ART & DESIGN

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世界最大級の家具見本市「ミラノサローネ /ミラノデザインウィーク2024」に見るインテリアのヒント

イタリア・ミラノで行われる、世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ )」。毎年4月に開催され、2024年は4月16日(火)〜21日(日)の6日間開催されました。そのうち一般公開日は、20日と21日の2日間でした。


会場には世界35カ国から1,950の出展者が集まり、最新のインテリアデザインを展示。ミラノサローネに出展された家具・インテリアが、その年のインテリアのトレンドになるとして、世界中から熱い視線が注がれる家具見本市です。ミラノの街全体も多くの人々で賑わうこのデザインの祭典は「ミラノデザインウィーク」と呼ばれています。


環境問題の観点から、サステナブルな要素を取り入れた展示が増えていたのが今年の特徴です。また、イタリアの家具メーカーでは特に、リラックス感や穏やかさを感じさせるインテリアが多く、地に足のついた伝統的なものづくりが行われていた印象を受けます。本当に「今、人々が求めているものは何なのか」が考え抜かれたインテリアが数多く提案されていました。


今回は、そんな「ミラノデザインウィーク 2024 / ミラノサローネ 2024」に出展したブランドから「Molteni&C (モルテーニ)」、「RODA (ロダ)」、「Riva 1920( リーヴァ)」、「Loro Piana(ロロ・ピアーナ)」、「Cassina(カッシーナ)」、「MARUNI(マルニ木工)」の6つをピックアップしてご紹介します!


1.Molteni&C (モルテーニ)

1934年の創業から90周年となる「Molteni&C (モルテーニ)」は、1930年代にミラノで活躍した建築家ピエロ・ポルタルッピ(1888-1967)が、1930年代前半にデザインしたミラノ市内の個人邸ヴィラ・ネッキにインスピレーションを受けた会場デザインで、新製品・バージョンアップを含めた16製品とアウトドア6製品を発表しました。


デザイナーは、クリエイティブディレクターのヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンをはじめ、マイケル・アナスタシアデス、ヤブ・プッシェルバーグ、ニコラ・ガリッツィア、スタジオ・クラスを起用。また、ジオ・ポンティ(1891-1979)によるデザイン2製品を復刻発表しました。

サステナブルな取り組みとして、ソファ「LUCIO」のシートに、50%再生素材、かつ100%再生可能素材の「Polimex®」 を採用しました。また、イタリアのオリーブオイル生産者から出される廃棄原料を使用した植物なめし革も使用。


そのほか、2024年9月から世界の書店で発売する、90周年記念書籍『MOLTENI MONDO』を先駆けて発表。モルテーニ90年のものづくりの歴史、建築家・デザイナーとの取り組みや、イタリア建築の巨匠のひとりであり、エッセイスト、そしてモルテーニのデザイナーでもあったジオ・ポンティの功績について紹介しています。


2.RODA (ロダ)

1991年にロンバルディア州 ヴァレーゼで創業した「RODA (ロダ)」は、当初よりインドアとアウトドアの境界のない空間提案「In and Out」の思想を続けるアウトドア家具ブランドです。


今年は、メインデザイナーであったロドルフォ・ドルドーニ(1954-2023)によるソファ「PHILIA(フィリア)」を、鮮やかな色味の新生地でお披露目。また、ファッションブランド「MISSONI(ミッソーニ)」とのコラボレーションによる特別生地を発表しました。その他、初のコラボレーションとなるミケーレ・デルッキによるテーブル&チェア「TESEO(テセオ)」を発表しました。


サステナブルな面として、会場構成に使用した建材はすべて昨年のものを活用することで、廃棄品のない会場づくりを行いました。また、ロダは従来よりFSC® 認定のチーク材「GREENGUARD GOLD」認定のほか、再生素材のベルト、コード、ファブリックを積極的に採用しています。


3.Riva 1920( リーヴァ)

1920年にロンバルディア州 カントゥで創業した「Riva 1920( リーヴァ)」は、職人によるハンドメイド、無公害、完全イタリア生産を信条に掲げる、無垢材家具ブランドです。


今年は、シダー材を使用したインドア・アウトドアコレクションをはじめ、希少なカウリ材を用いたリビングテーブルのほか、リーヴァならではの多彩な木質と脚部デザインのテーブルや、ミラノ拠点のデザイナー伊藤節+伊藤志信によるシダー材のオブジェアニマルコレクション、100%天然コルクのアモリム コルク イタリアとのコラボレーション製品などを発表しました。


会場は昨年同様、フィエラ会場別棟の建物にすることで、建材の廃棄のない会場づくりを実現。 また、リーヴァが取り扱うすべての製品は、自然倒木や計画伐採などから生じる環境に配慮された木材を使用しています。


4.Loro Piana(ロロ・ピアーナ)

Loro Piana(ロロ・ピアーナ)」は、ミラノデザインウィークにて、ロロ・ピアーナのミラノ本社社屋「コルティーレ・デッラ・セタ」の会場にて、チニ・ボエリ生誕100周年を記念したインスタレーション”A Tribute To Cini Boeri”を開催。


