COLUMN
CULTURE 02 Apr 2021

【連載】大塚ヒロタとイタリアと、コメディア・デラルテ第十三回「配信イベントで気付きを得た、私とコメディア・デラルテ」


「お願いだ!恥ずかしいから見ないでくれ!!」

なんて気持ちはいつしかすっかりなくなって、過去の自分の映像を見返して視聴者の方たちと大笑いしてしまった。それが500年間、人間が「笑う」と云う事を突き詰めてきたコメディア デラルテの力なのかもしれないとふと思った。

3月14日にライブ配信されたZOOMを使ったオンライントークショーを盛況の元に終えることができてほっとしているのだが、実はその直前までお客様と一緒に観るための過去の公演のシーンを選別していた。それはテアトロ コメディア デラルテができる前の本当に初期の幡ヶ谷のスナックの居ぬき物件の様なスペースでの公演のものや、シルクドソレイユでも活躍した縄跳び世界チャンピオンの粕尾将一などをゲストに迎えたコラボ公演など初期の作品3本からワンシーンづつを選ぶという作業だった。

もちろん今見ると粗いところもあるのだが、自分が演じているシーンをみて普通に笑ってしまう。これは意外と役者にとっては珍しい事であり、難しい事でもある。「ここをもっとこうすれば良かった…」「この表情はよくない!」「テンポがなぁ…」などと考えてしまい、純粋に自分の出演作品を楽しめなくなってしまいがちなのだ。ただ、この粗さで言ったら私の一人芝居の歴史でも1、2を争う作品ですら今見ても笑えるのだ。なので、どのシーンを抜粋するべきか大いに悩んでしまった。だって、面白いシーンが満載なんだもの。(笑)

ZOOM配信トークショーの本番中も視聴者の皆様の笑顔をこちらからも見ながら、コメディアにはどんな環境でも人を笑わせるノウハウが詰まっていると改めて感じた。

その事は私の今年の一大イベントに向けても大きな自信を持たせてくれた。先日やっと公式リリースされたのだが、私たちはこの夏『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2021』に参加することが決定した。この国際的な芸術祭には世界中から多くの人が芸術を楽しみに来る。そして、地元の方たちも芸術に触れ、その祭りを通じて多くの豊かで刺激的な時間を過ごす。そんな芸術祭だ。まさかたった一人で始めたコメディア・デラルテの活動が国際的な芸術祭に参加できるようになるなんて夢にも思っていなかったが、好きなことを全力でやってきたご褒美のようなものだと思って楽しもうと思う。

しかし、これは私たちにとって考えれば考えるほど全くのアウェーなのだ。言葉の通じない外国のお客様。そして私やテアトロ コメディア・デラルテを全く知らないであろう多くの地元からのお客様。誰も喜劇を見て笑いに来ている人などいないのだ。そして、これは何よりも「芸術祭」なのだ。コメディア・デラルテが、そして私達が突き詰めてきたものはエンターテインメントつまり「芸能」なのだ。

「芸術」と「芸能」

この似ているようで全く違う分野へのチャレンジ!!ただ、私はこの「人であれば誰でも笑顔にできる」コメディア・デラルテであれば、笑いに来ていない芸術を堪能しに来た方たちにも、笑顔や笑い声をお届けできると今回改めて感じた。そう、笑顔はなによりも心を豊かにする。つまりこれはある意味最も上質な芸術なのだ。

自信をもって私たちの好きなことをやりまくろう!!

今年は私たちの大きな挑戦に是非ご注目いただきたい。

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WRITER PROFILE
大塚ヒロタ
大塚ヒロタ

俳優、テアトロ コメディア・デラルテ主宰。NY で演劇を学びコメディア・デラルテと出会いイタリアに渡る。帰国後、映画「64 -ロクヨン-」の宇津木役、「図書館戦争」シリーズの野村役で注目を集める。 映画「キングダム」「唐人街探索」「楽園」、ドラマ「フルーツ宅配便」「ボイス110緊急指令室」、CM「ほっともっと」「中部電力」「よなよなエール」 ■最新の出演作は Twitter@hirotaotsukaでも随時更新中