNA DE GAGA』の場面

なぜイタリアには格好いい大人が多いのか

浜野さんが長年感じてきたのは、イタリアには魅力的な年配男性が多いということです。

ミラノのドゥオーモ広場やヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアを歩けば、仲間と談笑する紳士たちの姿を見かけます。彼らは若さを追い求めるのではなく、年齢を重ねた自分自身を受け入れ、その時間を楽しんでいます。


今回の映画で描きたかったのも、そんな人生観でした。“GAGA”とは、イタリア語で「元気な爺さん」「ダンディ」を意味する言葉。
「年を重ねることは終わりではない。新しい挑戦を始めることもできるし、新しい夢を持つこともできる」と語った浜野さん。それはイタリア人が自然に実践している生き方でもあります。


『TAVERNA DE GAGA』の場面

〈Story〉
日本で建築プロデューサーとして成功を収めたイタリア人のジーロは、トロペアと日本の淡路島を結ぶ壮大なマリーナ開発という夢を叶えるため、故郷の南イタリア・トロペアへと戻ってくる。一方、長年にわたってジーロとの間に確執のある元漁師の父・ロッコは、大衆食堂TAVERNA DE GAGAの壁に魚の絵を描きながら、静かな日々を送っていた。そんな父が肺がんを患い、余命わずかであることを知ったジーロ。環境調査のためにもう一度船に乗って巨大マグロを見つけて欲しいと願う息子と、「俺は漁師だ。海で死ねるなら、それでいい」と覚悟を決めた父。やがてふたりは、元漁師仲間たちを巻き込み、最後の挑戦へと船を漕ぎ出す。



トロペアは思い描いていた「理想の港町」だった

映画の舞台に選ばれたトロペアは、浜野さんにとって特別な場所です。

実は1990年代、淡路島でイタリアをイメージしたマリーナシティ構想を進めていた際、理想の港町のスケッチを描いていました。

細い石畳の路地、小さな広場、海へ続く階段。
後にトロペアを訪れた時、その風景が自分の描いていたイメージと驚くほど重なったといいます。


「まるで昔から知っていた街のようだった」

そう語る浜野さんにとって、トロペアは単なるロケ地ではなく、長年心の中に存在していた理想の風景そのものでした。

『TAVERNA DE GAGA』の場面

映画の中には、断崖から見下ろす海、迷路のような旧市街、街の住民が集う地元の人々が集う港など、トロペアならではの魅力が生きいきと映し出されています。


南イタリアに残る「家族」の力

イタリアを語るうえで欠かせないのが家族です。特に南イタリアでは、家族の絆が暮らしの中心にあります。親子が頻繁に行き来し、食卓を囲み、人生の節目を共に過ごす。家族は単なる血縁ではなく、人生を支える共同体として存在しています。


インタビューをしていて気づいたのは、この作品には浜野さん自身の人生が深く投影されていて、とくにお父さまの存在が思った以上に大きいということ。浜野さんのお父さまは天台宗の修験道の行者であり、「『参禅正命 さんぜんしょうめい』という哲学を教えてくれたのも父でした」

映画の中にも登場するこの考え方は、自ら考え、自ら行動し、自分の人生を生きることの大切さを意味しています。

『TAVERNA DE GAGA』の場面

そのお父さまが病床にあった頃、浜野さんはカナダへ釣りに行くことを相談しました。

「父は『行ったらいい』と背中を押してくれたんです」

浜野さんは回復を信じて旅に出ましたが、その留守中にお父さまは亡くなりました。そのため、最期には立ち会えなかったと振り返っています。


『TAVERNA DE GAGA』で描かれる父と子の物語には、まさにそのエピソードも投影されています。反発しながらも父を気にかける息子。言葉にしなくても互いを理解しようとする親子。そして人生の終盤に見えてくる本当の絆。

『TAVERNA DE GAGA』の場面

イタリアでの上映では多くの観客が父と子の絆に共感を示し、『第3回 トロペア映画祭』において、国際長編部門最優秀作品賞に輝きました。


“Vivi Tanto!”人生を味わい尽くそう

インタビューの最後に、「人生を豊かにするために最も大切なことはなんですか」と尋ねると、浜野さんはこう答えました。

「自然と共に生きること。そして人とのつながりを大切にすることです」


1960年代にミラノのメンズファッションを日本に紹介した浜野さん

人生を楽しむこと。家族を大切にすること。仲間と語り合うこと。そして夢を持ち続けること。

トロペアの青い海の向こうに見えるのは、美しい風景だけではありません。

そこには、イタリアが教えてくれる「Vivi Tanto! 人生を味わい尽くそう」という生き方そのものが広がっています。


『TAVERNA DE GAGA』の場面

『TAVERNA DE  GAGA ―人生はまだまだ面白いー』
9月11日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー

監督・プロデュース:浜野安宏
脚本:岸本 司
撮影:大城 学
音楽:ファビオ・リベラトーリ

出演:パンツェッタ・ジローラモ ベリッシモ・フランチェスコ 市川 純

   マッシモ・ボネッティ サヴェリオ・ヴァローネ パオロ・サッサネッリ

クラウディオ・ボトッソ  ヴィットーリオ スラーチェ  サラ アドリアーニ ほか


公式サイト https://tavernadegaga.com

公式X https://x.com/tavernadegaga

公式instagram https://www.instagram.com/tavernadegaga