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ミケランジェロの最高傑作に隠されたストーリー〜イタリア・ローマの小国バチカン市国・バチカン美術館を訪ねて

イタリアの芸術へ触れるなら、訪れておきたい美術館の一つがバチカン美術館。
「ルネサンスの巨匠」と呼ばれたミケランジェロの素顔、知りたくないですか?
今回はバチカン市国の魅力とともに、ミケランジェロの最高傑作の裏に隠されたストーリーをご紹介します。

世界最小の国、バチカン市国とは

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イタリア・ローマの中に存在する面積わずか0.44平方km、人口は900人にも満たない世界一小さな国。それがバチカン市国です。
バチカン市国そのものが世界遺産に登録されています。
カトリック・キリスト教の総本山が置かれる場として存在感は大きく、現在居住者のほとんどが高位の聖職者またはバチカンの職員で、国が必要と認めた人物だけが居住できるという特別な国です。

世界最大級の教会堂建築とされるサン・ピエトロ寺院や、500年以上の歴史を持つバチカン美術館へ実際に訪れると、その偉大さを肌で感じることができます。

バチカン美術館の鑑賞は1週間かかる!?

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バチカン美術館には、歴代教皇が集めた膨大な数の美術・芸術作品が展示されています。世界最大級の規模を誇るだけあり、館内の作品をじっくり鑑賞するには1週間が必要だといわれています。
今回はローマ在住のガイドさんに、重要作品に絞って案内していただいたのにも関わらず、約4時間かけての鑑賞となりました。

作品のそれぞれに興味深いストーリーが隠されており、何度訪れても新しい発見に出会えることも、バチカン美術館の大きな魅力の一つです。

ミケランジェロの『アダムの創造』と解剖学の関係

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バチカン美術館の見どころでもあり、ルネッサンス芸術の最高傑作と謳われる、システィーナ大聖堂の天井に描かれたフレスコ画の一部『アダムの創造』。

実物は遥か21m先の天井に描かれているため、近くで見る事はできませんが、ミケランジェロによって描かれたその絵画は「神が人間に生命を吹きこむ瞬間」を表現した作品だといわれています。

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神の背後に描かれている布の形は、解剖学的に人間の片方の脳の形と同じだという説があります。作者のミケランジェロは自らも解剖を行うほど解剖学に興味を持っており、そこで得た知識を作品に反映させたといわれています。

また、神と人間の指が触れそうで触れられない様子は、二つの存在が決して触れ合う事のできないものであることが表現されています。そして『アダムの創造』と名付けられているものの、すでにアダムが物質的に存在していることから、アダムの創造の瞬間ではなくアダムの体へ何かインスピレーションを与えようとしている瞬間とも解釈できるなど、現在もさまざまな説が唱えられています。

努力の天才、ミケランジェロは嫉妬深い頑固者だった?

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ミケランジェロは組み立てられた足場の板に仰向けになり片手をあげた状態で4年かけてシスティーナ大聖堂の天井画を完成させました。その間、首や腰に異常を抱え、絵の具が目に入りながらの過酷な作業で、視力が大幅に低下したのだそうです。「天才とは永遠の忍耐である」と、自身の残した言葉が象徴するように、作品に命と情熱を捧げたミケランジェロ。彼の本業は彫刻家でした。

一方で、同じ時期に作品を手がけていた芸術家がラファエロです。ミケランジェロの8歳年下で、才能と美しい容姿を兼ね備えたラファエロは女性のパトロンたちにもてはやされる人気者。注文者ともしばしば言い争いをしていた頑固者であったミケランジェロは、真逆の性格だったラファエロを気に入らなかったのだそう。そんな二人は、現在バチカン美術館の入り口に仲良く並んでいます。

時代を超えてたくさんの人々へ感動を与え続ける芸術家の努力の結晶。世界最小の国には、訪れるたびに深みを増す美しくて壮大なストーリーが溢れています。

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