イタリアはデザイン優先主義。そう思っていませんか?現在、デザインを追求するうえで欠かせないのが、サステナビリティに関する理念や哲学。2024年、革新的な素材のサステナブルチェア「Catifa Carta カティファ カルタ」を発表して注目を集めるイタリア発の家具ブランド「Arper アルペール」を通して、イタリアンデザインの現在地を探ります。
Catifa Carta―アイコンチェアの再生
世界でもいち早く2005年に環境部門を立ち上げ、サステナブルなものづくりを追求してきたイタリア発のグローバルな家具ブランド、アルペール。2024年11月にアルペール ジャパン 東京ショールームで「カティファ カルタ」のデビューイベントが開催され、インテリア関係のゲストが多数来場しました。

「この画期的なプロダクトは、デザインの勝利だけでなく、これからの持続可能な未来を築くための重要な一歩でもある」とは、アルペールのCEO ロベルト・モンティ氏の言葉。それは単なるチェアではなく、サステナビリティとイノベーション創出のシンボル的存在としてデザインの可能性を広げ、造形美と機能性、環境への責任がシームレスに共存できることを証明しています。

自然の一部として循環するチェア
2001年に発表され、長年愛されてきたアルペールのアイコンチェア「Catifa カティファ」に最新の技術を投入して誕生したのが「カティファ カルタ」。廃棄木材から生まれた29枚の再生紙を圧着成型して作られています。リサイクル時に障害となる接着剤を使用していないのも特長のひとつ。農業廃棄物や紙の製造工程で排出される100%生物由来のヘミセルロースを再生紙に染み込ませ、圧着成形することで、独特なシルエットに不可欠な強度と座り心地の良さを兼ね備えた「カティファ カルタ」のシェルが完成します。

「カティファ カルタ」のシェルは、その寿命の終わりを迎えるとき、CO2の排出を抑える低酸素燃焼処理を加えることでバイオ炭に変貌。土に還したバイオ炭が菌類や微生物の住処となり、新しい生命の誕生を促します。こうして、1本の樹木が家具となって人々の暮らしを支え、役割を終えて再び自然に還るという、生命の循環を象徴するプロダクトが生まれました。

世界中で長く愛されるデザイン
アルペールは、1989 年にイタリア ヴェネツィア近郊のモナスティエール・ディ・トレヴィーゾで創業したグローバルインテリアデザインブランド。ミニマルな中にも独特な感性が生きるデザインを得意とし、家具を通して、細部にストーリーが宿る人々の「空間」に、それぞれの文化やアイデアを育めるモノづくりをすすめています。
その機能性の高さ、モダンな空間になじむスタイリッシュなデザインによって、日本国内ではスタイルにこだわるオフィスや公共施設に数多く採用されているアルペールの家具。空間に合わせて多様にアレンジできるモジュールタイプの家具も多く、空港ロビーなどの広々としたスペースを、居心地よくブラッシュアップします。


羽田空港 第二ターミナルのロビーに採用されている「Kiik キーク」は、イタリアをはじめ国内外で活躍する日本人デザイナー、岩崎一郎氏がデザインを手がけたプロダクト。アルペールには、長く愛されるパーマネントコレクションともいうべき家具がラインアップしています。

未来を切り拓くイタリアンデザイン
世界各国のデザイナーによる独創的なデザインとともに、いち早く2005年に環境部門を立ち上げ、2008年にはイタリアで初めてチェアの環境宣言、2018年のEPD環境プロセス認証など、環境に関する各種認証を取得しているアルペール。時代に先駆けてサステナブルに取り組んできたリーディングカンパニーとしても知られています。
設計の主軸としている家具のモジュール化は、自由で無限の演出が可能になるのに加え、メンテナンス、組み立てや分解も手軽なため、リユース&リサイクルにも貢献。多角的な視点からサステナビリティを追求しています。
持続可能な素材使いにとどまらず、生産するプロダクトを自然の循環の一部と位置づけ、美しいフォルムと共存させていくこと。イタリアンデザインの未来が、ここにあります。
Arper Japan ショールーム
〒107-0061 東京都港区青山2-7-22 HT神宮外苑ビル8F
*ショールームの見学には予約が必要です。