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ダンスを超えたパフォーマンス!イタリア発の注目アーティストParini Secondoに単独インタビュー

Keiko Shimada

2025.12.18

イタリアから来日した女性4人のコレクティブ『Parini Secondo』が、縄跳びを駆使したライヴパフォーマンスを披露。ダンス×サウンドが響き、共鳴し合う新時代のパフォーマンスが、会場に詰めかけた観客を魅了しました。



芸術監督シシー・バッサーニにインタビュー

12月15日の夜、東京・九段下のイタリア文化会館の1F広場において、イタリアから来日した女性4人組『Parini Secondo パリーニ・セコンド』のライヴ・パフォーマンスが行われました。ITALAINITYは、パフォーマンスを終えたメンバーの中から、芸術監督のSissj Bassani(シシー・バッサーニ)にインタビュー。パリーニ・セコンドの活動と未来についてうかがいました。

パリーニ・セコンドの芸術監督シシー・バッサーニ

4人のメンバー全員が1997年生まれの28歳。どこで出会ったのでしょうか?
「私たちはとても小さな頃に出会いました。地元の同じダンススクールで学んでいたんです。ボローニャの近くにあるチェゼーナという小さな街のバレエスクールで出会いました」。
それぞれがバレエダンサーとしてさまざまなカンパニーで活躍しながらも、幼い頃の絆があって結成されたコレクティブ。それがパリーニ・セコンドです」。


かなり長い時間、20分の演目の中でも10分から15分は休むことなく縄跳びを跳び続ける『HIT OUT』は、かなりハードな振付。通常のコンテンポラリーダンスと比べても肉体的にハードなのでは?と心配になるほどです。

「最初はとにかく腕がきつかったです。疲れすぎないように跳ぶのが大変でした。それから、リズムを合わせることも難しかったですね。それぞれ跳び方に個性があるので、違いを活かしつつ、共通のバランスを見つける必要がありました。あとは持久力とリズム感ですね。同時に、トレーニングと休息のスケジュールを正確に管理する必要がありました。どこまで追い込むか、どこで身体をケアするか、その見極めが重要です」。



もともとバレダンサーの日常は過酷なトレーニングが当然ですが、この縄跳びパフォーマンスは、さらに違う方向の鍛錬を要することが想像できます。
「縄跳び自体は基本的に毎週行っています。ツアーのスケジュールによっては、毎日やることもあります。少なくとも週2回は必ず行っていますし、状況によっては、それ以上やることもあります」。

『HIT OUT』のパフォーマンスをするパリーニ・セコンド

ロープを使う演目なので衣装も織り手にこだわってセレクト

「衣裳は、ボローニャを拠点とするコスチュームデザイナー、Giulia Pastorelli(ジュリア・パストレッリ)がハンドメイドで制作しています。彼女のブランドは『GPST CLOTHING』 で、ウェブサイトにも掲載されています」。


ロープ(縄)を使った衣裳は、彼女たちのパフォーマンスにふさわしく、軽やかでアーティスティック。「コラボレーションした理由は、彼女が織り手であり、祖母や母も織り手という、織物の家系に生まれているからです。私たちはロープというモチーフを衣裳とも結びつけたいと考えていて、彼女とのコラボレーションを選びました」。

『HIT OUT』のパフォーマンスをするパリーニ・セコンド

「私たちは多くのコラボレーターと一緒に制作しています。パリーニ・セコンドは『誰にでもなり得る存在』という感覚があって、特定の誰かに限定しているわけではありません。実際、同じコラボレーターと複数の作品で継続的緒に制作することもありますし、衣裳デザイナーをはじめ、多くの人たちと関わっています」。

「ただし、振付に関しては、常に私たち4人で行っています。私たちは共同体として制作していて、すべての決定は4人で共有しながら進めています。
とはいえ、それぞれに得意分野や役割があり、演出を主に考える人、衣裳について考える人、音楽により深く関わる人、制作やオーガナイズを担う人など、全体は共有しつつも、各自が自分の専門性や傾向を活かして携わっています」。

