COLUMN
ART & DESIGN 18 May 2018

自由な発想でデザインが楽しめるフォーリサローネは、ミラノデザインウィークのもうひとつの顔


毎年4月にミラノで開催される世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ」。この期間中、ミラノ市内は「Fuori Salone フォーリサローネ」で盛り上がります。フォーリサローネとは「サローネの外」を表す言葉。ミラノ市内の家具デザイナーや中小家具メーカーの関係者らが、作品の展示を見てもらいたいという自由で自然な発想で、1980年代に生まれました。

フォーリサローネの楽しみ方

フォーリサローネは近年、その話題性と世界に発信する情報力の強さから、世界の著名な企業の出展なども続き、大きなイベントに発展しています。地下鉄ポルタジェノバ駅周辺のトルトーナ地区、ブレラ美術館のあるブレラ地区、ミラノ大聖堂、ドゥオモのあるチェントロなどがその代表的な場所。

なかでもトルトーナ地区はもっとも賑やかな場所として知られています。ここはもともと音楽、ファッション、アート、デザインなどで知名度の高いエリアで、フォーリサローネ期間中は邸宅、倉庫、ギャラリー、中庭などが開放され、様々な展示が行われます。

トルトーナ地区の入口

トルトーナ地区の入口。今年のミラノデザインウィークは連日、好天に恵まれたのでかなりの盛況ぶりだった。この地区にはしゃれたカフェやレストランも多く、ひと休みしながら回るのにもってこい。

期間中は世界中から多くの人が訪れ、散策しながら展示に参加したり、ランチやカフェ、そして夕方からはアペリティーボなどを楽しむ姿が見られます。その喧噪の中に身を浸すのもフォーリサローネの楽しみ方のひとつ。

「隠された感覚(Hidden Senses)」が明らかになるSONY(ソニー)の展示

そんな中から、印象的だったものをご紹介しましょう。それはSONY(ソニー)の「Hidden Senses」と題された展示。

Ermenegildo Zegna(エルメネジルド ゼニア)のオフィスを借りて行われたSONYの展示

SONYの展示は、Ermenegildo Zegna(エルメネジルド ゼニア)のオフィスを借りて行われた。

2010年以来、8年ぶりとなるこの出展は、五感に訴えるテクノロジーが私たちの生活の一部になる未来を表しています。会場は、5つのケーススタディから構成されており、各展示を通じて、「隠された感覚(Hidden Senses)」が段階的に明らかになっていくというもの。

ECHOと題されたケーススタディ

ECHOと題されたケーススタディ。歩く、触れるといった日常の行動が音としてフィードバックされる。

UNDER THE LIGHTと題されたケーススタディ

UNDER THE LIGHTと題されたケーススタディ。ここでは、情報が光と影を通して視覚化。壁面のウォールライトが、人との距離と動きに反応し、色と形で情報を表示する。この貼り付けられた紙は実はフェイクで、そこには何もない。

TACTILE OBJECTSと題されたケーススタディ

TACTILE OBJECTSと題されたケーススタディ。見慣れたオブジェを直感的なインターフェースとして利用。この空っぽのジャグをコップに注ぐ仕草をすると、水の音と氷が当たる触感が再現される。

ABSTRACT ELECTRONICSと題されたケーススタディ

ABSTRACT ELECTRONICSと題されたケーススタディ。家具や照明といった身近なものが知覚に響く体験を生み出す。たとえばこの棚は、手前の丸い木の形をしたものを置くと木の模様が浮かび上がる仕組み。中央のフレームを置いたところはディスプレイになる。

DAY&NIGHTと題されたケーススタディ

DAY&NIGHTと題されたケーススタディ

DAY&NIGHTと題されたケーススタディ。これまでのケーススタディを普段の日常風景を変えることなく「新しい日常」に進化させていく提案として体験させてくれる。

この展示は、フォーリサローネ1372イベントのなかから表彰されるMilano Design Award 2018で、Best Playfulness Awardを、獲得したことからもその注目度がわかります。

ほかにも、Best Technology Awardにブレラ美術館で開催されていたPanasonic(パナソニック)の 「Transitions」が選ばれるなど、今年は日本勢のデザインが高く評価された年だった印象でした。

トルトーナ地区と並んで賑わうブレラ地区の展示

トルトーナ地区と並んで賑わうブレラ地区の展示

トルトーナ地区と並んで賑わうブレラ地区の展示。教会前の庭でシャンパーニュメゾンが展示ブースを出しており一杯飲むことができたり、ギャラリーの奥深くで民族衣装を着た人が歌を歌いながら織物を織っているなど、バラエティに富んでいた。

WRITER PROFILE
池田 美樹 Miki Ikeda

マガジンハウスにて「Olive」「anan」「Hanako」「クロワッサン」等の女性誌の編集者を歴任したのち、2017年に独立。「伝える」プロフェッショナルとしてEDIT THE WORLD & CO. を立ち上げる。2011年〜2013年、NHK BS-1の『地球テレビ エル・ムンド』にレギュラー出演、世界のカルチャー情報を伝えるなどメディア出演歴も多数。シャンパーニュ騎士団(Ordre Des Coteaux De Champagne)シュヴァリエ。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士過程に在学し、女性のエンパワーメントについて研究中。