イタリアの建築家兼デザイナーの最も象徴的な作品が、メゾンの最高品質のインテリア・ファブリックをまとって登場しました。アルフレックス製作によるこれらの独自の家具は、チニ・ボエリ(1924-2020)が体現したデザイン理念の遊び心にあふれ、楽しく、現代的な側面を称えており、人とそのプライベートな空間との関係性を促進するために考案されました。


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アルキヴィオ・チニ・ボエリとのコラボレーションによるインスタレーションは、建築家としてのチニの仕事の指針のひとつである、独立した出口を持つそれぞれの部屋と、住む人が選択することができる共有スペースのある家というアイデアに則っています。インスタレーション中央の部屋にはアイコニックなストリップス・システムが置かれ、その周囲のスペースに家具が配されました。


家具は使う人のニーズにあわせて適応し、進化していくべきものであるというチニ・ボエリの考えに従って、来場者は通路を通って実際に家具に触れたり座ったりして作品を体験することができました。


5.Cassina(カッシーナ)

ミラノデザインウィーク 2024の期間中、ドゥリーニ通りにある「Cassina(カッシーナ)」のショールームは、今や巨匠となったフランス人デザイナーのフィリップ・スタルクがキュレーションを手がけた、詩的なインスタレーションの舞台となりました。芸術的、演劇的、謎めいた驚くべき物語の主人公となる特別な家具が登場しました。


カッシーナの卓越した製造技術とスタルクのクリエイティブなビジョンのコラボレーションは、今年で30 周年を迎えます。この重要な節目を記念し、スタルクはベッド、アームチェアとオットマンのファミリー、そしてラグからなる、エレガントで多彩なスリーピングエリアのための新コレクションを発表しました。


フィリップ・スタルクはカッシーナとの30年にわたるコラボレーションに敬意を表し、「Somewhere El-S(サムウェア・エルス)」を発表。このコレクションでは、エレガントな旅の要素をスリーピングエリアに取り入れます。洋服の仕立ての典型的なディテールも想起させる、これまでにないシーティングコレクションです。


「Volage Ex-S Night Wood(ヴォラージュ・エクストラソフト・ナイトウッド)」と名づけられた官能的で荘厳なベッドは、1サイズのみのベッドボードで展開。光沢のあるマホガニー、黒檀、マットなシカモアの3種類の仕上げから選ぶことができます。スタルクとカッシーナの綿密な共同研究により、 貴重な素材と濃厚でエレガントなニュアンスから、それぞれのエッセンスにふさわしい仕上げの組み合わせが入念に開発されました。


6.MARUNI(マルニ木工)

Photography: Nacása & Partners Inc

日本からは「MARUNI(マルニ木工)」がミラノサローネ会場で「MARUNI COLLECTION 2024」の新作を発表しました。本コレクションでは、リビングアイテムを中心に、デザイナーの深澤直人によるアップデートした「HIROSHIMA」のモジュールソファや新作のオープンシェルフ、ジャスパー・モリソンによる「Lightwood」の新作ソファ、セシリエ・マンツによるソファやチェアなど多様な家具との組み合わせを楽しめる新作テーブルコレクション「SHOTO」を発表。リビングシーンをはじめ、ビジネスやパブリックシーンにおいて、人々のコミュニケーションをおおらかに誘発するような心地よい家具の組み合わせとなるリビングアイテムに注目が集まりました。


展示スペースは、MARUNI COLLECTIONディレクターである深澤のデザインにより、シンプルかつミニマルな空間に。不必要な装飾を省くことで、コレクションを構成する家具、そして個々の要素の関係性に重点が置かれ、色のトーンのまとまりや、リビングとダイニングが一体となった空間となりました。


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深澤直人による「HIROSHIMA」ソファに、モジュールシステムバージョンが登場。基本的なプロポーションはそのままに、生活や空間に合わせて自由にモジュールを組み合わせることができます。さらにコーナータイプがシステムソファに加わり、美しく私たちの生活になじむレイアウトが可能となりました。背や座のクッションも座り心地の質を向上させ、ソファの脚の形状やオープンシェルフなどの周辺アイテムも新たにデザインすることで「HIROSHIMA」ソファの生活が美しく進化しました。


あらゆるジャンルにおいて、常に先進的なデザインを生み出してきたイタリア。シンプルで無駄のないデザインや、他には類を見ない大胆なビビッドカラーのイタリアメーカーのインテリアは、上質で洗練された空間づくりに最適です。一方で海外メーカーもミラノを発表の場とすることで、世界に向けて、自社のブランドを発信し続けています。


「ミラノデザインウィーク 2024 / ミラノサローネ 2024」に出展した6ブランドの展示を振り返ると、ブラックやホワイトといったモノトーンのアイテムでまとめることで、上品で高級感のある空間を演出してくれるという空間づくりのヒントがつかめます。反対に、斬新なデザインや大胆なカラーリングのインテリアは、アート作品を取り入れるような感覚で生かすと、個性あふれる空間づくりにひと役買ってくれることでしょう。


気になるメーカーの最新インテリアを見つけたら、ぜひチェックしてみてくださいね!