イタリアを中心に、世界各国から職人技が光る文具をセレクトした吉祥寺“Giovanni ジョヴァンニ”。まるで中世のイタリアにタイムスリップしたかのような気分にひたれるショップを特集する連載3回目の主役は、紙製品とペン&インク。手紙をしたためたくなる名品の数々をご紹介します。
職人が守り続けるアートのような紙製品
ジョヴァンニには、イタリアの職人たちが昔ながらの技を継承して作っている紙製品が豊富に揃っています。
筆者がフィレンツェ行くと必ず訪れ、自分用とプレゼントのために、散々悩みながらショッピングする「Il Papiro イルパピロ」のエレガントなレターセット。“フィレンツェの紙”と呼ばれる花模様が美しい「ロッシ」のレターセット。フィレンツェ近郊の街にある伝統的な印刷工房「Kartos カルトス」の便箋やカードのセット。クラシックな紙製品に目がない人にとって、夢のようなコレクションが並んでいます。


その中でもひときわ上質感が際立つのが、ジョヴァンニオリジナルの逸品。1404年創業の紙工房マニャーニが手漉きする『西暦1404年』と名付けられたカードセットと、アマルフィペーパーを使ったレターセットです。
中世イタリアにおいて、イスラム世界から伝わった紙をヨーロッパへ広めた海洋都市国家アマルフィ産の手漉き紙は、イタリアで最も上質といわれる紙。「ナポレオンが結婚証明書で使ったものと同じ紙を、15世紀と同じ方法で作っている手漉き工房に発注して作ってもらっています」と、オーナーの高梨さんは語りました。
600年前の製法が今なお受け継がれ、日常生活の中で使う人たちがいる。こういうときに、イタリアの豊かさを実感します。


ダンテも使った?歴史ある羽ペン
羽ペンが歴史に登場するのは7世紀で、その頃には一般的に使われていたとされています。およそ1000年の長きにわたって使われていた羽ペン。14世紀のイタリアの詩人ダンテも、こんな羽ペンで『神曲』を執筆していたのでしょうか。
ジョヴァンニで見つけたのは、色鮮やかな羽が美しいヴェネツィア発「Bortoletti ボルトレッティ」の羽ペン。ガチョウの羽にジャーマンシルバーの軸が付いていて、そのシルバーに施された繊細な細工が、イタリアの職人技を映し出しています。高梨さんいわく「こうした装飾的なスタイルの羽ペンは、18世紀以降に流行したそうです」。ダンテはもっと地味な羽ペンを愛用していたかもしれません。

マリー・アントワネットが密会に使った?
羽ペンやガラスペンに欠かせないのがインク。ジョヴァンニはインクのコレクションも充実しています。
中世と同じ製法で作られたインクは、時間が経つと耐光性、防水性が高まり、羊皮紙に書くと数千年に渡って文字を残すことができるというから驚き!
また、常温では書いた文字が読めないのに、紙を温めると読めるようになるインクも!このミステリアスなインクは、フランス革命に散ったフランス王妃マリー・アントワネットが、恋人フェルゼンとの連絡に使用したとも言い伝えられているそうです。

多彩なカラーバリエーション、香水瓶のようなボトル、アート感覚のパッケージで人気のインクは、カナダのフェリスホイールプレスのもの。丸いボトルはラメ入りで、書いた文字は滲みやムラの中に上品な煌めきを放ちます。


大切な人に伝えたいメッセージ
ペン&インクが豊富に揃ったジョヴァンニは、カリグラフィーをされる方にとっても憧れのショップ。取材中にも、カリグラフィーの字体見本帳を探しに来られたお客様がいらっしゃいました。


美しい軸に好きなペン先を挿して、インクの色を選び、手漉き紙に手書きでしたためる文字。筆者は近年、いただいた手書きのメッセージカードはすべて捨てずにとってあるのですが、やはり手書き文字にはその人の個性が出るし、想いも伝わってくる気がします。

大切な人に手紙を書いてみたくなる、限りなく美しい紙と文具のコレクションと出会える“Giovanni”には、中世の暮らしの丁寧な一面を、今なお日常生活に取り入れているイタリア流の豊かさが満ちあふれています。
次回は、いよいよ“Giovanniの宝物”、神秘的なコレクションの数々に迫ります。お楽しみに!

Giovanni ジョヴァンニ
〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-2
電話0422-20-0171
12:00-19:00 (水曜定休)
公式サイト https://www.giovanni.jp/