『HIT OUT』のパフォーマンスをするパリーニ・セコンド

幼い日の出会いから年月を重ね、お互いを理解しあった仲間だからこそ、主張しながらも尊重し合える関係が成り立っていることがわかります。


90年台のパラパラが2020年代のイタリアで開花

パリーニ・セコンドの演目の中で、私たち日本人に刺さるのが2020年に発表された『SPEEED』。あのギャルのダンス“パラパラ“そのもののパフォーマンスです。
「パラパラとの出会いは偶然でした。コロナ禍のときに、私たちのミュージシャンが、ある動画を送ってきたんです。それが、HINOI TEAMが踊っている N.I.K.O.「Night of Fire」の動画でした。♪ナイト・オブ・ファイア〜♪ というあの曲ですね。そのダンスと音楽に、私たちは一瞬で惹きつけられました。オンラインにはたくさんの動画があり、『じゃあ、学んでみよう』と思って、ルーティンを少しずつ覚え始めたんです」。
コロナ禍がきっかけになったというアーティストの転機については聞いたことがありますが、彼女たちも正にそうだったようです。


「さらに面白かったのは、ユーロビートのプロデューサーたちが、実はイタリア人だったことです。Dave Rodgers、N.I.K.O.、Go Go Girls、Dominoなど、アーティスト名は別名義ですが、実際はみんなイタリア人なんです」。
意外な中にも、運命的な出会いを感じずにはいられません。


「コロナ禍でそれぞれ別々の場所にいながら、動画を共有してトレーニングとして練習を続け、気づけばたくさんのルーティンを覚えていました。そこで『これで作品を作れないだろうか?』という話になったんです。コロナが明けてから実際に集まり、すべてを組み合わせて、ミュージシャンがトラックを送り、そこから作品として形になりました。こうして私たちはパラパラを学び、作品へと昇華させました」。

パリーニ・セコンド『SPEEED』のメインビジュアル

2026年の新作はスローなパラパラにチャレンジ!

3月に再び来日して、横浜に1カ月滞在しながら新作の制作に取り組むと語ったシシー。「新しい作品はパラパラをベースにしていますが、私たちが作った振付と音楽を極端にスローダウンさせたものになります。その振付を、より多くの人たちと共有し、グループで踊る作品にしたいと考えています。パラパラではあるのですが、とても、とてもスローな作品で、作品名もそのまま 『SLOW』です」。

スロ―なパラパラ? もともと優秀なダンサーである彼女たちだからこそ実現する、意欲的な試みです。

パリーニ・セコンドの芸術監督シシー・バッサーニ

この作品では日本人パフォーマーの 大道寺梨乃さんとコラボレーションする予定。「『SLOW』を通して、東京のダンスシーンをより深く知り、この作品がツアー作品として展開できるかも探っていきたいです」と、すぐ目の前の目標について熱く語ったシシー。
「もちろん、今の作品でのツアーも続けていきたいですし、日本がとても好きなので、これからもっと日本に来られたらと思っています」。

 パリーニ・セコンドのメンバー

実は、今回が初来日というパリーニ・セコンド。パラパラに導かれて実現した日本での活動が、ますます楽しみです。 ITALIANITYでは、今後もパリーニ・セコンドを応援していきます。新しい情報をお楽しみに!


パリーニ・セコンド 公式Instagram https://www.instagram.com/parinisecondo/


パリーニ・セコンド × Bienoise
HIT OUT
出演:シッシー・バッサーニ、マルティーナ・ピアッツィ、カミッラ・ネーリ、フランチェスカ・ピッツァガッリ
振付:パリーニ・セコンド
音楽:アルベルト・リッカ/Bienoise

*本公演は、「Per Chi Crea」プログラムの一環として、MiCおよびSIAEの支援により実現しました。