CULTURE 03 Jul 2020

イタリアの今:ボローニャ編


3月11日からスタートしたイタリアのロックダウン(外出規制)も、5月4日から段階的に規制が緩和され、今では自己宣誓書を持たなくても、EU加盟国やシェンゲン協定国といったヨーロッパ諸国間を自由に移動ができるようになっています。厳しい外出規制が解かれてからの約2ヶ月を振り返りながらボローニャの様子をご紹介したいと思います。

「フェーズ2」スタート

5月4日、「フェーズ2」と呼ばれる段階的規制緩和がスタートしました。これまでは外出理由として「仕事」「緊急性を要する移動」「生活に必要なための移動(買い物など)」「健康上の理由」のみが許可されていましたが、引き続き自己宣誓書は必要とはいえ、州内であれば家族や親戚、恋人に会いに行くことも許可されました。(恋人を含めるというのが、なんともイタリアらしいですよね!)また、スポーツのための外出に関しても「家の近辺(州によっては家から200m程度まででした)」というのが取り払われ、これまで閉まっていた公園へもアクセス可能となり、少しずつ行動範囲が広がってきました。

私も58日ぶりに通院のため家から出たのですが、真っ先に思ったのが「空が蒼く、緑が美しい!」ということ。

ボローニャの街並み

ロックダウンによって車やバイクなどの交通量が減り、街の中の空気が綺麗になったのか、公園の前を通ったときに何ともいえない草の香りがポワーンと漂い、思いっきり深呼吸してしまいました。

病院からの帰りには子どもたちの文房具を買いに行きましたが、店の前には1m間隔の列ができており、客は店内に入れませんでした。プラスティックシールドをつけた店員が、店の中から客に必要なものを聞き、商品を探してきて引き渡すという方法で販売していました。「イタリアなのに対策が徹底しているな!」と思ったのを覚えています。また、この日は、まだゴム手袋をして外出している人が多々見受けられました。

ボローニャのショップ

「フェーズ2」では、これまでOKだったデリバリー(宅配)以外に、持ち帰りサービスも許可されるようになったので、5月16日には子どもたちと一緒に久々のジェラートを食べに旧市街に向かいました。

ジェラテリアの前に並ぶ人々

店の前には、待ちに待っていたジェラートを食べようと長蛇の列ができていました。入店は1組ずつで、次の客は入り口に貼られた「Aspetta qui il tuo turno(ここで順番をお待ちください)」と記載されたラインの前で待つという流れでした。

さらば自己宣誓書

5月18日からは自己宣誓書がなくても州内の移動ができるように。つまり、特定の理由がなくても州内であれば自由に外出ができるようになったのです。この日を境に友達との再会も可能となり、新たなステップへ進んだという記念すべき1日でした。
しかし、当然ながら街の様子はロックダウン前と同じというわけではありません。コロナ以前はマスクなど着用したことのないイタリア人がマスクをつけ、書店の入り口には殺菌用のスプレーに加え、使い捨てのマスクと手袋がありました。

店頭に設置されたマスクと手袋

入店も密にならないよう店舗面積によって人数制限を設けるという徹底ぶりです。

イタリア国内、EU加盟国内などの移動が自由に

6月3日からはイタリア国内の州をまたいだ移動や、EU加盟国・シェンゲン協定国といったヨーロッパ諸国間の往来も可能になりました。6月10日にロックダウン後初めて友達と一緒にカフェに行ったので「お店の調子はどうですか?」と店主に尋ねると、「観光客が全く戻ってきていないから、なかなか厳しいですね」とおっしゃっていました。

閑散としたボローニャの街並み

そういえば、まだボローニャの上空を飛ぶ飛行機の音をほとんど聞いてない、ということ気づきました。

州をまたいだ移動が可能になったとはいえ、北イタリアの交通の要であるボローニャ駅の中もこのように人通りも少なく、通路の真ん中に仕切りが設けられ、利用者同士がぶつからないように工夫がされていました。また、エレベーターも上りと下りで乗客がすれ違わないように、片側は上りのみ、もう片側は下りのみ、というように対策が取られていました。

ほとんど人がいない駅

自転車品薄状態

6月12日には、ロックダウンが終了し人々が殺到していると聞いていたスポーツ用品店にも行ってみました。店舗の前には例にもれず1m間隔の列ができ、入り口ではピストル状の体温計をおでこに「ピッ」とあて体温を計測した後、使い捨ての手袋が配布されていました。

店頭で体温を測る様子

スポーツ用品店は、毎年夏前にはビーチやキャンプなどのバカンス用品を求める人々で混み合うのですが、今年は外出制限で家に引きこもっていた反動なのか、特に多くの人が詰めかけていました。

そして、今回の訪問でびっくりしたのが自転車コーナーです。コンテ首相が5月16日に行った記者会見の中で、今後政府は「Un’Italia più verde, più digitale, più inclusiva.(より環境に優しく、デジタル化が進み、様々な人が住みよいイタリア)」のために投資をすると発表しました。その「環境」対策の1つに「500ユーロを上限として自転車購入代金の60%を支給する(人口5万人以上の都市の居住者対象)」というものがありました。

自転車販売コーナー

この施策の恩恵を受けようと、多くの人がスポーツ用品店に殺到し、自転車コーナーには購入して持ち帰ることができる自転車がほとんどありませんでした。

6月後半のボローニャ

それから数日後、自己宣誓書なしの移動が可能になってからほぼ1ヶ月となる6月16日に街の中心を歩いた際には、これまでよりも人出も増え、大分以前のような雰囲気が戻ってきていました。

ストリートアートの様子

これまで全く見かけなかったストリートアートが復活しているのを見ると、じんわりと熱くこみ上げるものがありました。

魚やの前で順番を待つ人々

こちらは旧市街にある魚屋。普段なら店頭で順番を待つ際には肩がぶつかるぐらいの距離で押し合いへし合いしていたのですが、人々の意識に「ソーシャルディスタンスを取らねば!」という気持ちが根付いているように見える距離感でした。

ソーシャルディスタンスを保ちバス停に並ぶ人々

こちらはボローニャのメインストリートにあるバス停ですが、皆きちんとマスクをつけ、待つ時も人との距離を確保しています。ミラノでは人々がソーシャルディスタンスを保たず市長の怒りが爆発したという話も聞きましたが、ボローニャの人々はとても頑張っていると思います!

旧市街の多くの店舗が再開し、気温が上がるにつれて気持ちも開放的になりますが、ボローニャの運送会社で集団感染が発生したというニュースを聞くと、まだまだ予断は許されない状況なのだな、と気が引き締まる思いです。

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WRITER PROFILE
須飼真理

ボローニャ在住。異文化交流プロジェクトディレクター。イタリア政府認定オリーブオイル鑑定士&旅行添乗員。日米の大学を卒業後、大手外資系企業にて経営コンサルタントとして勤務。その後、渡伊。語学習得後、展示会通訳、ハイファッション・食品業界翻訳から、幼児教育(レッジョ・エミリア・アプローチ)現場視察、鰻祭り、大学研究のコーディネートまで、多分野にわたる日伊プロジェクトの架け橋として活動中。男の子2人のマンマ。 HTTP://FELICITALIA.NET