ミラノサローネとは、毎年4月にミラノで開催される世界最大規模の家具見本市「Salone del Mobile.Milano」のこと。もともとはイタリアの家具やインテリア小物の輸出を促進するために1961年に誕生したのが始まりです。この4月開催された第57回目となるミラノサローネから、インプレッションをレポートします。
発想豊かなコンパクトキッチンデザイン
インテリア以外に照明とキッチンの展示が年替わりで開催されるミラノサローネ。今年はキッチンの展示「エウロクチーナ」が行われていました。2年に1回ということもあってか、大変な盛り上がり。その中でも目を惹いたのが日本のメーカー、サンワカンパニーのキッチンでした。
「The Impact of Compact」というテーマの展示は、8台のコンパクトキッチン。まるでワードローブが入っているかのようなキャビネット型、どこへでも移動できる可動型、日本の間仕切りのような壁面型など、さまざまな側面から「コンパクト」の意味をとらえています。
このサンワカンパニーの展示は、そのクリーンでミニマルな空間が評価され、今年で第3回となるミラノサローネ・アワードを受賞したことでも話題をさらっていました。
キッチンというと、自宅の中の決まった場所にあるイメージしかありませんでしたが、発想次第でこんなにもクリエイティブな拠点になるという発見があり、まさにインパクト大でした。
モジュールを組み合わせてカスタムメイドの空間をつくる
インテリアメーカーArperの新作「Kiik」が気になったのは、その自由度の高さ。座面、テーブル、オットマン、カウンターテーブルといった要素を組み合わせるモジュラーコレクションです。
様々なライフスタイルに合わせてインテリアも変化していくもの。それだったら、最初からインテリアそのものに自由を与えておこう、という考え方が、新しくも懐かしく感じられるのは、日本の和室の使い方がそれに近いと感じたから。
来る人と立ち去る人、待つ人と何かをする人の間にある空間を想定してつくられたというこのコレクション。その一期一会の瞬間を美しく彩ってくれそうです。
イタリアではワークプレイスとくつろぎは切り離せない要素
ミラノサローネ会場の中でも最大級の広さで参加者を圧倒した1949年創業のKartell。私が取材に行ったときはちょうど、フィリップ・スタルクが来場していたこともあり、大変な来場者数でした。
Smart design for smart peopleというタイトルで、これまでのアーカイブから最新作までを見せるという展示の中で気になったのがこの新作「I-table」。ワークプレイスにもなるダイニングテーブルに、IHヒーターが内蔵されています。
お湯を沸かしてお茶を飲んだり、スープを温めたり…働くことも、生活することも、遊ぶことも、すべて切り離せない、シームレスな今のライフスタイルを表すプロダクトです。