初回の幕が開き、袖から飛び出した瞬間に私の細胞は沸いた。
これだ!これなんだよ!!
劇場にお客様を入れての公演。
その価値と意義。
「血湧き肉躍る」この瞬間が戻ってきた。
後は、満員のお客様の笑い声の波に身を任せて、出し惜しみなしの全身全霊の喜劇を生きる。コメディア・デラルテには「役者にとって大切なものが詰まっている」という事を仲間と分かち合った。
テアトロ コメディア・デラルテ2021本公演『スリーカピターノス』の幕が無事に降りたのが12月5日。そこから数日間は疲労が抜けず、本当に呆けたように過ごした。それだけの充実感がお客様の前で芝居をし、楽しませ、そして自分達も楽しむという役者の根源のような行為にはあった。
どうも興奮を文章にすると固くなる。この連載はもっとコメディアの楽しさを伝える為に続けてたんだった!!いやぁー、楽しかったんだよ。本当に楽しかった。終演後の大笑いしたお客様の口角とほっぺたの上がった表情。心を尽くしてくれたスタッフの充実の顔。そして、共演の生島と板垣の笑顔。プロによる全力の文化祭。くだらない事に全身全霊。何人かのお客様から「小学校の時の同じクラスの男子を思い出した」との感想をもらった。とても嬉しかった。お客様と演者という距離感を超え、クラスメートになってくれたという事だ。物理的にお客様を巻き込む事は難しいこのご時世にそれができたのが本当によかった!
『スリーカピターノス』は三人の自称”将軍候補”による空位の将軍の座を巡った”底辺の争い”の話だ。笑
しかし、不器用で足りない彼らが精一杯自分を大きく見せ何かを掴もうとする様、そしていつしか足りない部分を補い合う関係になる男の友情と成長物語だ。童心に帰って沢山の仕掛けや奇想天外な展開を楽しんで観られる作品に仕上がった。
毎回観に来てくれるお客様から「今までで一番好きだった」との言葉も沢山頂き、次回作はまたコレを超えて、一番好きな作品を作ろうというモチベーションがあがった。
そして今回は大千秋楽を生配信した。
遠方のお客様から直ぐに「映像でもめちゃくちゃ笑った」との嬉しい知らせ。
その映像を録画したものをアーカイブ配信もしている。私もそれを観て、自分でやったのにめちゃくちゃ笑った。笑
その映像が素晴らしいのだ。役者のアップやカメラのスイッチワークにより生観劇ではできない観劇の仕方がそこにはあった。
配信チームのメンバー本当にありがとう!!
好評いただいたので、配信期間を1/4まで延長することにした。
好きなシーンだけ繰り返し観たり。
移動中に観たり。
年末年始にご家族やご友人と大きな画面に映して観る事もできる。
演劇の新たな楽しみ方だ。
私達の渾身の作品『スリーカピターノス』を是非観ていただきたい。